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二章.柊 紅葉
4.awayでも戦うしかないんです。
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「お加減はいかがですか? 」
お茶を持ってきた女中が、気遣うように紅葉のふりをした俺を見た。
現在(回想の話に現在ってのもおかしいけどね)俺の状況は、「事故にあって数日寝ていたが、回復したので、入院を手配してくれた桜に快気祝いを持ってきた」だ。
俺は、計画通り事故に遭い、救急車で運ばれた。救急車っていっても、西遠寺の‥だけどね。病院も西遠寺の病院だ。こうやって俺と紅葉ちゃんはすり替わった。
もちろん、俺は実際にけがなんてしてない。
だけど、検査入院って奴をしていたんだ。
たぶん、紅葉も同じ状況だろう。(※ 実は紅葉は実際に事故に遭い、記憶を失っていることを知っているのは紅葉の臣霊だけ)
精密検査をされたら、一発アウトだ。レントゲンなんてもっての外、触診も駄目だ。そこらへんは、何とか桜がごまかしてくれた。
なんだか、今思っても偽装で入院する悪徳政治家みたいだった。
「ええ」
と、女中に俺も言葉少なめに頷く。
返事はしたものの声なんて「え? 何? 聞こえないよ? 」って音量だ。
まさに蚊の鳴く様な声。
‥あの頃は声までは無理だった。
女中に、桜は何か言うでもなくにっこりと微笑んで見せた。(そう言えばあまり、母さんが他の人と話しているのは見たことがない)
それだけで、女中は全て心得たって風で、お茶を置いて静かにお辞儀をすると部屋を出て行った。
(あれだ。お茶席なんかでする「座ってお辞儀して、静かに襖を閉める」やつ。ここに居るといつもお茶席に呼ばれてるみたいで緊張するよ)
言葉少なく支持する桜と、それを理解する女中。
女主人と、使用人。
館に大勢いる人達と桜の関係は、その様に見えた。(多分、そうなのだろう)
失踪している弟が一人。紅葉の母親である姉、彼女の血のつながった身内は今はそれだけだ。両親も祖父母もとうに亡くなっている‥らしい。そして、祖父母にも両親にも他に兄弟がなかった。
じゃあ‥桜の息子を連れて来るか? って話が親戚会の中で出始めた時に、姉が見つかった。
そして、その姉の才能ある娘が紅葉だった。(ちなみに、千佳ちゃんには何の才能もなかったらしい)
母さんは喜んで紅葉に自分の全てを教えて、後継者にしようと目論んだ‥って訳だ。
だけど、親戚の中には
「でも‥息子がいるんだろ? 彼の方がいいんじゃないか? 」
っていう者も勿論いるわけで‥
俺の命を狙ってた奴らの中にはそういう関係の奴らもいたのかもしれないな。(いたんだろう)
だけど、母さんは絶対に俺(実の息子)を西遠寺の跡継ぎにしたくなかった。
なぜなら、俺が相生の跡継ぎだから。自分の息子が相生の跡継ぎになることだけが、今となっては、愛する人(俺の父親ね)と自分との唯一の繋がりだから。
‥邪魔されてなるものか。連れてこられても困るし、殺されたらもっと困る。
ただし、それは息子が可愛いから殺されたくないわけではなく、跡継ぎがいなくなったら困るっていう理由で‥
→まあともかく、生き残るために、俺に「何とか」対応してもらわなきゃ。
で、急遽俺を呼びよせて特訓してやれねばってことになったらしい。
なのに、
「そりゃ、私だってあんたのことが可愛いし、心配だもの」
っていけしゃあしゃあと「口だけ」心配してるようなこと言うの、ホント腹立つ。
心配してるような「最愛の」実の息子にも「ホントの顔」を見せないのがそもそも、胡散臭い。
だけど‥まるっきり嘘でもないんだろう。
ほんのちょっとは「親子の情」もあるんだろう。俺<<父さんだとしても、ちょっとくらいは‥
いくら俺だって母親が「全然」自分のこと愛してない‥ってちょっと傷つく。
人間だもの‥。
まあ‥母さんが出て行った5歳の時以来、俺の母さんは「静さん」なんだけどね。
「四朗。貴方鏡の秘術の取得‥うまく行ってないらしいわね。‥あの頃の私ったら頭が固すぎたわよねえ。相生の跡継ぎとしてふさわしい能力‥しかあの時は考えてなかったもの。「何事も器用にこなせる能力」を願えばよかったわ」
知らず知らずのうちに思い出に浸っていた俺は、母さんの声で我に返った。
「相生? 」
俺は、「聞いてなかったわけでは無いですよ」をアピールする為、母さんの言葉をオウム返しにした。
声を出すのをためらった8年前とは違う。だけどそれは「練習したから」ではなく、「何とかしたから」だ。
声の問題を何とかしてくれたのは、常に俺につくように言われている女型の臣霊だった。彼女は、鏡の秘儀を常時展開しながら、俺の声を「女の声」に変換してくれる。
「紅葉さんの声を再現しています」
って言ってた。
基本はボイスチェンジャーみたいに俺の声を変えているだけなんだけど、この頃では簡単な会話なんかは俺の意思関係なく勝手にしてくれる。
プライバシーなんかあったもんじゃないんだかけど、慣れてしまって今ではちょっとした執事代わりだ。
臣霊は母さんの式神だから、その行動やなんかはつまりは母さんの意志なのか? って思ったけど、どうやらそうじゃないらしい。
母さんの命令を遂行するために、あれこれ「自分で」考えて動いているって感じ。
‥どういう仕組みなんだろう。
「何。そのいい方だと母さんが「相生の跡継ぎに相応しい能力」を俺に望んだから、俺がその通りの能力を持って生まれて来た‥みたいないい方じゃないか。
いくら母さんが優れた術者だっていってもそれは無理でしょ。
俺が相生の跡継ぎに相応しい能力を持ってるというより、俺は相生の跡継ぎに相応しい能力を持つために凄く修行したの」
俺が言うと、母さんはふ‥と苦笑いした。
ホントは、相生の跡継ぎに相応しい能力云々っていうより‥別なことの方が気になった。
母さんが「相生の跡継ぎとしてふさわしい能力」を願ったから、俺にそれが携わった。だけど、「西遠寺に相応しい能力」は願わなかったから俺にそれがない。だから「何事も器用にこなせる能力」を願えばよかったな。
‥って部分だ。
だけど、‥何かそれについて触れるのはよした。だって、「そうすれば出来たのに」とか有り得ないから。(神じゃあるまいし! )ただ「そうすればよかったな」ってだけのことだ。願えば何とかなるってもんではない。
だけど‥そう思わずにいられなかったんだろう。
俺のせいじゃないよ、私のせいなんだよ。っていってくれてるの?
‥そうだといいな、なんて「人並の親の愛情」を目の前の人に‥期待したりした。
だけど、きっとそうじゃない。
ただの言い間違いだ。
無駄な期待とか‥しない方がいい。
‥ただ、俺は相生の才能はあるけど、西遠寺の才能はない。これが全て。
俺は努力して相生の跡継ぎになったわけでは無い。才能があったからなれたんだ。そして、才能がないから西遠寺の力を会得出来ない。
才能がないから、‥どうやっても無理なんだ。
それこそ、奇跡でも起こらない限りは。
「だけど‥もしかしたら‥」
母さんは俺が奇跡的に覚醒することを期待したんだろう。
母さんは色々なエキスパートに俺を会わせたんだけど、目の前の相手の動きに「合わせる」という感覚は、どうしてもわからなかった。
俺にも覚えがあるんだけど、当たり前に出来る人間には出来ない人間が「なぜ出来ないのか」分からないんんだ。
俺は当たり前に相生の力を使う。だけど、静の母さんには絶対に出来ない。それこそ、「出来るって感覚すら分からない」んだ。
分からないけど、する必要があれば別の方法を考えるしかない。
結果、俺は結局剣にしても弓にしても、目の前の相手と互角に勝負するために、普通に努力するほかなかったのだった。
‥なんだか、これって父さんみたいだ。
その時、何故か父さんのことを考えた。
父さんも、相生の力があまりなかったから自力で語学を身に着けた。父さんの口からそれを聞いたことはないが、俺にはわかった。‥たぶん、おじい様にもわかったのだろう。だから俺をさっさと襲名させたのだろう。
父さんは、双子だったから、もしかしたら叔父さんと力が分けられてしまったのかもしれないな。少なくとも、叔父さんに全て力がいっているわけではない。
だけど、たぶん叔父さんの方が力を受け継いでいる。それは俺には分かった。
そして、きっとそれを父さんは気づいていた。だけど、叔父さんには相生を継ぐ気はない。それがもどかしくて、父さんは叔父さんと確執があった。
だけど、おじい様にしてみたら、どちらも変わらなかったんだろう。多少多いだけの話だったわけだし。だから、全く継ぐ気がなかった叔父さんより父さんを後継者に選んだ。
旧家って大変だ。
しかし、こうして改めて考えると‥西遠寺の力は、相生の力と通ずるところがある。
西遠寺は「動き」を真似、相生は、頭の中(言語能力だけ)を真似る。
西遠寺の力に発動条件はないみたいだけど、相生にはある。
それが、自己紹介だ。
「こんにちは、私は相生四朗です。貴方は? 」
目を見て、にこやかに。
俺はそれを「相手の心にアクセスする」って呼んでる。
命令とは違う。あくまで、相手の心にお伺いを立てるって感じ? それで相手が心を開いてくれなかったら、そこまでだ。アクセスは失敗ってことになる。
失敗してるわけにはいかないから、持てる力を全部目線に込めて‥って感じ。チャンスは一回きりの真剣勝負だ。
ぶっちゃけ、色仕掛けで相手の心に無理やり入り込んじゃう‥って感じ。
おじい様たちがやたら顔にこだわるのもそのせいなんだ。
‥「同じ原理」というならやってみるか。
俺は鏡の秘儀を秘書さん(って呼んでる)に解いてもらった。
やっぱりこういうのは形から入らなきゃあね‥。
鏡の前で、ここぞという時のキラースマイル。
「こんにちは、私は相生四朗です」
と、その時ガチャリと自室の扉が開く。
「くれちゃん~帰ったの? 」「え! 」
そこには、固まっている千佳。
そして、鏡に映っている、同じく固まっている‥十八歳(であろうと思われる)自分の姿だった。
‥しまった‥
お茶を持ってきた女中が、気遣うように紅葉のふりをした俺を見た。
現在(回想の話に現在ってのもおかしいけどね)俺の状況は、「事故にあって数日寝ていたが、回復したので、入院を手配してくれた桜に快気祝いを持ってきた」だ。
俺は、計画通り事故に遭い、救急車で運ばれた。救急車っていっても、西遠寺の‥だけどね。病院も西遠寺の病院だ。こうやって俺と紅葉ちゃんはすり替わった。
もちろん、俺は実際にけがなんてしてない。
だけど、検査入院って奴をしていたんだ。
たぶん、紅葉も同じ状況だろう。(※ 実は紅葉は実際に事故に遭い、記憶を失っていることを知っているのは紅葉の臣霊だけ)
精密検査をされたら、一発アウトだ。レントゲンなんてもっての外、触診も駄目だ。そこらへんは、何とか桜がごまかしてくれた。
なんだか、今思っても偽装で入院する悪徳政治家みたいだった。
「ええ」
と、女中に俺も言葉少なめに頷く。
返事はしたものの声なんて「え? 何? 聞こえないよ? 」って音量だ。
まさに蚊の鳴く様な声。
‥あの頃は声までは無理だった。
女中に、桜は何か言うでもなくにっこりと微笑んで見せた。(そう言えばあまり、母さんが他の人と話しているのは見たことがない)
それだけで、女中は全て心得たって風で、お茶を置いて静かにお辞儀をすると部屋を出て行った。
(あれだ。お茶席なんかでする「座ってお辞儀して、静かに襖を閉める」やつ。ここに居るといつもお茶席に呼ばれてるみたいで緊張するよ)
言葉少なく支持する桜と、それを理解する女中。
女主人と、使用人。
館に大勢いる人達と桜の関係は、その様に見えた。(多分、そうなのだろう)
失踪している弟が一人。紅葉の母親である姉、彼女の血のつながった身内は今はそれだけだ。両親も祖父母もとうに亡くなっている‥らしい。そして、祖父母にも両親にも他に兄弟がなかった。
じゃあ‥桜の息子を連れて来るか? って話が親戚会の中で出始めた時に、姉が見つかった。
そして、その姉の才能ある娘が紅葉だった。(ちなみに、千佳ちゃんには何の才能もなかったらしい)
母さんは喜んで紅葉に自分の全てを教えて、後継者にしようと目論んだ‥って訳だ。
だけど、親戚の中には
「でも‥息子がいるんだろ? 彼の方がいいんじゃないか? 」
っていう者も勿論いるわけで‥
俺の命を狙ってた奴らの中にはそういう関係の奴らもいたのかもしれないな。(いたんだろう)
だけど、母さんは絶対に俺(実の息子)を西遠寺の跡継ぎにしたくなかった。
なぜなら、俺が相生の跡継ぎだから。自分の息子が相生の跡継ぎになることだけが、今となっては、愛する人(俺の父親ね)と自分との唯一の繋がりだから。
‥邪魔されてなるものか。連れてこられても困るし、殺されたらもっと困る。
ただし、それは息子が可愛いから殺されたくないわけではなく、跡継ぎがいなくなったら困るっていう理由で‥
→まあともかく、生き残るために、俺に「何とか」対応してもらわなきゃ。
で、急遽俺を呼びよせて特訓してやれねばってことになったらしい。
なのに、
「そりゃ、私だってあんたのことが可愛いし、心配だもの」
っていけしゃあしゃあと「口だけ」心配してるようなこと言うの、ホント腹立つ。
心配してるような「最愛の」実の息子にも「ホントの顔」を見せないのがそもそも、胡散臭い。
だけど‥まるっきり嘘でもないんだろう。
ほんのちょっとは「親子の情」もあるんだろう。俺<<父さんだとしても、ちょっとくらいは‥
いくら俺だって母親が「全然」自分のこと愛してない‥ってちょっと傷つく。
人間だもの‥。
まあ‥母さんが出て行った5歳の時以来、俺の母さんは「静さん」なんだけどね。
「四朗。貴方鏡の秘術の取得‥うまく行ってないらしいわね。‥あの頃の私ったら頭が固すぎたわよねえ。相生の跡継ぎとしてふさわしい能力‥しかあの時は考えてなかったもの。「何事も器用にこなせる能力」を願えばよかったわ」
知らず知らずのうちに思い出に浸っていた俺は、母さんの声で我に返った。
「相生? 」
俺は、「聞いてなかったわけでは無いですよ」をアピールする為、母さんの言葉をオウム返しにした。
声を出すのをためらった8年前とは違う。だけどそれは「練習したから」ではなく、「何とかしたから」だ。
声の問題を何とかしてくれたのは、常に俺につくように言われている女型の臣霊だった。彼女は、鏡の秘儀を常時展開しながら、俺の声を「女の声」に変換してくれる。
「紅葉さんの声を再現しています」
って言ってた。
基本はボイスチェンジャーみたいに俺の声を変えているだけなんだけど、この頃では簡単な会話なんかは俺の意思関係なく勝手にしてくれる。
プライバシーなんかあったもんじゃないんだかけど、慣れてしまって今ではちょっとした執事代わりだ。
臣霊は母さんの式神だから、その行動やなんかはつまりは母さんの意志なのか? って思ったけど、どうやらそうじゃないらしい。
母さんの命令を遂行するために、あれこれ「自分で」考えて動いているって感じ。
‥どういう仕組みなんだろう。
「何。そのいい方だと母さんが「相生の跡継ぎに相応しい能力」を俺に望んだから、俺がその通りの能力を持って生まれて来た‥みたいないい方じゃないか。
いくら母さんが優れた術者だっていってもそれは無理でしょ。
俺が相生の跡継ぎに相応しい能力を持ってるというより、俺は相生の跡継ぎに相応しい能力を持つために凄く修行したの」
俺が言うと、母さんはふ‥と苦笑いした。
ホントは、相生の跡継ぎに相応しい能力云々っていうより‥別なことの方が気になった。
母さんが「相生の跡継ぎとしてふさわしい能力」を願ったから、俺にそれが携わった。だけど、「西遠寺に相応しい能力」は願わなかったから俺にそれがない。だから「何事も器用にこなせる能力」を願えばよかったな。
‥って部分だ。
だけど、‥何かそれについて触れるのはよした。だって、「そうすれば出来たのに」とか有り得ないから。(神じゃあるまいし! )ただ「そうすればよかったな」ってだけのことだ。願えば何とかなるってもんではない。
だけど‥そう思わずにいられなかったんだろう。
俺のせいじゃないよ、私のせいなんだよ。っていってくれてるの?
‥そうだといいな、なんて「人並の親の愛情」を目の前の人に‥期待したりした。
だけど、きっとそうじゃない。
ただの言い間違いだ。
無駄な期待とか‥しない方がいい。
‥ただ、俺は相生の才能はあるけど、西遠寺の才能はない。これが全て。
俺は努力して相生の跡継ぎになったわけでは無い。才能があったからなれたんだ。そして、才能がないから西遠寺の力を会得出来ない。
才能がないから、‥どうやっても無理なんだ。
それこそ、奇跡でも起こらない限りは。
「だけど‥もしかしたら‥」
母さんは俺が奇跡的に覚醒することを期待したんだろう。
母さんは色々なエキスパートに俺を会わせたんだけど、目の前の相手の動きに「合わせる」という感覚は、どうしてもわからなかった。
俺にも覚えがあるんだけど、当たり前に出来る人間には出来ない人間が「なぜ出来ないのか」分からないんんだ。
俺は当たり前に相生の力を使う。だけど、静の母さんには絶対に出来ない。それこそ、「出来るって感覚すら分からない」んだ。
分からないけど、する必要があれば別の方法を考えるしかない。
結果、俺は結局剣にしても弓にしても、目の前の相手と互角に勝負するために、普通に努力するほかなかったのだった。
‥なんだか、これって父さんみたいだ。
その時、何故か父さんのことを考えた。
父さんも、相生の力があまりなかったから自力で語学を身に着けた。父さんの口からそれを聞いたことはないが、俺にはわかった。‥たぶん、おじい様にもわかったのだろう。だから俺をさっさと襲名させたのだろう。
父さんは、双子だったから、もしかしたら叔父さんと力が分けられてしまったのかもしれないな。少なくとも、叔父さんに全て力がいっているわけではない。
だけど、たぶん叔父さんの方が力を受け継いでいる。それは俺には分かった。
そして、きっとそれを父さんは気づいていた。だけど、叔父さんには相生を継ぐ気はない。それがもどかしくて、父さんは叔父さんと確執があった。
だけど、おじい様にしてみたら、どちらも変わらなかったんだろう。多少多いだけの話だったわけだし。だから、全く継ぐ気がなかった叔父さんより父さんを後継者に選んだ。
旧家って大変だ。
しかし、こうして改めて考えると‥西遠寺の力は、相生の力と通ずるところがある。
西遠寺は「動き」を真似、相生は、頭の中(言語能力だけ)を真似る。
西遠寺の力に発動条件はないみたいだけど、相生にはある。
それが、自己紹介だ。
「こんにちは、私は相生四朗です。貴方は? 」
目を見て、にこやかに。
俺はそれを「相手の心にアクセスする」って呼んでる。
命令とは違う。あくまで、相手の心にお伺いを立てるって感じ? それで相手が心を開いてくれなかったら、そこまでだ。アクセスは失敗ってことになる。
失敗してるわけにはいかないから、持てる力を全部目線に込めて‥って感じ。チャンスは一回きりの真剣勝負だ。
ぶっちゃけ、色仕掛けで相手の心に無理やり入り込んじゃう‥って感じ。
おじい様たちがやたら顔にこだわるのもそのせいなんだ。
‥「同じ原理」というならやってみるか。
俺は鏡の秘儀を秘書さん(って呼んでる)に解いてもらった。
やっぱりこういうのは形から入らなきゃあね‥。
鏡の前で、ここぞという時のキラースマイル。
「こんにちは、私は相生四朗です」
と、その時ガチャリと自室の扉が開く。
「くれちゃん~帰ったの? 」「え! 」
そこには、固まっている千佳。
そして、鏡に映っている、同じく固まっている‥十八歳(であろうと思われる)自分の姿だった。
‥しまった‥
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