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第二章

第六十四話 眠っていた時間

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 レノは、一通り心配そうな言葉をかけて、部屋から出ていった。ただし、私とセインさんを部屋に二人っきりにするわけにはいかない、ということで、セインさんもこの場から退散する。

 ポフッと、誰も居なくなった部屋の中で、枕に顔を埋める。


 セインさんの片翼、私だった……。


 じわり、じわりと込み上げる歓喜。それにしばらくジタバタと悶えて、はたと気づく。


「そういえば……言い忘れ、た……」


 私の運命の番は、セインさんなのだと、そう伝えていなかったことに今更ながら気づいた。しかし、それも仕方のないことだろう。あの時は、私も完全に混乱していたのだから。

 サイドテーブルに置かれていた水差しからコップに水を入れると、落ち着くためにゴクリと飲む。すると、その時になってはじめて、空腹を自覚する。しかも、その空腹感は、一食抜いたどころではなさそうだ。


「?」


 そういえば、私はどのくらい眠っていたのだろう?


 そんな思考に行き着いた私は、ジーナを呼ぼうと手近にあるベルへと手を伸ばし……。


「失礼します。お嬢様、軽食をお持ちしました」


 ベルを鳴らす前に、ジーナが姿を現した。


「ジーナ」

「お嬢様、ご無事で、本当にようございました」


 色々と聞こうと思っていたのだが、ジーナの涙ぐむ様子を見て、その全てを飲み込む。


「心配、かけて、ごめんなさい。ありが、とう」

「えぇ、本当に心配しました! ですが、全てはもう終わったことです。さぁ、二日も眠っていたのです。消化に良いものをご用意しましたので、ゆっくりお召し上がりください」

「……ふつ、か……?」


 ふいにもたらされた情報。それに呆然とする間に、ジーナはテキパキと美味しそうなおかゆとスープを用意してくれる。


「そうですよ。さぁ、今は何も考えず、温かいものを食べて、体を休めることを優先してくださいね」


 聞かなければならないことは、きっとたくさんある。しかし、美味しそうな料理を前に、お腹がグーグーと空腹を訴え始めたため、ひとまずは食べることにする。そして、食べ終えれば、今度は急激な眠気に襲われた。


「ゆっくり、おやすみなさいませ」

「ジー、ナ……」


 そうして、私はぐっすりと、朝まで眠った。そしてその間に、本当に全ての片がつくこととなっていた。
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