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本編
アルフォンスの決意
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【アルフォンスside】
ワガママな子供だったと思う、シエスタと出逢うまでの僕は。
もし、シエスタに出逢わなければ、ニールのような傲慢で嫌な奴に成っていたと思う。
シエスタに逢うまでの僕は、常にイライラしていて心の中は嵐の状態だった。
名門バーボン伯爵家の長男として生まれた僕には、プライドしかなかった。
どうせ、勉強などしなくても、身体を鍛えなくても跡継ぎは僕だけなのだからと甘えた考えを持っていたにも関わらず、常に不安を抱いていた。
父上も母上も仕事や社交に忙しく家に居ないことの方が多かったこともあり、使用人たちは僕の不興を買うことを恐れ、小さな僕を恐れていた。
ある日、突然現れたシエスタは、使用人に八つ当たりをしていた僕を、いきなり殴りつけた……続けざまに二度も。
「殴ったな、二度も殴った!
父上にも叩かれたことも無いのに!
使用人のぶんざいで生意気だぞ !
首に成りたくなければ、顔を差し出せ!
僕が殴り返してやる ! 」
そう、喚いていた僕に
「貴方の父上や母上が躾をしないから、代わりに私が殴ってあげたのですよ。
貴方は殴られた痛みを知っても弱者を殴りますか ?」
諭すように言うシエスタに頭にきた僕は、
「僕は貴族だ、それも伯爵だぞ !
平民である使用人を叩いて、何処が悪いと言うんだよ ! 」
「悪いに決まっています。
貴族は民を守る盾であり民の為に闘う剣でもあるのです。
貴族が贅沢な 暮らしが出来るのも民があってこそなんですよ。
それに、貴方は貴族の子供であっても民に貢献もしていないのに威張る権利なんか有るわけ無いでしょう 」
知らない、誰もそんな事を教えてくれなかった。
「いったい、お前は誰なんだ ! 」
僕の質問にシエスタは、
「私の名は、シエスタ。
貴方の専属メイドであり貴方と命を共有する者です。
そして、私は貴方の味方です。
何があっても裏切らない味方なんですよ 」
ニッコリ笑うシエスタの顔を見た時に僕は、何に不安を抱いていたのか理解したんだ。
貴族社会には気を許せる者など居ない !
隙を見せれば破滅するだけだ !
何度も家庭教師に言われたことが、僕の不安を増大させていたんだ。
最初は厳しいシエスタに反発していたけど、真剣に僕のことを心配しているシエスタに、いつしか心を許していた。
今では、シエスタに逢う前のことを思い出したく無いくらいだ。
気がついたら、シエスタのことばかり考えている自分に気がついた。
僕が望むもの、僕が望む大好きな人。
シエスタが、ずっと僕の側に居れば何もいらない。
♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔
【クッキーside】
今でも覚えているわ。
シエスタたら、使用人たちに暴力を奮っていたアルフォンスを、いきなり殴るんだもの。
私も手が早い方だから、シエスタが居なければ私がアルフォンスを叩いていたと思うけど、シエスタみたいに二度もグーパンチで殴ったりはしないわ。
…………シエスタを怒らせないように気をつけようと初めて認識した日でもあるわね。
イライザもシエスタがアルフォンスを殴ったのを見ていたらしく、とてもシエスタを恐れていたわ。
だって、シエスタには貴族だろうと大人の男の人だろうと関係ないんですもの。
アルフォンスを殴った後なんかは、アルフォンスの家庭教師をしていた下級貴族の男の人を殴り続けて気絶させたくらいだもの。
シエスタ曰く、
「あの家庭教師をしていた下級貴族は、業とアルフォンスが歪むように仕向けていたので、お仕置きをしておきました 」
何でも無い風に言うシエスタに周りの大人達の顔は引きつっていたのを覚えている。
後から、あの家庭教師の下級貴族は、貴族派からの工作員だと云うのをシエスタに教えて貰ったけど、当時 子供だった私に判る訳も無く、ただただシエスタが凄いとしか思わなかったわ。
何時もは、面倒くさそうにやる気を見せないシエスタだけど、いざという時には頼りに成る私の最高の友達なのは変わらないわ。
ワガママな子供だったと思う、シエスタと出逢うまでの僕は。
もし、シエスタに出逢わなければ、ニールのような傲慢で嫌な奴に成っていたと思う。
シエスタに逢うまでの僕は、常にイライラしていて心の中は嵐の状態だった。
名門バーボン伯爵家の長男として生まれた僕には、プライドしかなかった。
どうせ、勉強などしなくても、身体を鍛えなくても跡継ぎは僕だけなのだからと甘えた考えを持っていたにも関わらず、常に不安を抱いていた。
父上も母上も仕事や社交に忙しく家に居ないことの方が多かったこともあり、使用人たちは僕の不興を買うことを恐れ、小さな僕を恐れていた。
ある日、突然現れたシエスタは、使用人に八つ当たりをしていた僕を、いきなり殴りつけた……続けざまに二度も。
「殴ったな、二度も殴った!
父上にも叩かれたことも無いのに!
使用人のぶんざいで生意気だぞ !
首に成りたくなければ、顔を差し出せ!
僕が殴り返してやる ! 」
そう、喚いていた僕に
「貴方の父上や母上が躾をしないから、代わりに私が殴ってあげたのですよ。
貴方は殴られた痛みを知っても弱者を殴りますか ?」
諭すように言うシエスタに頭にきた僕は、
「僕は貴族だ、それも伯爵だぞ !
平民である使用人を叩いて、何処が悪いと言うんだよ ! 」
「悪いに決まっています。
貴族は民を守る盾であり民の為に闘う剣でもあるのです。
貴族が贅沢な 暮らしが出来るのも民があってこそなんですよ。
それに、貴方は貴族の子供であっても民に貢献もしていないのに威張る権利なんか有るわけ無いでしょう 」
知らない、誰もそんな事を教えてくれなかった。
「いったい、お前は誰なんだ ! 」
僕の質問にシエスタは、
「私の名は、シエスタ。
貴方の専属メイドであり貴方と命を共有する者です。
そして、私は貴方の味方です。
何があっても裏切らない味方なんですよ 」
ニッコリ笑うシエスタの顔を見た時に僕は、何に不安を抱いていたのか理解したんだ。
貴族社会には気を許せる者など居ない !
隙を見せれば破滅するだけだ !
何度も家庭教師に言われたことが、僕の不安を増大させていたんだ。
最初は厳しいシエスタに反発していたけど、真剣に僕のことを心配しているシエスタに、いつしか心を許していた。
今では、シエスタに逢う前のことを思い出したく無いくらいだ。
気がついたら、シエスタのことばかり考えている自分に気がついた。
僕が望むもの、僕が望む大好きな人。
シエスタが、ずっと僕の側に居れば何もいらない。
♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔
【クッキーside】
今でも覚えているわ。
シエスタたら、使用人たちに暴力を奮っていたアルフォンスを、いきなり殴るんだもの。
私も手が早い方だから、シエスタが居なければ私がアルフォンスを叩いていたと思うけど、シエスタみたいに二度もグーパンチで殴ったりはしないわ。
…………シエスタを怒らせないように気をつけようと初めて認識した日でもあるわね。
イライザもシエスタがアルフォンスを殴ったのを見ていたらしく、とてもシエスタを恐れていたわ。
だって、シエスタには貴族だろうと大人の男の人だろうと関係ないんですもの。
アルフォンスを殴った後なんかは、アルフォンスの家庭教師をしていた下級貴族の男の人を殴り続けて気絶させたくらいだもの。
シエスタ曰く、
「あの家庭教師をしていた下級貴族は、業とアルフォンスが歪むように仕向けていたので、お仕置きをしておきました 」
何でも無い風に言うシエスタに周りの大人達の顔は引きつっていたのを覚えている。
後から、あの家庭教師の下級貴族は、貴族派からの工作員だと云うのをシエスタに教えて貰ったけど、当時 子供だった私に判る訳も無く、ただただシエスタが凄いとしか思わなかったわ。
何時もは、面倒くさそうにやる気を見せないシエスタだけど、いざという時には頼りに成る私の最高の友達なのは変わらないわ。
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