婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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討伐の旅 6

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「初めての討伐は緊張するものです。何、私も一緒に行く討伐隊の者達も慣れた者ばかり………いや、殿下のご学友でいらっしゃる方がお二人加わるのでしたな。殿下もご学友が一緒ならば、安心でしょう。」

学友………?誰が来ると言うんだ?

「キーエル男爵のジョシュア殿とクズイ子爵のミヒャエル殿が同道なさいます。移動中は無理ですが、野営などの時は一緒に過ごされると楽しいですよ!」

「そう……なのか?」

あの二人が来てくれるのか、心強いとはこの事か……
それにしても野営か………どこかに泊まる訳じゃないんだな………

「えぇ、野営の最中に仲良くなって互いの領地の商売を発展させる者もいますよ。かく言う私も、多くの仲間と互いにやり取りし兄の経営する領地に貢献しております。」

胸を張って告げるシュタインの晴れ晴れとした笑顔と言葉に、何かがストンと落ちてくる。
そうか……俺もこの討伐の旅で兄上達に貢献できる事があるのか………

「そうか………ありがとう。旅の道中、よろしく頼む。」

頼む………初めて、誰かに向かって口にした。
でも、頼まなければならない。
父上も母上も兄上達も、もう俺を甘やかしてはくれない。
なんとか、この討伐の旅で頑張らねばマリアンヌに申し訳ない。
それに側妃として、輿入れしてくる二人の事もある。

「大丈夫ですよ!私がきちんと、お守り致します。」

そう朗らかに笑うシュタインは、ピシッと礼をして部屋から退出した。

しん………と、した部屋でただ天井を見つめる。
マリアンヌに会ったら、泣かれるかな?
もしかしたら、行くな!と言ってくるかも知れない。
…………俺は生きて帰ってくる、ならば別れの挨拶なぞするべきでは無い。
出立まで時間はあるが、会わずに行こう。
愛するマリアンヌ、待っていてくれ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「はぁ!?どうして、王子であるジークフリート様が討伐なんてやらされるのよ!おかしいでしょ!!」

私は侍女頭の報告に、驚き怒った。
しかも側妃が輿入れしてくるまで、帰って来ないなんて………
これじゃあ、さっさと妊娠してこの忌々しい部屋から出られないじゃない!
宣言した子供の数が、男子限定なんて聞いてなかった!
早く赤ちゃん産んでかないと、ルーク様に会えないじゃない!
それなのに………!!
これじゃあ、あの悪役令嬢から奪った意味無いじゃん!

「それにしても、今日出立ならジークフリート様はどうしていらっしゃっらないのかしら?挨拶したいのに……私から行く事も出来ないなんて………不便ったら、ありゃしない………」

ゲームじゃ、こんな事無かったのに……
どうなってんのよ。
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