婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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討伐の旅 11

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又、馬を走らせ前方に消えたシュタインを見送りチラリと振り返ってミヒャエルを見る。
横に付いている騎士と楽しそうに話しながら、隊列を崩すこと無く歩いている。
その後ろが見れなくて、良く分からないが多分前を歩く兵士達のように討伐しているのだろなぁと思う。
げんなりした気分に、すぐさま前を向きため息をこぼす。
ミヒャエルは騎士団長の息子だし、ジョシュアは魔術師団長の息子だ……俺より手慣れているのだろう。
何だか、少しだけ悔しい……きっと俺よりも信頼されているだろうな……
自信の無い俺は良くこんな風に落ち込んで悩む、マリアンヌはいつでも明るく笑って「ジークフリート様なら大丈夫ですよ!」と励ましてくれた。
………エリーゼの「何をどう思っても、常に顔を上げて堂々となさって下さい。」なんて、詰まらない言葉は聞きたく無かった。
でも……マリアンヌに大丈夫と言われたい気持ちと、エリーゼの顔を上げてと言われた言葉が俺の心の中を駈けめぐる。

「殿下?どうかなさいましたか?」

いつ、俺の側近くに戻って来たのだろう?俺はシュタインに声を掛けられるまで考え事をしていて何も気が付かなかった。
大丈夫……大丈夫だ、顔を上げて堂々と………

「済まない、考え込んでいた。どうした?」

あからさまにホッとした顔で、横につくと笑顔で話し掛けて来た。

「この先に村がありますが、シュバルツバルト一行は村に滞在せず野営をして下さるとの事です。殿下は安全な村の宿屋でお休み出来ますぞ!」

「そうか、野営にはならないのか。」

「えぇ、殿下と私は村の宿屋で休む事になります。後は村の近くで野営になります。殿下のご友人であられる、ミヒャエル殿とジョシュア殿は野営になりますな。」

「分かった。」

ミヒャエルとジョシュアは野営なのか……仕方ないか、今日は初日だし2人には明日一緒に野営をすれば良いか。
やがて村が見えて、その小ささに驚いた。

「宿屋があるのか……?」

「ございますよ、最も小さい宿屋なんで他の者を入れるのは良くないので私達だけですがね!殿下は婚姻したばかりで用は無いようですが、娼館もありますぞ!」

村が近付くにつれ、兵士達がバラバラとバラけ始めて行く。

「このまま進むと街道となります、右側のあの柵が村の畑になりますな。それ以外の場所で野営をそれぞれ行います。先を行くシュバルツバルト一行は村を抜けた先で野営を行うと決められました。我等は前方左側の草原と村の手前になるこの辺りで野営を行います。」

村の手前で草原に分け入って行く兵士達とジョシュア達を見送り、村に入る。
まだ、明るいがその内日が沈む………
俺はシュタインと連れだって、村の小さくてオンボロな宿屋に入った。
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