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王都に行っていた奴らが何だかおかしい。
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料理の減りが大分落ち着いて来た。後は使用人達が口にする分を作れば今日の仕事は終わりだ。不味いことで有名な赤い豆と砂糖が残ってるが、これは後日使えば良いだろう。それにしても、なんで鍋に赤い豆と水が入ってるんだ?
「ようし!後は我等の分の料理を作ろう。」
あちらこちらから、喜ぶ声が聞こえて来る。そりゃそうだ、嵐のような忙しさと真夏のような暑さの中働いていたんだ。
「おい!小豆洗っておけ!」
「洗ってある!水に漬けてあるだろう!」
ん?態々赤い豆を水に漬けたのか。何でだ?何か意味があるのか……?
「誰か手が空いてるか?空いてるやつ、小豆炊いてくれ!」
「おう!」
小豆を炊く?あの赤い豆をどうするんだ?
…………鍋を火に掛けたな。煮るのか。…………何かやってるのは分かる。だが何をやってるのかは、良く分からん。あちらこちらも見なければならん。気になるが仕方ない。
「小豆、炊けました!完成です!」
「よし!料……ジムさんの所に持っていってくれ!奥様の様子も見てくれ!」
「はいっ!」
奥様?気が付けば、山ほどあった砂糖が大分減っている。何だ?赤い豆は甘くなってるのか?
「おい!ちょっと待て!少し味見をさせろ。」
「はい!料理長。おい!」
若い料理人が木の匙に赤い豆……アズキと言っていたな。アズキを掬って差し出して来た。ふむ、何だか甘い匂いだな。
「熱いので、少々お気を付けて下さい。」
「分かった。」
息を吹きかけて少し冷ましてから、少しだけ口の中に落とす。熱いが優しい甘さが口の中に広がる。どこか落ち着く香りが鼻腔を擽る。
「美味い。しかも甘い。赤い豆……アズキは不味い事で有名だ、何でだ?」
「説明は後日。こちらの小豆は奥様のお気に入りです。表に出しておけば、奥様の機嫌はかなり良くなります。」
「なる程。では、早々に出しておくように。」
「はい。」
王都の料理人達はあからさまにホッとした顔になった。奥様の恐ろしさを我々は良く分かってる。だからこそ、その奥様のご機嫌を取るのに最適な存在は皆で分かち合わなければならない案件だ。
王都の若い料理人は慎重に鍋を持って出て行った。
「仕上げはジムさんかエリーゼ様がなさるでしょう。こちらはそろそろ作り終えます。」
「ん?ああ……そうだな。後はジムが戻って来れば、我等の番だな。」
既に疲労の色が濃くなって来た料理人達やメイド達。出来た料理は片っ端から使用人用の食堂に運ばれている、ワイン樽も運び込まれたのは確認済みだ。
久しぶりの宴、しかも姫様のご帰還だ。やっぱり、姫様はここが一番に決まってる。我等の姫様だからな!
「ようし!後は我等の分の料理を作ろう。」
あちらこちらから、喜ぶ声が聞こえて来る。そりゃそうだ、嵐のような忙しさと真夏のような暑さの中働いていたんだ。
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「はい!料理長。おい!」
若い料理人が木の匙に赤い豆……アズキと言っていたな。アズキを掬って差し出して来た。ふむ、何だか甘い匂いだな。
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「分かった。」
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「美味い。しかも甘い。赤い豆……アズキは不味い事で有名だ、何でだ?」
「説明は後日。こちらの小豆は奥様のお気に入りです。表に出しておけば、奥様の機嫌はかなり良くなります。」
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「はい。」
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