婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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変わり者の天蚕とチビナビちゃん達 4

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変わり者の天蚕はお引っ越しして大きな木で夜明けを待ちます。
夜明け前のサアサアと降る優しい雨の音で目を覚まし、雨が止むまでジッと寝床で待ちます。
雨が止むと今度はソヨソヨと優しい風が吹きます。
それから暫くは暗いままだけど、このちょっぴり静かな時間も変わり者の天蚕は気に入ってます。
なぜならたまに建物が見える方から何か楽しそうな気配を感じるからです。
前に見た白と黒の四つ足だろうか?と思う。あの四つ足は仲良く駆けていたな……と思い出す。
あんな風に早く走れたら楽しそうだな……と思い、頑張っても自分はミナが歩くよりも遅くて……遅くて待たせていた。

ギギギ……
(なんでこんなに遅いのかな……)

ギチギチチ……
(うんと早かったら仲間は食べられなかったのに……)

ポチョリポチョリと寝床に水滴が落ちていた。

ギチギチ……?
(雨もりかな……?)

変わり者の天蚕は寝床の上を見ても雨もりでは無いようです。
不思議な気持ちで下を見れば自分から出ていたのに気が付きました。

ギチ……ギチチ……
(涙……泣いたのか……)

白々と夜が明ける頃、モソモソと木の天辺へと上ると朝日を受けてキラキラと輝く若葉は朝露を纏いとっても美味しそうです。
モシャモシャとその葉を食べると、とっても甘くて美味しくてもりもり食べてしまう。

「おはようですー!」

「食べてるですかー!」

「元気ですかー!」

ギッチギチィ!
(おはよう、げんきだよ!)

そう鳴いてヒョイと葉っぱの間からチビナビちゃん達を見下ろしました。
その瞬間でした。

「どうしたですー!」

「何があったですー!」

「どうして泣いたですー!」

何と変わり者の天蚕が涙を流した事に気が付きました。

ギーギチギチギチ
(食べられちゃった仲間を思い出したら涙が出ちゃったんだよ)

「でもここなら安心ですー!」

「そうですー!」

「私達も仲間ですー!食べられないから安心ですー!」

ギチギチギチ……
(ここなら安心なんだ……)

ギッチギチィ!
(そうか仲間なんだ!)

「そうですー!」

「仲間ですー!」

「だから寂しくないですー!」

ギッチギチギチィ!
(仲間が増えたよ嬉しいよ!)

「「「嬉しいですー!」」」

こうしてチビナビちゃん達と変わり者の天蚕は意気投合したんです。


今回はここまで
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