婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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じわじわ来てます!(領都のある風景)

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新しい住人が不慣れとはいえ、空いていた家に済み仕事も始めていた。
新しい住人達は旅の間に覚えた新しい料理の味を忘れる事が出来ず領主へと調味料をどうにか手に入れれないかと嘆願し、領都の点在する食べ物屋や飲み屋は新しい料理の事を聞いて是非ともその新しい料理を知りたいと嘆願した。
結果からいえば、領主館で料理を幾つか教える事となり調味料となったしょうの木やガラの木やソウの木は領主隊が大急ぎで採取しに行った。
それはエリーゼの知らない間の事であった。

潮風のあたる平原に茂るそれらの木々は乱獲するかの勢いで引き抜かれ、領都の果樹園の隅や空いた場所に植えられた。
不思議な事に実を採取すると、数日後には新しい実が出来る。
更にうっかり折った枝を地面に捨て置いていたら、その枝が根付いて実をつけだしたのだ。次々と枝が折られ、地面に突き刺され枝はグングンと伸び実をつけた。
それ故、元々ただで持ってきた木。その実も殆どただ同然であちこちの家庭や店が必要な分だけ採取して使うようになった。
あっという間に領都中に広まった新しい料理は領民の手によって僅かずつ変えられ、いわゆる家庭の味へと変化した。
そんな領都の変化は街道を行き来する者達によりじわじわと広がって行った。
それらを支援するのは元寄子貴族だった当主や、現寄子貴族達も今更塩味だけの食事には戻れ無かったからだった。
一度知った美味を味わえないのは拷問に等しかったのだ。
行商人達も領都で味わうと、可能な限り実を採取し一枝を折って鉢植えにして持って行った。
訪れる街や町、村々など行商人達も広めていった。

こうしてシュバルツバルト領の中でじんわりと広まっていったのだ。
醤油と味噌とソースとガラスープが。
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