婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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初陣 18 (ルーク)

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その後、和気藹々と朝食を食べ慣れ親しんだスタイルで旅を進める事とした。
ノエルとルチルの姿が見えるだけで心配事が無くなり、安心してクワイに乗っていられる。
まあ、それと隊員達の士気が上がったのも大きいのかも知れない。昼間はそんな風に旅が進み、夜は馬車の中温かく休まり朝方のノエルの笛で疲れも無くなる。
とにかく、ノエルが朝方癒しの笛を吹いて隊全体に治癒魔法の効果を与えてる事が隊全体にとって非常に良い事だったと付け加えておく。
恐ろしい事に隊員達全員がノエルとルチルのファン的な感じになってて、ちょっと引いたけど以前からノエル推しだった連中は四番隊最高!と言って憚らない。
そんな感じで旅は進み、一週間特にトラブルも無く目的地近くまで来た。
開けた草原に魔物除けを施し、ベースキャンプ地を作り上げる。
幾つかの班に分かれ、俺達は目撃情報のあった場所を視察に訪れていた。

「ルーク隊長、そろそろ目撃情報のあった山岳地帯に差し掛かります」

特に何かあると言う感じでは無い。ちょっとした草原に山、川が流れていて牧歌的と言えば牧歌的な場所だ。こんな所に赤竜が来る?餌になりそうなモンスターもいないし、水浴びとかやるような場所でも無いだろうに……
日当たりの良い川縁、ここに来るとは思えないが……

「ルーク隊長、何か来ます!」

大きな羽ばたく音……鳥系モンスターか?いや、飛竜もこんな音か……

「茂みに隠れて様子を見よう」

俺の言葉に全員があちこちの茂みへと身を隠して音の主を待った。
現れたのは極彩色の大きな鳥……俺には見覚えのあるモンスター。クルペッ〇だ……なる程、ヤツなら飛竜も呼び出す事は可能だ。

「あれは……初めて見ます。ルーク様は分かりますか?」

キースがまじまじとペッコを見ながら聞いてくる。チラリとバートンとルシウスを見ているが、初見って訳じゃあなさそうだった。

「初めてって訳じゃあありませんが、あいつがいると犬鳴きの主とかも出て来るから面倒なんですよね……」

「そうですね……」

バートンとルシウスがブツブツと愚痴る。ま、そうだよな……あいつ鳴き真似で呼ぶからな……

「まあ、犬鳴きの主なら良い方だ。きっとあいつ、赤竜の鳴き真似で呼んでるんだな……でなきゃ赤竜なんて出て来ないだろ……」

俺の言葉にキース、バートン、ルシウスが愕いた顔で俺を凝視した。
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