708 / 756
婚約者 (ラーラルーナ)
しおりを挟む
「明日から国境に向かう旅か……」
お父様のちょっとだけガッカリした様な声が夕食時の食堂に響く。
別に一人娘でも何でもないに、そんなにガッカリする事あるのかしら?
前世では一人娘だったから甘かったのは自覚ありだけど、こちらの世界観で言えば娘を猫っ可愛がりする親は少数派なのだけど……どうやらうちの親、特に父親は私が可愛くて仕方ないらしい。
「ホホホ……婚姻するのは一年後なのに今からそんな様では先が思いやられますわよ」
お母様が軽くお父様のメンタルを攻撃してます。お父様ったらやられ放題で、少し涙目でしてよ。
「やっと婚約者様に会える様になったのですもの、お父様喜んで下さらないの?」
上目遣いでお父様を見つめれば、お父様はコホンと咳払いすると笑顔を浮かべた。
「無論、喜んでいるよ。ただひと月もあちらに滞在するとなると、ふた月以上会えないだろう。寂しくなるな……と思ってな」
チラリと脳内で地図を展開する。下手すれば三ヶ月は会えなくなるのだけど、どれだけ早めに切り上げて欲しいのかしら?
「ホホホ……み月は帰って来れませんよ。何、甘い事言ってらっしゃるのかしら?」
「だが……いや……」
「久方ぶりに夫婦水入らずで過ごせば良いでしょう。それに何かあれば子供達もこちらに寄るでしょう」
「そうだな……」
そう!実は私には兄も姉もいるのです!兄は領地内のちょっと離れた場所に新居を建てて貰って妻子と共に暮らしてます!
姉は近隣の嫡男に輿入れして平和に暮らしてます。
所謂末っ子令嬢なので親も煩くないです!ラッキー!
荷造りは侍女達がやってくれて、私はのんびり明日に備えて休んでおけば良いだけです!が!気持ちはイベント前夜のテンションです!
絵姿でしか知らない婚約者様とその側近!イケメン同士である事を祈る!
だって、噂では私の婚約者様イケメンだって聞いたんだもん!その受けだってイケメンでいて欲しいでしょ!当然じゃない!イラスト描けなくても、妄想する位許される筈!
「それにしても、ラーラは嬉しそうだな。やはり若くて美丈夫な男に俺は勝てないのか……」
「え?若くて美丈夫ですって!お父様、会った事がありますの?!」
ハッ!と目を逸らしたお父様は、どうやら私の婚約者様のお顔を知ってるようだ……
「いや……シュバルツバルト侯とは何度も顔を合わせてるし、夫人はそれこそ有名人だったから……」
「ええ。そうですわね、フェリシア様はとても美人でいらしたもの。あのお二人の子供が美しくない等、あり得ませんわ」
美男美女の子供か……それはイケメン確定じゃないの。ラッキー。
え?ちょっと待って。美男美女だらけに嫁ぐの?私が一番平凡な顔立ちって事に……
想像しただけで血の気が引く。
「大丈夫よ。顔だけで判断する様な詰まらない方では無いと思うわよ。何と言ってもフェリシア様の子供ですもの」
フェリシア様……シュバルツバルト侯爵夫人の事だけど、かの有名なシルヴァニア公爵家令嬢だった人よね。シルヴァニア公爵家と言えば、使用人まで徹底した実力主義者ばかりだとか……そんな中で育って輿入れしたって事は、大なり小なり実力主義で育てた可能性が高いって事よね。
ならギリセーフかしら?
「私……安心して良いのかしら?」
「ふふっ大丈夫よ。フェリシア様はとても優しい方よ、だから何でも相談して頼ると良いわ」
お母様は朗らかに笑っていらっしゃるけど、お父様は青い顔でションボリしてる。
昔、何かあったのかしら?まぁ、それよりもよ……
「お母様がそう仰るなら、私、分からない事はお聞きして頼る事にしますわ」
こんな時、お父様よりもお母様の方が頼りになるわね!
全く……こんな時の男は頼りにならないと前世で良く聞いたけど、本当の様で困る。
「それでは明日の事もありますし、私部屋に下がりますね」
そう言って立ち上がり、両親にお休みなさいの挨拶をして自分の部屋へと下がる。
食堂の隅で待っていた侍女を一人連れて廊下を歩く。本来ならもう数名侍女を連れて行くのが本当なのだけど、私の一人歩きが功を奏したのか連れて歩く侍女は一人で充分だと認知された。
本当は誰もいない方が良いんだけどね。
まさか肉体強化魔法習得して、ダッシュで走ればあっという間に自分の部屋に着くとは言えないのよねー……
流石に両親も残念がると思う。侯爵令嬢として、それは余りにもはしたないと思われるのもねー……
前世レベルで言うと、のんびりな歩行速度で歩いて部屋に着く。
数名のメイドが湯浴みの準備をしてたらしくバタバタしてる。
後は侍女の言われるままに湯浴みしてベッドに入る。
最近になって王国から入荷した水石鹸なる物で体を洗われ、久し振りの……本当に久し振りのサッパリ感に浸る。
頭の天辺から足先まで、石鹸で洗われて皮膚が一枚二枚と剥がされてく快感たらもう!
誰だか分からないけど、開発して流通ルートに乗せてくれた人ありがとう!ホント、布でチョコチョコっと擦っただけの入浴から解放されて何よりよ!
……一番最初に石鹸で洗われた時のショックったら無かったわ……もう、垢だらけとしか思えなかったもの……
貴族で毎日湯浴みしてたのに、それでもポロポロと出て来る垢……庶民で碌々お風呂に入ってない人とかどうなの?怖すぎて無理……てか、もっとちゃんと体擦って!とか思ったわ。
「今日もありがとう。貴女達もゆっくり休んで頂戴」
無言で頭を下げてから次々と部屋から出て行く侍女とメイドを見送って、ベッドサイドに飾った姿絵を見つめる。
ふふ……明日から旅を楽しんで、夢にまで見る婚約者様とその側近を見るのよ~!
夢と希望で私の胸(サイズは内緒よ!でも中々良いサイズよ!)ははち切れそうよ!
待ってなさい、今世最大の推しカプよ!
お父様のちょっとだけガッカリした様な声が夕食時の食堂に響く。
別に一人娘でも何でもないに、そんなにガッカリする事あるのかしら?
前世では一人娘だったから甘かったのは自覚ありだけど、こちらの世界観で言えば娘を猫っ可愛がりする親は少数派なのだけど……どうやらうちの親、特に父親は私が可愛くて仕方ないらしい。
「ホホホ……婚姻するのは一年後なのに今からそんな様では先が思いやられますわよ」
お母様が軽くお父様のメンタルを攻撃してます。お父様ったらやられ放題で、少し涙目でしてよ。
「やっと婚約者様に会える様になったのですもの、お父様喜んで下さらないの?」
上目遣いでお父様を見つめれば、お父様はコホンと咳払いすると笑顔を浮かべた。
「無論、喜んでいるよ。ただひと月もあちらに滞在するとなると、ふた月以上会えないだろう。寂しくなるな……と思ってな」
チラリと脳内で地図を展開する。下手すれば三ヶ月は会えなくなるのだけど、どれだけ早めに切り上げて欲しいのかしら?
「ホホホ……み月は帰って来れませんよ。何、甘い事言ってらっしゃるのかしら?」
「だが……いや……」
「久方ぶりに夫婦水入らずで過ごせば良いでしょう。それに何かあれば子供達もこちらに寄るでしょう」
「そうだな……」
そう!実は私には兄も姉もいるのです!兄は領地内のちょっと離れた場所に新居を建てて貰って妻子と共に暮らしてます!
姉は近隣の嫡男に輿入れして平和に暮らしてます。
所謂末っ子令嬢なので親も煩くないです!ラッキー!
荷造りは侍女達がやってくれて、私はのんびり明日に備えて休んでおけば良いだけです!が!気持ちはイベント前夜のテンションです!
絵姿でしか知らない婚約者様とその側近!イケメン同士である事を祈る!
だって、噂では私の婚約者様イケメンだって聞いたんだもん!その受けだってイケメンでいて欲しいでしょ!当然じゃない!イラスト描けなくても、妄想する位許される筈!
「それにしても、ラーラは嬉しそうだな。やはり若くて美丈夫な男に俺は勝てないのか……」
「え?若くて美丈夫ですって!お父様、会った事がありますの?!」
ハッ!と目を逸らしたお父様は、どうやら私の婚約者様のお顔を知ってるようだ……
「いや……シュバルツバルト侯とは何度も顔を合わせてるし、夫人はそれこそ有名人だったから……」
「ええ。そうですわね、フェリシア様はとても美人でいらしたもの。あのお二人の子供が美しくない等、あり得ませんわ」
美男美女の子供か……それはイケメン確定じゃないの。ラッキー。
え?ちょっと待って。美男美女だらけに嫁ぐの?私が一番平凡な顔立ちって事に……
想像しただけで血の気が引く。
「大丈夫よ。顔だけで判断する様な詰まらない方では無いと思うわよ。何と言ってもフェリシア様の子供ですもの」
フェリシア様……シュバルツバルト侯爵夫人の事だけど、かの有名なシルヴァニア公爵家令嬢だった人よね。シルヴァニア公爵家と言えば、使用人まで徹底した実力主義者ばかりだとか……そんな中で育って輿入れしたって事は、大なり小なり実力主義で育てた可能性が高いって事よね。
ならギリセーフかしら?
「私……安心して良いのかしら?」
「ふふっ大丈夫よ。フェリシア様はとても優しい方よ、だから何でも相談して頼ると良いわ」
お母様は朗らかに笑っていらっしゃるけど、お父様は青い顔でションボリしてる。
昔、何かあったのかしら?まぁ、それよりもよ……
「お母様がそう仰るなら、私、分からない事はお聞きして頼る事にしますわ」
こんな時、お父様よりもお母様の方が頼りになるわね!
全く……こんな時の男は頼りにならないと前世で良く聞いたけど、本当の様で困る。
「それでは明日の事もありますし、私部屋に下がりますね」
そう言って立ち上がり、両親にお休みなさいの挨拶をして自分の部屋へと下がる。
食堂の隅で待っていた侍女を一人連れて廊下を歩く。本来ならもう数名侍女を連れて行くのが本当なのだけど、私の一人歩きが功を奏したのか連れて歩く侍女は一人で充分だと認知された。
本当は誰もいない方が良いんだけどね。
まさか肉体強化魔法習得して、ダッシュで走ればあっという間に自分の部屋に着くとは言えないのよねー……
流石に両親も残念がると思う。侯爵令嬢として、それは余りにもはしたないと思われるのもねー……
前世レベルで言うと、のんびりな歩行速度で歩いて部屋に着く。
数名のメイドが湯浴みの準備をしてたらしくバタバタしてる。
後は侍女の言われるままに湯浴みしてベッドに入る。
最近になって王国から入荷した水石鹸なる物で体を洗われ、久し振りの……本当に久し振りのサッパリ感に浸る。
頭の天辺から足先まで、石鹸で洗われて皮膚が一枚二枚と剥がされてく快感たらもう!
誰だか分からないけど、開発して流通ルートに乗せてくれた人ありがとう!ホント、布でチョコチョコっと擦っただけの入浴から解放されて何よりよ!
……一番最初に石鹸で洗われた時のショックったら無かったわ……もう、垢だらけとしか思えなかったもの……
貴族で毎日湯浴みしてたのに、それでもポロポロと出て来る垢……庶民で碌々お風呂に入ってない人とかどうなの?怖すぎて無理……てか、もっとちゃんと体擦って!とか思ったわ。
「今日もありがとう。貴女達もゆっくり休んで頂戴」
無言で頭を下げてから次々と部屋から出て行く侍女とメイドを見送って、ベッドサイドに飾った姿絵を見つめる。
ふふ……明日から旅を楽しんで、夢にまで見る婚約者様とその側近を見るのよ~!
夢と希望で私の胸(サイズは内緒よ!でも中々良いサイズよ!)ははち切れそうよ!
待ってなさい、今世最大の推しカプよ!
167
あなたにおすすめの小説
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ふたりの愛は「真実」らしいので、心の声が聞こえる魔道具をプレゼントしました
もるだ
恋愛
伯爵夫人になるために魔術の道を諦め厳しい教育を受けていたエリーゼに告げられたのは婚約破棄でした。「アシュリーと僕は真実の愛で結ばれてるんだ」というので、元婚約者たちには、心の声が聞こえる魔道具をプレゼントしてあげます。
〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!
山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」
夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる