婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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サテュロスゲットの旅 66

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夕暮れの中、ワイワイと晩ご飯を済ました。
チーズカレーは概ね好評で、トッピングの焼き野菜とコロコロステーキも慣れたものだった。
デザートのフルーツヨーグルトもさっぱりした甘さで皆も喜んだ。

夜中に襲撃があるかも知れない……その準備をして待機する。
テラの迫力に最初は慣れなかった隊員達も晩ご飯を食べ終わる頃にはいつも通りの雰囲気へとなっていた。

トールお兄様の天幕の中、再び会議が行われる。

「おそらく群れの長は近くまで肉薄してくるだろう。あちこちの木々に張り巡らされた蜘蛛の巣や天蚕の糸は美しいが強靱だ。それらの糸が長の侵入を阻んでいたのだろうが採取した事で来やすくなってしまった。まだ採取しきれてないが、それも残り僅かだ。」

トールお兄様の顔は少しだけ困った感じに見える。

「トールお兄様、ここは討伐戦だと思ってなるべく多くの犬鳴きを倒しましょう。」

素材集めだと思えば頑張れそう。

「そうだな。ただ、どの犬鳴きかで価値が変わる。この辺りだと毒持ちと毒無しの二種類がい?が、俺は毒無しだと有難い。毒無しならば肉も食べれるからな。」

なんと!肉も食べれるとか!ワニとかの肉に似た感じなのかな?興味ある!毒無しでありますように!

「食べれるのは良いですね。私達が食べても良いですし、集落で売っても良いですしね。」

「その通りだ。皮や爪は武装の素材に、肉は食料。骨なんかも道具の素材や武器の素材となる。たとえ毒持ちだとしても損は無い。」

私とトールお兄様の会話は止まらない。

「毒持ちでも、でさか?毒でも採れるのですか?」

「その通りだ。小型や中型を安全に討伐できる為、若年隊や領地隊に安価で売り下げる。最も大切なのは皮だからな。長の爪ならば武器に出来るが、小型の爪では切れ味の良いナイフと大して変わらない。」

なる程。安価で丈夫だが、劣化しない訳ではない。私達が身に着けている武装はとんでもなく高価だが劣化は殆ど無い。魔物の強さや格で耐久年数なんかが変わるという事なのか。

「エリーゼ、ルーク。長をなるべく生かしておいて欲しい。ある程度鳴かせると出て来る小型の数が大幅に減る。群れの数を減らしておきたい。ヘタに減らし損ねると残った小型の中から長になるものが出て来るからな。」

あー……なる程、暫く討伐しなくても良いようにか。

「分かりました。」
 
「私もです。」

ルークと私はトールお兄様の案に強く頷いた。
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