婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新天地を! 237

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「お母様、手解きとは……?」

つい怖いもの見たさで聞いてしまいました。お母様の目がトロリと蕩けるように細められました。美魔女の妖艶な色気がダダ漏れです!キャッ♡

「フフフ……そうねぇ、大型を目の前で見ても落ち着いていられる程度にはしないとね」

お母様ェ……それは手解きのレベルを超えてます。頭の中で秩序正しくかけ声的な歌を歌いながら走る米軍人(ガチムチ)の集団が見えます……そして語尾には『サーイエッサー!』とか『イエスマム!』とか付けるのでしょうか?

「エリーゼ。貴女……今、失礼な事考えたでしょう」

ヒッ!なぜバレたし!母の直感なの?それとも超能力なの?

「な……何も失礼な事なんて……」

声が僅かに震えますぅ!

「エリーゼ、語尾にちゃんとYES!ma'am!って付けないと」

バカ!ルークのバカ!以心伝心かよ!なんでそんな事言うし!ホラ!お母様の笑顔が黒いし、圧が増したし!

「ホホホ……なる程、婚約者同士言葉にせずとも理解しあってると……」

「違います!お母様、違いますから!」

私、涙目です!お兄様達もお父様も助けてくれません!無理……ルーク共々お仕置きでしょうか……

「まあ、お遊びはここまでにしましょう。ですが時期領主夫人となるのならば、お心を強く持って頂きます」

ふ……とお母様が遠い目でお父様の方を見ました。

「そうだな。領主夫人となればいつ如何なる時も心乱さず立ち居振る舞えなければならんな」

お父様もお母様の意見に賛成ですね。

「なぜそれ程迄に……」

ルークだけが理解出来ないって顔で呟いてます。まあ、そうですよね。

「ルーク。父上には兄君がいらっしゃったのだ……だが……」

キャスバルお兄様が言いにくそうに言葉を紡ごうとするも、言い辛いですよね……

「お義母様のお心が弱くて赤子の時に大型に襲われ亡くなられたの。お義母様が悪いとは思わないわ。ただ、この地が特殊である以上お心が強くなければならない」

ルークの顔が強張る。そりゃそうだ。領主家に連なる男子はもれなく大型と戦わなければならない。
失敗イコール死か大怪我。お祖父さまの兄君でいらっしゃった方も大型討伐で亡くなられた。
お兄様達もお父様もルークも五体満足でここにいる。それは戦い方を知り、常に鍛錬し生きる術を持っているから。
部隊があって、隊員達がいてもピンポイントで狙われれば死亡率は上がる。戦えなければ生きて帰って来れない。
……私みたいに魔法でバカスカ狩りあげるのとは話しが違う。殆ど減らない魔力で討伐とかチートに過ぎるものね。
待つのにも胆力は要る。私は忙しくしていたから良かった。
でも一人邸で待つのはどれ程の事か私にはまだ良く分かって無い。
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