婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

春が来た! 35

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「ね、少し見て回らない?」

「そうだな。どうぞ、お姫様」

ツイと差し出された手には剣ダコとペンダコ。のんびりボンヤリ過ごしてきた皇子様の手じゃない。
その手に手を重ねる。大きくて温かい手のひら。
キュと手を握られ柔らかい土の上を二人で歩いて行く。あちらこちらに配置された私兵達が見えるけど、それは外ならば当たり前の風景で私達には慣れた風景でもあった。
ほんの少し歩いただけで家族の笑い声は遠くなって、二人きりの世界を感じて胸が高鳴る。

「良い……家族だよな。来月には婚姻式なんて嘘みたいだよ」

「そうね。来月には邸中のバラが咲き出して壮観よ、お母様も私も好きな花ですもの」

「そうなのか?」

「そうよ。私ね、前世も庭に沢山のバラが植えてあったの。お婆ちゃんが大好きでね、お爺ちゃんが結婚する前から手に入れては庭に植えていったんだって」

「へぇ……」

「お婆ちゃんの育ったお家にもバラ園があったから、寂しくない様に模して庭造りしたんだって」

「……お祖母さんが育った家にバラ園?」

「うん。お婆ちゃん、お嬢様だったらしいの」

「そうか……」

私、そんなに変な話ししてないよね?でも、珍しいか……

「それってどこのお家か分かるか?」

「あー……東京だってのは知ってるけど、そういうの教えてくれなかったから……」

「東京……」

「ねえ、何かあるなら言って。ちょっと気分悪い……」

ずっと思案顔で口調もなんか重いし、気になるじゃん!

「いや、東京にバラ園のある家って敷地広くないと無理だろ?本当にお嬢様だったらエリーゼの前世もお嬢様だったのかな?って……」

「え?私は田舎のポツンとなお家でお一人様で清く正しく生きてましたが」

「そっか」

「そうよ!もう!」

広大な桃の果樹園の中、前世の話しとかロマンが無いわよ。

「じゃあ、前世も今世も清く正しい生き方なんだな」

「そうね……そう言われればそうだわ。でも今世はちゃんと婚姻するし、赤ちゃんも産みたい。ダメ?」

チラリと上目遣いでルークを見ればシュッと頬を染めて私を見詰めてくる。

「ダメなんかじゃない。俺もエリーゼとの子供が欲しい」

手が優しく引かれ、ルークが屈んだと思ったら手の甲にキスされました!

「エリーゼ、俺の子供産んで」

ひゃあ!イケメンが過ぎるぅ!
アワアワしちゃうじゃないのぉ!

「……はっ……はい」

そう答えるのでいっぱいいっぱいです!
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