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4巻
4-2
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「ええ! 焼いた魚を挟んでも美味しいわよ。塩味にレモン汁をかけても良いし、違う味付けの焼き魚を挟んでも美味しいと思うわ。ただ、気を付けなければならないのは骨をちゃんと抜くことね。フライを挟んだ物が好きだけど、油がないからどうしようもないわ」
「なるほど、一度試してみやしょう」
「じゃあ、トゥナ出しておくわ!」
ドサッとトゥナの塊を出しておく。多分ニキロくらいありそう。
「これ……ちゃちゃっと焼いて塩ふって、生野菜と一緒にサンドにしたら美味しそうな気がするわ……」
「じゃあ、作ってみやしょう」
料理長が近くにいました! そして作ってくれるようです! ありがとう!
……モチモチパンの焼きトゥナサンド……美味しかったです!
……今っ! 私はっ! モーレツにコーンスープが飲みたい! ので、お昼のスープはコーンスープです。コーンクリームスープではありません。中華風のコーンスープです。
パンは人任せで良いのですが、今から作るコーンスープは私と料理長で作ります。かき混ぜ役はトラジ&タマです。あ、ノエルもか!
まずはトウモロコシを焼きます。薄皮とかヒゲとか取りません。丸のまま焼くのです! コンロの格子の上にコロコロッと転がします。時折転がして全体的に焼きます。端っこに大鍋を二個置いて水を入れておきます。焼けた物を取り出し、空いてる台の所で薄皮を剥いてヒゲを取り除きます。黄色いトウモロコシを鍋に入れるのです!
「粒と芯、分離!」
鍋の上で魔力を乗せて言います。ポロポロポロと粒が剥がれ落ちていきます! 魔法って便利~!
鍋から芯を抜き取り、トウモロコシの粒だけが火にかけた大鍋二つに均等になるように入れます。
鶏ガラスープの元(乾燥したガラの実の汁・固形化)と塩適量を入れて味を整えます。
「お嬢、どうぞ」
料理長が味見用の小皿にスープを入れてくれます。コクッと飲んで、問題ないのを確認。
「溶き卵を入れて」
料理長がたっぷりの溶き卵を入れてクルクルとかき混ぜ……良い感じです。水溶き片栗粉を用意……
「料理長、とろみをつけるから見てて」
サッと退く料理長、空いた場所にサッと入り水溶き片栗粉を真ん中にザッと入れ手早くかき混ぜる。クルクルクル……トロトロトロ…………とろみがついて、美味しそう。
とろみのついたコーンスープを再度味見。うん、トロトロスープに溶き卵と粒々コーンが絶妙です。
「なるほど。覚えました」
できる男、料理長が真剣な面持ちで発言しました!
コクリと頷き、私は料理長に水溶き片栗粉を渡します。とろみのついてないスープ鍋にトライ! かき混ぜ! わぁ! 完璧じゃーん! 思わず料理長とハイタッチ。
「こいつぁ、スープはちょいと塩っぱくてこの黄色いのが甘くて良いですね!」
味見した料理長もどうやら気に入ったようです。
……狩りに行っていた人たちが帰ってきたようです。ガヤガヤと騒ぐ一団の中にルークがいました!
あれー? 男たちは手ぶらだ。マップを確認すると、丸鳥の数は減っている。
ルークが収納してきたのかしら? 余裕で歩いて来てますけど!
「エリーゼ、今から丸鳥出すから受け取ってもらえるか?」
「もちろんよ」
次から次へと出される丸鳥をじゃんじゃんしまいます。あれ? 丸鳥だけ?
「卵は人目につかない所でやりたい」
「わかったわ。そうそう、お昼はいろいろなパンよ。あとはコーンスープ。コーンクリームスープじゃないから。黄色のコーンを潰して生クリームでコクとまろやかさを出したスープじゃないから。覚えておいてね」
「あっ……ああ……」
私たちは特に騒ぐわけでもなく、料理人たちがアレコレ作ってる現場に行く。
次々と作られるパン、作られたそばからどんどんテイクアウトされるパン。
「早い者勝ちみたいね」
「なるほど。よし、ノエル抱っこだ」
「にゃ? にゃっ!」
ルークの後を大人しく付いてきていたノエルは、ピョンとルークの胸の中に飛び込みました。
「エリーゼは食べたのか?」
「試食したりして、お腹いっぱいよ」
「そうか、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
……お団子を食べたから、そんなにお腹空いてなかったしね……人ごみに混じって行ったルークの後ろ姿は、イクメンでした。頑張れルーク! きっとルークの未来は明るい!
手にサンドイッチを持って帰って来ました。……結構大きいの持って来たわね……何かしら?
ノエルは縦抱っこ? どうなってるのかしら?
「エリーゼ! 贅沢なサンドイッチ貰った!」
嬉しそう~(笑)お肉がはみ出てます。
「ノエルは貰ったの?」
「むにゃ……んにゃ……おぃひにゃ……」
覗いて見たら、両前足でしっかり掴んで食べてました。
……薄く焼いたパン? トルティーヤみたいなやつ? 何かペラペラの生地に焼いたトゥナと焼き野菜が包まれてる? うん? 違うな……何か袋状……何か、名称あったけどわかんないや。でも食べやすそうで何よりだわ。
「食べやすそうだろ、薄焼き作っててさ。半分に切って一枚の生地を二枚に開いてもらって具材を適当に入れたんだ。ノエルにはピッタリだろ?」
「そうね。で、ルークはバーガーって言うかサンドよね? 何挟んでもらったの?」
「肉! 肉! 生野菜!」
アホな答えが返って来ました。……間違ってなかった。牙猪のバラ(当たりの肉だね)と丸鳥の胸肉(大当たりです!)生野菜はタマネギのスライス、キャベツの千切り。
「味付けってどうなってるの?」
「塩味かな、でもレモン搾ってるからサッパリしてるな」
「そう、スープ飲むでしょ。貰ってくるわ」
「ありがとう、ちょうど飲みたかったんだ」
結構な大きさのサンドイッチだったわ。やっぱり男の人って食べるわよね。
……でも、好きな人がモリモリ食べてる姿って嫌いじゃないわ。
コーンスープを貰ってルークの側に行く。
「熱いわよ。はい」
「ん、サンキュ」
食べかけのサンドを受け取り器を渡す。
ルークは器を受け取り一口飲む。顔がうっすらと綻ぶ。
「美味い。中華風だな。これ、和風出汁でうどんにかけて食べたいな」
脳裏に浮かぶコーンたっぷりのうどん……
「じゃあ、夜に作ってみる?」
「良いのか? 作ってくれると嬉しい。全員か?」
「……ルークと私が食べる分だけが良いの?」
「好きな女とだけ同じ物食べるってダメか?」
「ダメ……じゃないけど、そう堂々と言われると恥ずかしい……かも」
「俺はもっと好きだって言いたい。どれだけ言っても、足りない気がしてる」
真顔で言わないでほしい。その一方でもう一人の私が、もっと言われたいって思ってる。でも、さすがに恥ずかしいし、照れる。
「足りてるから……でも、嬉しい。ありがとう……」
グイッとスープを飲み干したルークから器を受け取る。
飲み干した時、上下した喉にドキンとする。ルークは私からサンドを受け取り、ガツガツと食べ進めていく。
食べ終わって口の端に付いていた脂を指で拭い取り、ペロリと舐め取った仕草にわけもなく胸の鼓動が跳ね上がる。何でいちいち格好良いのか!
「エリーゼ、顔が赤くなってる。熱か? 大丈夫か?」
え? ルークの顔が近付いて……コツと額に……どうしよう、胸が……頭に鼓動が響く……
「熱はないな。頑張りすぎるなよ」
近いっ! 近いって! ルークめ!
間近に見えるルークの唇が、眼差しが……ドキドキして思わずギュッと瞼を閉じた。
「ゴメン……」
瞼を上げた時にはルークの顔が離れて、ちょっとだけ胸がイタイ。
離れたルークの少し寂しそうな笑顔がちょっとだけ心苦しい。
「そんな顔すんなよ。もう少し丸鳥狩ってくるよ。晩ご飯楽しみにしてる」
「うん、行ってらっしゃい。その……」
動き出そうとしたルークにちょっとだけ跳ねて、ノエルのいない方のルークの横顔にキスした。
「頑張ってね!」
手を振ろうとした手を握られ、悪い顔で笑ったルークに覗き込まれるように唇にチュッと口付けされた。イケメンめ!
「行ってくる。ほら、ノエル降りろ」
「んにゃ!」
ズルッと降りるとルークの横に付いて、ルークを見上げてる。
余裕の笑顔で、私に背を向けノエルを連れて歩いて行く。
ちょっとだけ、振り返って手を振る。
私も手を振って見送る。触らなくてもわかる、きっと私の顔は熱くて真っ赤だ。
「主のかお、まっかだにゃ!」
「ほんとにゃ! まっかにゃ!」
ピュイピュ~イ? (大丈夫?)
「大丈夫よ、そのうちいつもと一緒になるから」
チラリと見れば、料理人の所は今も盛況でお父様もお兄様たちも私に構ってる余裕はなさそうだった。ノエルと一緒だと、イケメンよりイクメンだから、普段はイケメンの破壊力をつい忘れてしまう。
「はぁ……意識しちゃうとダメね」
まともに恋愛なんてしてこなかった。今世も……前世も。
いえ、今は……子供の頃かしら? 好意を持たれて婚約して……立派な方になるのだから、私も努力しなければ! そう思って努力したのだわ。幼い頃は会う度に可愛らしいおねだりもしたのだっけ? でも、ことごとく私のお願いやおねだりは叶えてもらえなくて。
学園に入った十五歳、考えも行動も幼い殿下に呆然としたっけ……十六歳になって、私を避けあの男爵令嬢にのめり込み始めた時、呆れはてて諦めた。
まだあの頃は王家のためにできることを……と足掻いていたっけ。
友人でもある側妃候補のアンネローゼ様とミネルバ様、三人で良く学び、何とか塩街道側の貴族家を盛り立てようと考えたわ。今は領地への帰路として使っていて、細かく野営しその都度設備を残して行く……お父様の考えは流石としか言えない。だって、この先塩街道を使う者にとっては良い野営地になるはずだもの。
それだけじゃない。速度もかなり遅い。おそらく平民の荷馬車か何かでも、無理なく旅ができるほどではないかしら?
……この先も王都から出てくる者のため? まさかね……魔物に襲われる危険を冒してまで王都から出てくることなんて、あるのかしら? ないと思うけど……でも万が一ということはあるのよね。
うん? ……何やら騒がしい気が……
バタバタと隊員の人たちが……何かあったのにかしら? あら? お父様の元に行ったわ……お父様が慌ててる? キョロキョロなさって、どうしたのかしら? え……私の方に走って来たわ!
「エリーゼ、悪いが一緒に来てくれ」
「お父様? 何があったと言うのです?」
「王都民の一団が来ている。かなり酷い」
「わかりましたわ」
マップで確認すれば、外縁部に多くの人が蠢いてる。その動きを見て野営地を広げるために動いているのだとわかる。馬車を組み込むために広げてるなら、一団と言うのはかなりの人数なのかしら?
お父様と共に街道との境目まで来て愕然とした。
痩せた馬たち、傷んだ荷馬車。人の良さそうな御者が持ち主なのだろう、荷馬車の中には縮こまり震える人が何人もいた。
隊員が慌ただしくあちらこちらに立ち、武器を携え警戒している。街道には魔物除けなんてないから仕方ないけれど、旅をしたこともない民からすれば兵士が抜き身の武器を持ってウロウロしているのは怖いでしょうね。
「エリーゼ、彼らに敵意や害意があるかわかるか?」
ナビさん、マップ表示ってできましたっけ?
〈できません。ですがマスターが魔法で鑑定を行えば敵意や害意の存在は確認できると思われます〉
なるほど、鑑定ねぇ……私を中心に半径五キロくらいあれば良いかしら?
「お父様、ちょっと試してみますわね。…………鑑定」
ブワッと何かが広がる感覚がして……うん、何も感じない? うん? ……感じるけど、遠いなーマップにチラチラ見えるやつかなー? あれ魔物だなーしかも雑魚い。
「大丈夫ですわ。特に敵意や害意を感じられませんでした。でも、この方たち……」
「どうやら俺たちのあと、王都から出て来たらしい。討伐隊の直後だったから、魔物に会わずに来れたのだろう。ほぼ無傷のようだが、疲労が酷いな」
こんな時マップ確認ができるってすごい。人数もかなり多く、荷馬車は五台だけど歩いてる人もいる……主に男性だけど。再度チラリと荷馬車を覗くと中には女性と子供とお年寄り。
「良く無事だったわ……」
「全くだ。あらかた厄介なのは始末したのが良かったんだろう」
牙猪の残りがいたら全滅してたわ……おっかねー。
「総隊長、全員王都民でした。ほぼ着の身着のままの者ばかりです。わずかな手荷物で逃げて来たとのことです」
「そうか、わかった。中に組み込んだら馬たちを休ませろ。全員荷馬車から降ろして食事をさせるんだ。その間に荷馬車をどうにかしてやれ。怪我や病があるなら、治癒魔法で治してやろう」
「はっ!」
そうか……お父様は一番隊隊長で一番偉いから、総隊長になるのね。いろいろな呼ばれ方をするけど、総隊長が一番格好いい気がする。
「ん? どうしたエリーゼ、ニヤニヤして」
「お父様が総隊長って呼ばれて格好いいなぁって思って」
あら、お父様ったら嬉しそう。
「そうか! 格好いいか!」
ふふっ、お父様のこんな所がお母様は好きなんだろうなぁ。
マップに映るのは広がった野営地に合わせて少しずつ馬や馬車が移動していく様だった。渓谷に散らばっていた者たちもほとんど野営地に戻ってる。渓谷で狩りまくってるのは表示からしてルークとノエルだけになりつつある。……連携かなり上手い。
さて、食事の用意をしないと……ちゃんと物を食べていたか怪しいなら、お粥か何かじゃないと胃が驚くわ。
「お父様、この方たちの食事を用意します。最初は消化しやすい物でないと駄目でしょうから、料理長に頼んできます」
「うむ、頼んだ」
走り、料理長に伝え材料を渡す。最初は米粥、それもかなり緩い物を……
野営地は一気に、これまでとは違う騒がしさへと変わっていった。
荷馬車が組み込まれ、合流した人たちに温かい米粥を食べてもらって一息つくのを待つ。その間に馬たちの状態と荷馬車を見る。合流した人たちは皆跪き、お父様の前に集まっていた。
お父様の近くで話を聞いていたが、私たちが王都を発って三日後に何とか馬と荷馬車を手に入れて、王都から出て来たのだと言う。ろくに食料もなく、日の出と共に野営地から出て、日の沈む頃に何とか辿り着いた野営地で夜を過ごし駆け抜けるように来たのだと言う。
「ずいぶんと無茶をする。魔物に襲われなくて良かったが、運が悪ければ全員襲われて死んでいたかもしれなかったのだぞ」
「俺たちはっ……俺たちは王都で暮らしあぐねていた者ばかりです……侯爵様が王都を出た話は当日に聞きました。でも……でも、希望した王都民はあの日一緒に行ったって聞いて……俺たちは焦って……迷惑だってわかってます……でもお願いします。女房と子供だけでも侯爵様の領地に連れてってください。おねっ……お願いします……このままじゃ女房も子供も死んじまう…………!」
「待ってください! 侯爵様! この人もっ……亭主も一緒にっ……!」
女性は痩せていたり、やつれていた。子供たちも痩せている。お父様に頭を下げてる男の人たちも痩せた者がほとんど……まともに食事をとれていなかったのだろう。
着ている物も今からの時期、寒さを防ぐには厳しいはずだ。
「別々にする気はない。全員我が領に来るつもりなのか?」
一斉に頷く大人に子供もつられて頷く。お父様は一同を見渡し、天を仰いだ。
再び彼らを見たお父様の顔は、私が好きな凛々しくって男らしい、渋格好いい顔だった。
「良いだろう。では、全員我が領に共に行こう。良く頑張った。今日はここから動かない故、ゆっくり過ごすと良い」
合流した人々は口々に礼を述べて額づいた。
「エリーゼ、食料は足りるか?」
お父様の問いはもっともだ。
「大丈夫です。肉類は討伐した物で十分ですし、野菜や果物も余程のことでもない限り足ります」
「そうか、そろそろ各集落に立ち寄れる。あちこち寄って、金を落とさねばならん。必要な物があれば、好きなだけ買い求めて構わん」
ん? んー……? 特に欲しい物はないかも……でも、お父様の気持ちもあるわよね。
「ありがとうございます、お父様。私、お父様の娘で良かったわ」
ニコッとな! お父様、これでご機嫌ですか、そうですか。チョロ……
「エリーゼ、良いか?」
長兄でイケメンなキャスバルお兄様がやって来た。
「キャスバルお兄様。どうかなさいましたか?」
キリッとした真剣なお顔でどうしたのかしら?
「うちの隊員の見立てでは、全員栄養不足らしい。滋養のつくものが良いらしいが、獣の肉は胃に負担がかかりすぎるから待ってほしいと言っている。どうにかなるか?」
「お魚もまだたくさんありますし、野菜もたっぷり使った物を食べていただきましょう」
ふむ……まだ早いけど、仕込みをするべきかしら?
マップを確認すればルークとノエルは、まだ丸鳥の狩りの途中だ。
大分狩ってるね!
ルークとの約束、もろこし玉子うどんは作る。胃に優しいもの……魚のすり身と長芋でお団子を作って、野菜たっぷりのお味噌汁が良いかな?
あと、お粥。玉子粥にしよう。でも汁感スゴいかも。
今日来た人たちはこれで様子を見て、今まで一緒に旅をしてきた人たちにはハンバーグかな……今まで手出ししなかった角兎の肉やボア系の馴染みのある肉と牙猪の脂をまぜ込んで作るか……焼かずに煮込むか。キャベツやトマト、タマネギあたりと一緒なら鶏ガラで煮込めば美味しいかな……?
「料理長、あのね……」
説明は長いんで割愛。材料をどばどばと山盛りに盛って頼む。出汁を取った後のお味噌汁は料理人たちに作ってもらう。
お粥も卵を入れるまではお願いする。あとはルークの丸鳥卵待ち。
さて私はうどんの麺、作るか……なんとなくだけど、作れた。とりあえず数本茹でる……茹だった……ツルツルッと良い食感。うどんだわ。じゃあ麺は収納しとこう。
鍋をゴトッと出して、中にトゥナをボトンと落とし込む。長芋を出して、魔法で皮剥き。クルクルクルッと皮が剥けていく。便利。長芋も鍋に入れる。ちょっと圧をかけて攪拌まーぜまぜまぜ。
一旦攪拌を止めて、塩をパラリ。再度まぜまぜ……
浅鍋を出して少量の椿油を注ぎ、匙で掬って焼いていく。ちょっと揚げ焼きに近い。でも、仕方ない……揚げ物するほどの油は使えないのだ。
キツネ色になったら取り出し、皿に載せていく。
一つ味見として食べてみる。ふんわりしていて食べやすい。
「んー……消化には良いと思うけど。味付け、気に入ってもらえるかしら?」
後から来た人たちは、初めて口にするのよね……お味噌汁。大鍋を出して水を張る。出汁を作んないとな! 大鍋ドーン! 水バーン! ……沸騰したので節花ガッサーと入れる。ふふっ! 向こうを手伝ってるトラジとタマがソワソワしてる。もう少ししたら取り出して……あぁ、でもノエルが泣いちゃうかしら? ノエルの分を取り置いておかないとね。
……これって魔法でどうにかなんないのかな? 集める用の小鍋を持って、そう思う。
「節花、集合小鍋に入れ♪ ……って入って来たよ……」
ありがとう神様! とっても便利! そしてそのまま収納です! 今だとケンカになっちゃう! チラッと見たら、二匹がガーン! って顔している。目はまん丸、お口がパカーッて開いちゃった。うん、そんな顔してもダメ! 可愛いし面白いけど(笑)
皮付きトウモロコシをコロコロっと五本コンロで素焼きする。蒸し焼きみたいになってあれ、美味しかったのよね。
タケノコ皮付き直火焼きが食べたくなっちゃう……春のご馳走……日本酒といただく山の幸。今は島の幸だけど。
「なるほど、一度試してみやしょう」
「じゃあ、トゥナ出しておくわ!」
ドサッとトゥナの塊を出しておく。多分ニキロくらいありそう。
「これ……ちゃちゃっと焼いて塩ふって、生野菜と一緒にサンドにしたら美味しそうな気がするわ……」
「じゃあ、作ってみやしょう」
料理長が近くにいました! そして作ってくれるようです! ありがとう!
……モチモチパンの焼きトゥナサンド……美味しかったです!
……今っ! 私はっ! モーレツにコーンスープが飲みたい! ので、お昼のスープはコーンスープです。コーンクリームスープではありません。中華風のコーンスープです。
パンは人任せで良いのですが、今から作るコーンスープは私と料理長で作ります。かき混ぜ役はトラジ&タマです。あ、ノエルもか!
まずはトウモロコシを焼きます。薄皮とかヒゲとか取りません。丸のまま焼くのです! コンロの格子の上にコロコロッと転がします。時折転がして全体的に焼きます。端っこに大鍋を二個置いて水を入れておきます。焼けた物を取り出し、空いてる台の所で薄皮を剥いてヒゲを取り除きます。黄色いトウモロコシを鍋に入れるのです!
「粒と芯、分離!」
鍋の上で魔力を乗せて言います。ポロポロポロと粒が剥がれ落ちていきます! 魔法って便利~!
鍋から芯を抜き取り、トウモロコシの粒だけが火にかけた大鍋二つに均等になるように入れます。
鶏ガラスープの元(乾燥したガラの実の汁・固形化)と塩適量を入れて味を整えます。
「お嬢、どうぞ」
料理長が味見用の小皿にスープを入れてくれます。コクッと飲んで、問題ないのを確認。
「溶き卵を入れて」
料理長がたっぷりの溶き卵を入れてクルクルとかき混ぜ……良い感じです。水溶き片栗粉を用意……
「料理長、とろみをつけるから見てて」
サッと退く料理長、空いた場所にサッと入り水溶き片栗粉を真ん中にザッと入れ手早くかき混ぜる。クルクルクル……トロトロトロ…………とろみがついて、美味しそう。
とろみのついたコーンスープを再度味見。うん、トロトロスープに溶き卵と粒々コーンが絶妙です。
「なるほど。覚えました」
できる男、料理長が真剣な面持ちで発言しました!
コクリと頷き、私は料理長に水溶き片栗粉を渡します。とろみのついてないスープ鍋にトライ! かき混ぜ! わぁ! 完璧じゃーん! 思わず料理長とハイタッチ。
「こいつぁ、スープはちょいと塩っぱくてこの黄色いのが甘くて良いですね!」
味見した料理長もどうやら気に入ったようです。
……狩りに行っていた人たちが帰ってきたようです。ガヤガヤと騒ぐ一団の中にルークがいました!
あれー? 男たちは手ぶらだ。マップを確認すると、丸鳥の数は減っている。
ルークが収納してきたのかしら? 余裕で歩いて来てますけど!
「エリーゼ、今から丸鳥出すから受け取ってもらえるか?」
「もちろんよ」
次から次へと出される丸鳥をじゃんじゃんしまいます。あれ? 丸鳥だけ?
「卵は人目につかない所でやりたい」
「わかったわ。そうそう、お昼はいろいろなパンよ。あとはコーンスープ。コーンクリームスープじゃないから。黄色のコーンを潰して生クリームでコクとまろやかさを出したスープじゃないから。覚えておいてね」
「あっ……ああ……」
私たちは特に騒ぐわけでもなく、料理人たちがアレコレ作ってる現場に行く。
次々と作られるパン、作られたそばからどんどんテイクアウトされるパン。
「早い者勝ちみたいね」
「なるほど。よし、ノエル抱っこだ」
「にゃ? にゃっ!」
ルークの後を大人しく付いてきていたノエルは、ピョンとルークの胸の中に飛び込みました。
「エリーゼは食べたのか?」
「試食したりして、お腹いっぱいよ」
「そうか、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
……お団子を食べたから、そんなにお腹空いてなかったしね……人ごみに混じって行ったルークの後ろ姿は、イクメンでした。頑張れルーク! きっとルークの未来は明るい!
手にサンドイッチを持って帰って来ました。……結構大きいの持って来たわね……何かしら?
ノエルは縦抱っこ? どうなってるのかしら?
「エリーゼ! 贅沢なサンドイッチ貰った!」
嬉しそう~(笑)お肉がはみ出てます。
「ノエルは貰ったの?」
「むにゃ……んにゃ……おぃひにゃ……」
覗いて見たら、両前足でしっかり掴んで食べてました。
……薄く焼いたパン? トルティーヤみたいなやつ? 何かペラペラの生地に焼いたトゥナと焼き野菜が包まれてる? うん? 違うな……何か袋状……何か、名称あったけどわかんないや。でも食べやすそうで何よりだわ。
「食べやすそうだろ、薄焼き作っててさ。半分に切って一枚の生地を二枚に開いてもらって具材を適当に入れたんだ。ノエルにはピッタリだろ?」
「そうね。で、ルークはバーガーって言うかサンドよね? 何挟んでもらったの?」
「肉! 肉! 生野菜!」
アホな答えが返って来ました。……間違ってなかった。牙猪のバラ(当たりの肉だね)と丸鳥の胸肉(大当たりです!)生野菜はタマネギのスライス、キャベツの千切り。
「味付けってどうなってるの?」
「塩味かな、でもレモン搾ってるからサッパリしてるな」
「そう、スープ飲むでしょ。貰ってくるわ」
「ありがとう、ちょうど飲みたかったんだ」
結構な大きさのサンドイッチだったわ。やっぱり男の人って食べるわよね。
……でも、好きな人がモリモリ食べてる姿って嫌いじゃないわ。
コーンスープを貰ってルークの側に行く。
「熱いわよ。はい」
「ん、サンキュ」
食べかけのサンドを受け取り器を渡す。
ルークは器を受け取り一口飲む。顔がうっすらと綻ぶ。
「美味い。中華風だな。これ、和風出汁でうどんにかけて食べたいな」
脳裏に浮かぶコーンたっぷりのうどん……
「じゃあ、夜に作ってみる?」
「良いのか? 作ってくれると嬉しい。全員か?」
「……ルークと私が食べる分だけが良いの?」
「好きな女とだけ同じ物食べるってダメか?」
「ダメ……じゃないけど、そう堂々と言われると恥ずかしい……かも」
「俺はもっと好きだって言いたい。どれだけ言っても、足りない気がしてる」
真顔で言わないでほしい。その一方でもう一人の私が、もっと言われたいって思ってる。でも、さすがに恥ずかしいし、照れる。
「足りてるから……でも、嬉しい。ありがとう……」
グイッとスープを飲み干したルークから器を受け取る。
飲み干した時、上下した喉にドキンとする。ルークは私からサンドを受け取り、ガツガツと食べ進めていく。
食べ終わって口の端に付いていた脂を指で拭い取り、ペロリと舐め取った仕草にわけもなく胸の鼓動が跳ね上がる。何でいちいち格好良いのか!
「エリーゼ、顔が赤くなってる。熱か? 大丈夫か?」
え? ルークの顔が近付いて……コツと額に……どうしよう、胸が……頭に鼓動が響く……
「熱はないな。頑張りすぎるなよ」
近いっ! 近いって! ルークめ!
間近に見えるルークの唇が、眼差しが……ドキドキして思わずギュッと瞼を閉じた。
「ゴメン……」
瞼を上げた時にはルークの顔が離れて、ちょっとだけ胸がイタイ。
離れたルークの少し寂しそうな笑顔がちょっとだけ心苦しい。
「そんな顔すんなよ。もう少し丸鳥狩ってくるよ。晩ご飯楽しみにしてる」
「うん、行ってらっしゃい。その……」
動き出そうとしたルークにちょっとだけ跳ねて、ノエルのいない方のルークの横顔にキスした。
「頑張ってね!」
手を振ろうとした手を握られ、悪い顔で笑ったルークに覗き込まれるように唇にチュッと口付けされた。イケメンめ!
「行ってくる。ほら、ノエル降りろ」
「んにゃ!」
ズルッと降りるとルークの横に付いて、ルークを見上げてる。
余裕の笑顔で、私に背を向けノエルを連れて歩いて行く。
ちょっとだけ、振り返って手を振る。
私も手を振って見送る。触らなくてもわかる、きっと私の顔は熱くて真っ赤だ。
「主のかお、まっかだにゃ!」
「ほんとにゃ! まっかにゃ!」
ピュイピュ~イ? (大丈夫?)
「大丈夫よ、そのうちいつもと一緒になるから」
チラリと見れば、料理人の所は今も盛況でお父様もお兄様たちも私に構ってる余裕はなさそうだった。ノエルと一緒だと、イケメンよりイクメンだから、普段はイケメンの破壊力をつい忘れてしまう。
「はぁ……意識しちゃうとダメね」
まともに恋愛なんてしてこなかった。今世も……前世も。
いえ、今は……子供の頃かしら? 好意を持たれて婚約して……立派な方になるのだから、私も努力しなければ! そう思って努力したのだわ。幼い頃は会う度に可愛らしいおねだりもしたのだっけ? でも、ことごとく私のお願いやおねだりは叶えてもらえなくて。
学園に入った十五歳、考えも行動も幼い殿下に呆然としたっけ……十六歳になって、私を避けあの男爵令嬢にのめり込み始めた時、呆れはてて諦めた。
まだあの頃は王家のためにできることを……と足掻いていたっけ。
友人でもある側妃候補のアンネローゼ様とミネルバ様、三人で良く学び、何とか塩街道側の貴族家を盛り立てようと考えたわ。今は領地への帰路として使っていて、細かく野営しその都度設備を残して行く……お父様の考えは流石としか言えない。だって、この先塩街道を使う者にとっては良い野営地になるはずだもの。
それだけじゃない。速度もかなり遅い。おそらく平民の荷馬車か何かでも、無理なく旅ができるほどではないかしら?
……この先も王都から出てくる者のため? まさかね……魔物に襲われる危険を冒してまで王都から出てくることなんて、あるのかしら? ないと思うけど……でも万が一ということはあるのよね。
うん? ……何やら騒がしい気が……
バタバタと隊員の人たちが……何かあったのにかしら? あら? お父様の元に行ったわ……お父様が慌ててる? キョロキョロなさって、どうしたのかしら? え……私の方に走って来たわ!
「エリーゼ、悪いが一緒に来てくれ」
「お父様? 何があったと言うのです?」
「王都民の一団が来ている。かなり酷い」
「わかりましたわ」
マップで確認すれば、外縁部に多くの人が蠢いてる。その動きを見て野営地を広げるために動いているのだとわかる。馬車を組み込むために広げてるなら、一団と言うのはかなりの人数なのかしら?
お父様と共に街道との境目まで来て愕然とした。
痩せた馬たち、傷んだ荷馬車。人の良さそうな御者が持ち主なのだろう、荷馬車の中には縮こまり震える人が何人もいた。
隊員が慌ただしくあちらこちらに立ち、武器を携え警戒している。街道には魔物除けなんてないから仕方ないけれど、旅をしたこともない民からすれば兵士が抜き身の武器を持ってウロウロしているのは怖いでしょうね。
「エリーゼ、彼らに敵意や害意があるかわかるか?」
ナビさん、マップ表示ってできましたっけ?
〈できません。ですがマスターが魔法で鑑定を行えば敵意や害意の存在は確認できると思われます〉
なるほど、鑑定ねぇ……私を中心に半径五キロくらいあれば良いかしら?
「お父様、ちょっと試してみますわね。…………鑑定」
ブワッと何かが広がる感覚がして……うん、何も感じない? うん? ……感じるけど、遠いなーマップにチラチラ見えるやつかなー? あれ魔物だなーしかも雑魚い。
「大丈夫ですわ。特に敵意や害意を感じられませんでした。でも、この方たち……」
「どうやら俺たちのあと、王都から出て来たらしい。討伐隊の直後だったから、魔物に会わずに来れたのだろう。ほぼ無傷のようだが、疲労が酷いな」
こんな時マップ確認ができるってすごい。人数もかなり多く、荷馬車は五台だけど歩いてる人もいる……主に男性だけど。再度チラリと荷馬車を覗くと中には女性と子供とお年寄り。
「良く無事だったわ……」
「全くだ。あらかた厄介なのは始末したのが良かったんだろう」
牙猪の残りがいたら全滅してたわ……おっかねー。
「総隊長、全員王都民でした。ほぼ着の身着のままの者ばかりです。わずかな手荷物で逃げて来たとのことです」
「そうか、わかった。中に組み込んだら馬たちを休ませろ。全員荷馬車から降ろして食事をさせるんだ。その間に荷馬車をどうにかしてやれ。怪我や病があるなら、治癒魔法で治してやろう」
「はっ!」
そうか……お父様は一番隊隊長で一番偉いから、総隊長になるのね。いろいろな呼ばれ方をするけど、総隊長が一番格好いい気がする。
「ん? どうしたエリーゼ、ニヤニヤして」
「お父様が総隊長って呼ばれて格好いいなぁって思って」
あら、お父様ったら嬉しそう。
「そうか! 格好いいか!」
ふふっ、お父様のこんな所がお母様は好きなんだろうなぁ。
マップに映るのは広がった野営地に合わせて少しずつ馬や馬車が移動していく様だった。渓谷に散らばっていた者たちもほとんど野営地に戻ってる。渓谷で狩りまくってるのは表示からしてルークとノエルだけになりつつある。……連携かなり上手い。
さて、食事の用意をしないと……ちゃんと物を食べていたか怪しいなら、お粥か何かじゃないと胃が驚くわ。
「お父様、この方たちの食事を用意します。最初は消化しやすい物でないと駄目でしょうから、料理長に頼んできます」
「うむ、頼んだ」
走り、料理長に伝え材料を渡す。最初は米粥、それもかなり緩い物を……
野営地は一気に、これまでとは違う騒がしさへと変わっていった。
荷馬車が組み込まれ、合流した人たちに温かい米粥を食べてもらって一息つくのを待つ。その間に馬たちの状態と荷馬車を見る。合流した人たちは皆跪き、お父様の前に集まっていた。
お父様の近くで話を聞いていたが、私たちが王都を発って三日後に何とか馬と荷馬車を手に入れて、王都から出て来たのだと言う。ろくに食料もなく、日の出と共に野営地から出て、日の沈む頃に何とか辿り着いた野営地で夜を過ごし駆け抜けるように来たのだと言う。
「ずいぶんと無茶をする。魔物に襲われなくて良かったが、運が悪ければ全員襲われて死んでいたかもしれなかったのだぞ」
「俺たちはっ……俺たちは王都で暮らしあぐねていた者ばかりです……侯爵様が王都を出た話は当日に聞きました。でも……でも、希望した王都民はあの日一緒に行ったって聞いて……俺たちは焦って……迷惑だってわかってます……でもお願いします。女房と子供だけでも侯爵様の領地に連れてってください。おねっ……お願いします……このままじゃ女房も子供も死んじまう…………!」
「待ってください! 侯爵様! この人もっ……亭主も一緒にっ……!」
女性は痩せていたり、やつれていた。子供たちも痩せている。お父様に頭を下げてる男の人たちも痩せた者がほとんど……まともに食事をとれていなかったのだろう。
着ている物も今からの時期、寒さを防ぐには厳しいはずだ。
「別々にする気はない。全員我が領に来るつもりなのか?」
一斉に頷く大人に子供もつられて頷く。お父様は一同を見渡し、天を仰いだ。
再び彼らを見たお父様の顔は、私が好きな凛々しくって男らしい、渋格好いい顔だった。
「良いだろう。では、全員我が領に共に行こう。良く頑張った。今日はここから動かない故、ゆっくり過ごすと良い」
合流した人々は口々に礼を述べて額づいた。
「エリーゼ、食料は足りるか?」
お父様の問いはもっともだ。
「大丈夫です。肉類は討伐した物で十分ですし、野菜や果物も余程のことでもない限り足ります」
「そうか、そろそろ各集落に立ち寄れる。あちこち寄って、金を落とさねばならん。必要な物があれば、好きなだけ買い求めて構わん」
ん? んー……? 特に欲しい物はないかも……でも、お父様の気持ちもあるわよね。
「ありがとうございます、お父様。私、お父様の娘で良かったわ」
ニコッとな! お父様、これでご機嫌ですか、そうですか。チョロ……
「エリーゼ、良いか?」
長兄でイケメンなキャスバルお兄様がやって来た。
「キャスバルお兄様。どうかなさいましたか?」
キリッとした真剣なお顔でどうしたのかしら?
「うちの隊員の見立てでは、全員栄養不足らしい。滋養のつくものが良いらしいが、獣の肉は胃に負担がかかりすぎるから待ってほしいと言っている。どうにかなるか?」
「お魚もまだたくさんありますし、野菜もたっぷり使った物を食べていただきましょう」
ふむ……まだ早いけど、仕込みをするべきかしら?
マップを確認すればルークとノエルは、まだ丸鳥の狩りの途中だ。
大分狩ってるね!
ルークとの約束、もろこし玉子うどんは作る。胃に優しいもの……魚のすり身と長芋でお団子を作って、野菜たっぷりのお味噌汁が良いかな?
あと、お粥。玉子粥にしよう。でも汁感スゴいかも。
今日来た人たちはこれで様子を見て、今まで一緒に旅をしてきた人たちにはハンバーグかな……今まで手出ししなかった角兎の肉やボア系の馴染みのある肉と牙猪の脂をまぜ込んで作るか……焼かずに煮込むか。キャベツやトマト、タマネギあたりと一緒なら鶏ガラで煮込めば美味しいかな……?
「料理長、あのね……」
説明は長いんで割愛。材料をどばどばと山盛りに盛って頼む。出汁を取った後のお味噌汁は料理人たちに作ってもらう。
お粥も卵を入れるまではお願いする。あとはルークの丸鳥卵待ち。
さて私はうどんの麺、作るか……なんとなくだけど、作れた。とりあえず数本茹でる……茹だった……ツルツルッと良い食感。うどんだわ。じゃあ麺は収納しとこう。
鍋をゴトッと出して、中にトゥナをボトンと落とし込む。長芋を出して、魔法で皮剥き。クルクルクルッと皮が剥けていく。便利。長芋も鍋に入れる。ちょっと圧をかけて攪拌まーぜまぜまぜ。
一旦攪拌を止めて、塩をパラリ。再度まぜまぜ……
浅鍋を出して少量の椿油を注ぎ、匙で掬って焼いていく。ちょっと揚げ焼きに近い。でも、仕方ない……揚げ物するほどの油は使えないのだ。
キツネ色になったら取り出し、皿に載せていく。
一つ味見として食べてみる。ふんわりしていて食べやすい。
「んー……消化には良いと思うけど。味付け、気に入ってもらえるかしら?」
後から来た人たちは、初めて口にするのよね……お味噌汁。大鍋を出して水を張る。出汁を作んないとな! 大鍋ドーン! 水バーン! ……沸騰したので節花ガッサーと入れる。ふふっ! 向こうを手伝ってるトラジとタマがソワソワしてる。もう少ししたら取り出して……あぁ、でもノエルが泣いちゃうかしら? ノエルの分を取り置いておかないとね。
……これって魔法でどうにかなんないのかな? 集める用の小鍋を持って、そう思う。
「節花、集合小鍋に入れ♪ ……って入って来たよ……」
ありがとう神様! とっても便利! そしてそのまま収納です! 今だとケンカになっちゃう! チラッと見たら、二匹がガーン! って顔している。目はまん丸、お口がパカーッて開いちゃった。うん、そんな顔してもダメ! 可愛いし面白いけど(笑)
皮付きトウモロコシをコロコロっと五本コンロで素焼きする。蒸し焼きみたいになってあれ、美味しかったのよね。
タケノコ皮付き直火焼きが食べたくなっちゃう……春のご馳走……日本酒といただく山の幸。今は島の幸だけど。
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