料理をしていたらいつの間にか歩くマジックアイテムになっていた

藤岡 フジオ

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華麗なる大円舞

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「何の話をしているかはわからんが、邪魔するぞ!」

 白い獅子人が吠えた。

(似非戦士の俺じゃ駄目だけど、トウスさんなら、いける! こいつの防御はそこまで高くない!)

 このヒドラ星人の防御シールドは、地球人のものより効果が薄い。押し切れば何とかなるレベルだ。

 トウスさんも同じように感じたのか、右脚、右手を前に出して攻撃をする構えを見せた。そして一秒の間を置いて、ヒドラ星人の前まで一息に飛び出す。

「一突き穿孔!」

 簡単に言えば、一瞬で間合いを詰めて繰り出す刺突技である。先程ウィングが見せた技と同じ。同じなのに、勢いや気迫が違う。実力値が上がれば、遠くからでも当てる事ができるらしいが、そうなると溜めが必要らしい。

 トウスさんの一撃は、あっさりとヒドラ星人の張る防御シールドの限界を超えた。

 水冠のような波紋を見せて、透明の壁が揺らめく。

「ぎゃ!」

 魔剣・必中が、一匹の頭を砕く。

「チッ! それでもたった一匹か」

「いたた。意外とやるの。これは参った」

 参ったようには見えない。青い血が垂れているのが見えているが、そこまでのダメージじゃなかったのだろう。

「シュッ~~~!」

 うわっ! いきなり噛みつき攻撃をしてきたぞ。蛇としては真っ当な攻撃だ。てっきり宇宙人だから、レーザー銃とかを撃ってくるのかと思ったけどな!

 勿論、躱す。覚醒した俺は、躱すのが上手い。

 が、無数の蛇の攻撃はしつこく、広範囲に及ぶ。

 俺と同じように躱していたトウスさんとウィングがジリ貧になり、噛まれそうになった。

「危ない!」

 俺は、フライングボディアタックのような姿勢で二人の前に出て庇った。

 ――――ガブガブ!

「いでぇ!」

「オビオ! 大丈夫か?」

 滅多矢鱈と、ハチャメチャに噛まれてるじゃねぇか、俺! 辺境伯がかけてくれた【物理障壁】どこいった? 一回きりだったの?

「大丈・・」

 大丈夫と言おうとしたら、今頃になって、脳内に敵の情報が流れてくる。

 ――――猛毒! こいつ猛毒の牙を持ってやがる! 前言撤回。大丈夫じゃないぞ。俺のナノマシンによる回復と猛毒ダメージが拮抗してしまっている。

 拮抗しているならいいじゃないかと思うかもしれないが、毒を受けている間は吐き気や目眩が襲ってくる。

「おぇぇぇ!」

 下手な回復力がある俺ならではの地獄。

「毒を癒せ!」

 ――――ポワァァ!

 嘔吐して、くの字になる俺の体が光り輝いた。ありがてぇ! 毒が軽くなった。後は自力で治せる! 修道騎士のメリィがパーティにいてくれて良かった。癒やし手バンザイ!

「皆、気をつけろ。こいつ、ただの毒じゃなくて、猛毒攻撃をしてくるぞ!」

「だろう、ね。庇ってくれて感謝するよ、オビオ」

 何が「だろう、ね」だ。ウィングめ。知ったかぶりの細目野郎。

「オビオ、あんがとな!」

 トウスさんは、バツが悪そうな顔してる。いいよぉ。ぜ~んぜん、いい。

「【吹雪】!」

 突如氷系魔法がヒドラ星人を襲う。ずっと詠唱してたのか、ブラッド辺境伯は。なんか静かだと思った。

 しかし、ヒドラ星人の防御シールドが魔法を阻んでるぞ!

 ・・・やべぇ。

 俺たちがヒドラ星人を押しているように見えてるけど、そうじゃない。これはスタミナやマナが切れたらおしまいのパターンだ。メリィもあんまり祈りで支援ばかりしていると、精神疲労でボンヤリしだすだろう。

「もうこうなりゃ、あれだ。あれをやるしかないな」

「あれ、とは? オビオ」

「連携技だ。一気に押し切らないと俺たちは負ける。そういう戦法があるんだろ? どうなんだ? ウィング」

「あるにはあるが。そんなもの、一度も練習をしたことがないだろう? 一発勝負で決まるもんじゃないよ」

「でも、やるしかない」

「やってもいいが、あれは最初にフェイント攻撃をする者が必要だ。誰がやる?」

 猛毒の猛攻撃を掻い潜って、ヒドラ星人を翻弄し続ける仕事は・・・。素早い俺が適任だな・・・。本当ならピーターあたりにやってほしいが、奴はいない。

「俺がやる・・・」

「まぁ、その役目は君しかいないけどね。君が連携攻撃に加わっても効果的じゃないし。リュウグが加わった方がましだ」

 言ってくれる。・・・。でも、その通りなんだよなぁ。

「はぁ。なるべくヒドラ星人には近づきたくないなぁ。少しでも離れてフェイント攻撃できないかな・・・」

 ボヤいてから、「そうだ!」と閃く。 俺は亜空間ポケットから、とあるものを取り出した。

 こいつなら脅威とみなされず、防御シールドを通過するはずだ。

「じゃあ、俺が動いたら、リュウグ、トウスさん、ウィングの順で頼む。加われそうなら、最後に辺境伯も!」

 皆が目配せした後に、頷いた。

「ほぉぉぉ~~!」

 俺は甲高くそう叫んでから、アクロバティックな動きで、ヒドラ星人の周りを跳ねる。

「どうしたね? オビオ君。急にましらの如く飛び跳ねて」

「うるせぃ! 黙って見てろ! 俺は! 今から! お前を! 料理する!」

「どうせ、君は囮だろう? おとなしく君だけを見るなんて事は。――――??」

 ヘビたちが一斉にフスンフスンといい始めた。

「ハーーークション!」

 よし! 成功!

 皆が攻撃準備している間、ヒドラ星人にカウンターや回避の構えをさせなければいいんだ。それが俺の役目。

 着地しては空中に飛んで体を捻る俺の下で、ヒドラ星人は粉胡椒の煙に包まれていた。
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