料理をしていたらいつの間にか歩くマジックアイテムになっていた

藤岡 フジオ

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侵略者

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 降下する視界の端で、辺境伯が詠唱を開始した。

 先程、ダーレにかけた魔法、【物理障壁】だ。敵が障壁に触れるとダメージを受ける。それが俺たちを覆っているんだ。こんなに心強いものはない。

「地獄へ堕ちろ~~~!!」

 俺は、偽者の脳天を突き刺すイメージをしながらそう叫んだ。

 ――――バチッ!!

 偽者の頭上手前の空間がブロック状になって欠けて、元通りになった。なので攻撃は通っていない。

「これは! 物理防御シールド?!」

 見覚えがあるぞ。魔法なんかじゃない!! 

 となると、どこかにこいつと対になるアンドロイドがいるはずだ! どこだ?

 待てよ。大神聖の所有するウメボシのようなドローン型とは限らないぞ。

 俺が忙しく目を動かしていると、偽者は無表情のまま首を傾げた。

「アンドロイドを探しているのかね? オビオ君。だったら残念じゃが、そんなものはおらん。我らは制約だらけの地球人と違って、単体で自身を守れる」

 俺のナノマシンを解析しただけでそこまで情報を得られたのか。

 俺も自身を守れるほどの・・・。いや。サーカを守れるだけの力があれば良かった。

 そう悔やむ間もなく・・・。

「どきたまえ、オビオ!」

 後ろからウィングの声がした。俺は咄嗟に横に飛び退く。

「高まれ貫通の力! 一突き穿孔!」

 ――――ズン!

 司祭兼戦士の刺突攻撃は、偽者の鼻を微かに突いて止まっている。

「ほ、ほ。やりよる、やりよる」

「からの!」

 ウィングはエペの先から、【竜巻】を放った。竜巻の起点付近に偽者の顔があるので、そこまで威力は大きくない。元々、この魔法は対集団用の魔法だ。

 それでも、暴風は偽辺境伯の顔の肉を削って、後ろに飛ばしてしまう。

「ぎゃあ!!」

 顔をおさえて地面にのたうち回る偽者は、暫くして動かなくなった。

「それ、恐ろしい攻撃だな。ウィング」

 あまりにエグい攻撃だったので、言葉が出ず、原始人みたいな喋り方になった。

「恐ろしいだなんて心外だな。天才的と言ってくれたまえ、オビオ。攻撃から魔法に繋げるのは至難の業なんだよ」

 確かにそうだ。能力値の高いサーカでもそれはできなかった。

「それにしても、なんだか呆気なかった」

 俺の言葉を聞いて、パーティメンバーはより一層警戒心を深めたように見える。

「油断するなよ、オビオ。さっきの女戦士の件もある」

「ああ」

 くそ。一々サーカの死を噛み締めさせられる。早く、サーカを蘇らせる手段を・・・。

「何か情報が欲しい。俺は偽辺境伯に触って、情報収集を試みる。皆、サポートを頼むよ」

「了解や」

 リュウグがそう返事をして、倒れた偽者にラッパ銃を向けていた。ありがたい。

「うわ・・・」

 偽辺境伯の顔は骨が見えている。もはやこの状態で、人は生きていられるのだろうか?

 普通ならショック死とかしてそうだけど。いや。やっぱ死んでいないと仮定して動こう・・・。

 鈍く光る上位鑑定の指輪が付いた右手で、恐る恐る偽者の肩を触れる。

「・・・」

 おかしい。頭の中に情報が流れてこない。

「気をつけや、オビオ! 今、偽者がピクリと動いたで!」

 リュウグが警告を発する。と同時に「シャッ!」と音がして、偽者の頭部から何かが飛び出してきた。

 ――――ガキン!

 【物理障壁】が、白く細長い何かを弾き返し、ダメージを与えた。

「わぁ! 気持ち悪い!」

 リュウグに同意だ。・・・なんだこれ!

「小さなヒュドラー?」

 メリィが相変わらずのんびりした声で言う。

 なるほど、ヒドラか。偽者の頭から無数に生える白い蛇。そこだけ見ればヒドラみたいだ。

「住みやすい環境を構築する前に、君のような脅威がやってくるとは思わなかった。どうも我々の考えが甘かったようだ」

 歪み、二重に聞こえる声で偽者は喋った。

 乗っ取り? ああ、この星は大神聖のものだからな。ってことは、こいつは、惑星ヒジリを手に入れようとやって来た地球人か?

「お前、地球人か?」

「この姿を見て、そう思うのかの?」

「じゃあ・・・。あ、悪魔の類か?」

 ま~た人修羅キリマルみたいなのは勘弁してくれよ。

「馬鹿な。君は科学の恩恵を受けた文明人にしては、阿呆じゃな」

 となると、答えは一つ。だが、それは有り得ない。何世紀も費やして、地球人はようやっと惑星ヒジリを見つけたんだぞ!

「地球外知的生命体ってわけか・・・」

「その通り。まぁ我々からすれば、君たちのほうがそれにあたるんじゃがの」
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