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怒れる現人神
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脂汗を顔の毛に纏わせた狼人の肩を貫通したその傷は、目をくり抜かれたゾンビの眼窩のようになっていた。
「これは【光の剣】の傷跡ではないな」
サーカの言葉にオビオも頷く。
「まるでビーム兵器でやられたような火傷を負っている」
「ビーム兵器だと? 確か、聖下の使い魔の目から出る光線がビームという名前じゃなかったか?」
「そう、それだよ、トウスさん」
という事は、神の世界の武器って事か?
「だけど、もう時代遅れで、俺たちの時代ではほぼ使われていない」
いやいや、それはおかしい。
「ん? じゃあ、ウメボシの光線はどうなる? 実際に使われているだろ」
「ウメボシは、特別なんだよ。彼女とその同一機種は、一世紀前のカスタム型だから、多機能なんだ。聖下曰く、元々はハイヤット・ダイクタ・サカモト神の所有していたビット型アンドロイドなんだそうな」
「???」
何語だ? 始祖神のビット? カスタム? なんだ? オビオ。
俺の顔を見て察したのか、オビオも説明は難しようとしたが・・・、やっぱりやめたようだ。
「まぁなんだ。とにかく特別だって事だよ。俺も科学者じゃねぇから詳しくはわかんねぇ」
「話は戻っるが、これは【光の剣】や神の武器の傷跡ではないという事か? ノームの武器の可能性は?」
「なくはないけど、これは最早、ヒジリ聖下の領分だよ。俺たちでは特定が難しい」
オビオでも分からないか。
「上位鑑定の指輪でもか?」
オッサンが少しの期待を込めた目で、オビオを見ている。
「一応見てみるけど、そこまで万能じゃないから。この指輪も」
オビオは、まだ痛みに苦しむ狼人の肩に触れる。
「ガフゥ!」
傷口を触れられた狼人が痛みに悶えた。
「悪い。少しの間、我慢してくれ。すぐにパンさんか、ウィングが治してくれるから」
癒しの祈りでは傷は治っても、火傷跡は治らないだろうな。ウメボシなら奇麗に回復できるけども。
今は左中指にはまっている上位鑑定の指輪が光り始めた。オビオは目を閉じて、情報を読み取ろうと努力している。
「う~ん。視えたは視えたけど、この人が見た光景と同じだな。ビームダガーを持った猿人に背中から首を狙われたが、咄嗟に回避して肩に刺さったんだ。それにしても、よくこの傷で逃げ延びれたな。痛みでいつ気絶してもおかしくなかっただろうに」
痛みまで共感しているのか、オビオは苦悶の表情で自分の肩を押さえている。
「俺が雇ったスカウトだ。根性が違う」
何でビャッコのオッサンが自慢げな顔してんだよ。
「治して良いかい? オビオ。これ以上、彼が痛む姿は見ていられないね」
オビオの返事を待たずして、ウィングが癒しの祈りで、狼人を回復してしまった。やはり、火傷跡はケロイド状になって残っている。
中庭を見回すと、他の重傷者をパンが既に治して回っていた。
「怪我人に、この肉人のジャーキーを配ってくれないか? ムク」
オビオは肉人のジャーキーを十枚ほど小さな手に渡した。
「うん!」
ムクは治った怪我人にジャーキーを渡している。ウィングやパンの持つ干し果物より、オビオの作った食べ物の方が体力回復を早くするからだ。祈りで傷を治しても、落ちた体力まで回復してくれねぇからな。
もはや中庭で呻き声を上げている者はいねぇ。オビオたちが来てくれて良かったぜ。
「そうだ。今思い出したけど、ノームのビームダガーは、使用回数が決まっているって聞いた事があるわ。使える時間もそんなに長くないという欠点がある。その辺はどうだったかな?」
傷が治ってジャーキーを噛む狼人にオビオは聞く。
「猿人が俺を追いかけてくる間、そのビームダガーとやらは、ずっと光っていたぜ」
「じゃあノーム製でもないようだな。となると他の勢力、例えばリザードマンなんかの武器では?」
はぁ?
「リザードマンの? 冗談が過ぎるぞ、神の眷属殿。あんな蛮族がそんな武器を持っているわけなかろう」
名を呼ばずに神の眷属って言い回しに、鋭い棘を感じる。
「おい、オッサン! 神を皮肉った言い方はよせ! 罰が当たるぞ!」
「ふん、正直に言うが、トウス。お前の信じる神はどうも胡散臭い。猿人に加勢しているという事はないだろうな?
」
ウィングとパンが驚いて、星のペンダントを手に持って謝罪を始める。
「おお、我らが星のオーガ。どうか、この者の無礼をお許し下さい!」
パンも改宗したんだっけか? 星のオーガ教のペンダントを持っているぞ。俺も欲しいな。いや、今はそれどころではない。
「いい加減にしろ! オッサン! そんな不敬な事言ってると・・・」
―――ズドーン! バリバリバリィ!!
「うわぁ!!」
中庭に雷が落ちた! ほら見たことか! 天罰だ! ん?
!!!
収まりゆく、まばゆい光の中に影が二つ!
「許さんぞぉぉぉ!!」
雷の中から、怒り狂った現人神様と不機嫌そうなウメボシが現れた!
「これは【光の剣】の傷跡ではないな」
サーカの言葉にオビオも頷く。
「まるでビーム兵器でやられたような火傷を負っている」
「ビーム兵器だと? 確か、聖下の使い魔の目から出る光線がビームという名前じゃなかったか?」
「そう、それだよ、トウスさん」
という事は、神の世界の武器って事か?
「だけど、もう時代遅れで、俺たちの時代ではほぼ使われていない」
いやいや、それはおかしい。
「ん? じゃあ、ウメボシの光線はどうなる? 実際に使われているだろ」
「ウメボシは、特別なんだよ。彼女とその同一機種は、一世紀前のカスタム型だから、多機能なんだ。聖下曰く、元々はハイヤット・ダイクタ・サカモト神の所有していたビット型アンドロイドなんだそうな」
「???」
何語だ? 始祖神のビット? カスタム? なんだ? オビオ。
俺の顔を見て察したのか、オビオも説明は難しようとしたが・・・、やっぱりやめたようだ。
「まぁなんだ。とにかく特別だって事だよ。俺も科学者じゃねぇから詳しくはわかんねぇ」
「話は戻っるが、これは【光の剣】や神の武器の傷跡ではないという事か? ノームの武器の可能性は?」
「なくはないけど、これは最早、ヒジリ聖下の領分だよ。俺たちでは特定が難しい」
オビオでも分からないか。
「上位鑑定の指輪でもか?」
オッサンが少しの期待を込めた目で、オビオを見ている。
「一応見てみるけど、そこまで万能じゃないから。この指輪も」
オビオは、まだ痛みに苦しむ狼人の肩に触れる。
「ガフゥ!」
傷口を触れられた狼人が痛みに悶えた。
「悪い。少しの間、我慢してくれ。すぐにパンさんか、ウィングが治してくれるから」
癒しの祈りでは傷は治っても、火傷跡は治らないだろうな。ウメボシなら奇麗に回復できるけども。
今は左中指にはまっている上位鑑定の指輪が光り始めた。オビオは目を閉じて、情報を読み取ろうと努力している。
「う~ん。視えたは視えたけど、この人が見た光景と同じだな。ビームダガーを持った猿人に背中から首を狙われたが、咄嗟に回避して肩に刺さったんだ。それにしても、よくこの傷で逃げ延びれたな。痛みでいつ気絶してもおかしくなかっただろうに」
痛みまで共感しているのか、オビオは苦悶の表情で自分の肩を押さえている。
「俺が雇ったスカウトだ。根性が違う」
何でビャッコのオッサンが自慢げな顔してんだよ。
「治して良いかい? オビオ。これ以上、彼が痛む姿は見ていられないね」
オビオの返事を待たずして、ウィングが癒しの祈りで、狼人を回復してしまった。やはり、火傷跡はケロイド状になって残っている。
中庭を見回すと、他の重傷者をパンが既に治して回っていた。
「怪我人に、この肉人のジャーキーを配ってくれないか? ムク」
オビオは肉人のジャーキーを十枚ほど小さな手に渡した。
「うん!」
ムクは治った怪我人にジャーキーを渡している。ウィングやパンの持つ干し果物より、オビオの作った食べ物の方が体力回復を早くするからだ。祈りで傷を治しても、落ちた体力まで回復してくれねぇからな。
もはや中庭で呻き声を上げている者はいねぇ。オビオたちが来てくれて良かったぜ。
「そうだ。今思い出したけど、ノームのビームダガーは、使用回数が決まっているって聞いた事があるわ。使える時間もそんなに長くないという欠点がある。その辺はどうだったかな?」
傷が治ってジャーキーを噛む狼人にオビオは聞く。
「猿人が俺を追いかけてくる間、そのビームダガーとやらは、ずっと光っていたぜ」
「じゃあノーム製でもないようだな。となると他の勢力、例えばリザードマンなんかの武器では?」
はぁ?
「リザードマンの? 冗談が過ぎるぞ、神の眷属殿。あんな蛮族がそんな武器を持っているわけなかろう」
名を呼ばずに神の眷属って言い回しに、鋭い棘を感じる。
「おい、オッサン! 神を皮肉った言い方はよせ! 罰が当たるぞ!」
「ふん、正直に言うが、トウス。お前の信じる神はどうも胡散臭い。猿人に加勢しているという事はないだろうな?
」
ウィングとパンが驚いて、星のペンダントを手に持って謝罪を始める。
「おお、我らが星のオーガ。どうか、この者の無礼をお許し下さい!」
パンも改宗したんだっけか? 星のオーガ教のペンダントを持っているぞ。俺も欲しいな。いや、今はそれどころではない。
「いい加減にしろ! オッサン! そんな不敬な事言ってると・・・」
―――ズドーン! バリバリバリィ!!
「うわぁ!!」
中庭に雷が落ちた! ほら見たことか! 天罰だ! ん?
!!!
収まりゆく、まばゆい光の中に影が二つ!
「許さんぞぉぉぉ!!」
雷の中から、怒り狂った現人神様と不機嫌そうなウメボシが現れた!
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