書き換えオーダーメイド

夜船 銀

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書き換えその二 人魚姫を幸せに③

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「大丈夫ですか、栞さん」

後ろから縁が話しかけてきた。

「いや、私は大丈夫ですけど、もしかしてあそこで泣いている人が人魚姫ですか?書き換えるにはだいぶ手遅れだと思うんですけど…」

縁は女性の方に視線を送り、少し驚いた顔をした。

「確かに。あまり時間はありませんね。急いで書き換えを始めましょう」

そう言うと縁は人魚姫の方へ歩いていった。

「こんばんは。」

縁の声に人魚姫が顔を上げた。腰のあたりまで伸びたブロンドの髪に青みがかった瞳、そして西洋風の整った顔だちをしている。思わず振り返ってしまうような美人だった。しかし、その手には美しい容姿には似合わない武骨なナイフが握られている。

「すいません、お話を影で盗み聞きさせていただきました。あなたは人魚だったんですね。王子のお客人」

人魚姫の顔から血の気が引いていく。正体がばれたことに焦ったらしい。

「大丈夫。このことを言いふらすつもりはありません。それより、さっきお姉様方が話していたことは本当ですか?そのナイフで王子を殺せば命は助かるという…」

人魚姫は伏し目がちにうなずいた

「そうですか。それで、まさか本当に殺すおつもりですか?」

今度はこちらに顔を向け、何度も首を横に大きくふった。

「よかったです。安心しました」

あれ、縁の体がうっすら金色に輝いている…。まさか!
栞は急いで自分の体を見渡した。すると縁と同じ金色の光をまとっているではないか。
琥珀堂と物語の世界をつなぐ魔法の光が…。

『嘘っ!?もう時間切れなの!?「ジャックと豆の木」のときより明らかに早い!』

「でも、あなたもこのまま王子に自分のことを何一つ伝えられないまま消えてはいけません!」

縁も焦っているのか多少早口に伝える。

「どうか、何も伝えられないまま悔やむことのないよう…」

いい終わるか否か、金色の光が強く瞬く。意識が沈んでいく。
人魚姫の悲劇は変えられたのだろうか。見習いだから仕方ないかもしれなけど、ギリギリのピンチだったのに私は見ていることしかできなかった…。やっぱり私は書き換えの、縁の力になりたい。
新たな思いを抱きつつ、栞は琥珀堂へと帰っていった。
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