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夜船 銀

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書き換えその一 人魚姫を幸せに②

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『人魚姫』

遠い遠い海の底に、人魚のお城がありました。
お城には王様と6人の人魚姫が住んでいました。この世界では、人魚姫は15歳になると海から出て人間の世界に行くことができるようになります。
末の人魚姫は、お姉さんたちが見てきた人間の世界の話を聞いて、自分も人間の世界へ行くことを楽しみにしていました。

ついに15歳を迎えた末の人魚姫が海の上に顔を出すと、そこにはたくさんの明かりをつけた船が浮かんでいました。
船には王子様が乗っており、人魚姫は王子様をひと目見て恋をしました。
その時、突然嵐が船を襲い、王子様は海へ落ちてしまいました。人魚姫は海に落ちた王子様を助け、浜辺まで運びました。
人魚姫は王子様が目を覚ますまで声をかけ続けました。
するとそこへ、どこからか娘がやってきたので、人魚姫は驚いて海へ身を隠しました。
娘が王子様を抱き上げると同時に王子様が目を覚まし、王子様は目の前にいる娘に助けられたと勘違いしてしまいました。

それを見た人魚姫は、自分も本当の人間になって王子様のそばにいたいと思うようになりました。
人魚姫は魔女のところへ行き、人間にしてほしいと頼みました。
魔女は、人魚姫の美しい声と引替えに、人間にしてくれることを約束してくれました。
しかし、魔女が出した条件はそれだけではなく、王子様が他の女性と結婚すると2度と人魚姫には戻れず海の泡になって消えてしまうとも言われました。
人魚姫は全ての条件を吞み、人間になることを決めました。
浜辺で人間になる薬を飲んだ人魚姫は、いつの間にか眠ってしまいました。
しばらくして目が覚めると、傍に王子様が立っていました。しかし、声を出したくても人魚姫は声が出せません。
王子様は何も話さない人魚姫を自分のお城まで連れて行き、人魚姫を妹のように可愛がってくれました。

ある日人魚姫は、王子様から溺れた時に助けられた娘と結婚することを聞かされました。
助けたのは私だと言いたくても、人魚姫には声がありません。

王子様の結婚式が近づいたある夜、人魚姫が浜辺で泣いていると海にお姉さんたちがナイフを持って現れました。
お姉さんたちは、このナイフで王子様の胸を刺して殺せば、人魚姫は海の泡にならなくて済むと言いました。
人魚姫はナイフを受け取り、王子様が寝ている部屋へ忍び込み殺そうとしましたが、愛する王子様を殺すことができませんでした。
人魚姫はナイフを海へ投げ捨て、自分も海へ飛び込み、海の泡になってしまいました。

…だいたいこんな話。確かに最後まで王子を愛し続け消えてしまった人魚姫の姿に涙を流してしまう話だ。

「栞さん、書き換えを始めますよ」

言うが早いが縁が栞が持っている『人魚姫』の本に向かって指を鳴らす。本が徐々にまばゆい金色の光を放ち始める。

「えっと、光が溢れ始めたら本を開けばいいんですよね?」

「そうです。まだ二回目なのに落ち着いていますね」

「見習いですから」

少し得意な気分になりながら栞は本を開く。途端に金色の光が栞を包み込み眠りへといざなった。



目が覚めると栞は夜の浜辺に立っていた。丸い月の光が海に反射してゆらゆら揺れている。静かに波が押し寄せる音だけが響く砂浜に一人の女性が座り込んでいた。その顔はいまにもはち切れそうなほど涙を流しているのに一切声は出していない…いや、出せないのか?

あれ、もしかしてあの人が人魚姫?人魚姫が砂浜で泣いてるシーンってだいぶ後半だったよね?確か王子と王子を助けたと主張する娘が結婚することが決まった後だったはず…。

どうしよう…。ここから書き換えが間に合うだろうか。

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