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依頼その二 人魚姫を幸せに①
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『はい!受け付けています!』
思わず声が大きくなってしまう。
「お客様、お話は私がお伺いします」
縁が栞の真横に立った。それと同時に視線をこちらによこす。
『お客様を驚かせてはいけませんよ』とその目は叱ってきた。
すいません、と心の中で反省しつつ初老の男性をテーブルに案内した。
三人がテーブルにつくと縁が話を切り出した。
「まず、お名前とご依頼の件について教えてください」
「はい、私は大森 幹男と申します。依頼はこの本なのですが…」
そう言って幹男さんは革かばんから一冊の本を取り出した。
『人魚姫』
「実は、先日私の孫が遊びに来てくれましてね、まだ小学校一年生なんですが。そのときに何か本でも読んでやろうと思いまして、家にあったこの本を読み聞かせたんです。そしたら泣くや喚くやで大暴れしましてね…。話を聞くと『人魚さんが泡になっちゃうなんてやだ!!』の一点ばりでして。できることならこの物語のハッピーエンドで孫に笑って欲しいんです。」
『なるほど、たしかに人魚姫はビターエンドだもんな』
「承知しました。明日までに書き換えを行うので後日またお越しください。」
「本当ですか。ありがとうございます。」
幹男さんは何度もお礼をいいながら店を後にした。
幹男さんが店を出た後、栞は縁に尋ねた。
「私も書き換えに同行してもいいですよね?」
「だって栞さんは書き換え屋の見習いでしょう。多くの経験を積んでもらわなくてはいけませんからね。」
「早速書き換えを始めましょう」
思わず声が大きくなってしまう。
「お客様、お話は私がお伺いします」
縁が栞の真横に立った。それと同時に視線をこちらによこす。
『お客様を驚かせてはいけませんよ』とその目は叱ってきた。
すいません、と心の中で反省しつつ初老の男性をテーブルに案内した。
三人がテーブルにつくと縁が話を切り出した。
「まず、お名前とご依頼の件について教えてください」
「はい、私は大森 幹男と申します。依頼はこの本なのですが…」
そう言って幹男さんは革かばんから一冊の本を取り出した。
『人魚姫』
「実は、先日私の孫が遊びに来てくれましてね、まだ小学校一年生なんですが。そのときに何か本でも読んでやろうと思いまして、家にあったこの本を読み聞かせたんです。そしたら泣くや喚くやで大暴れしましてね…。話を聞くと『人魚さんが泡になっちゃうなんてやだ!!』の一点ばりでして。できることならこの物語のハッピーエンドで孫に笑って欲しいんです。」
『なるほど、たしかに人魚姫はビターエンドだもんな』
「承知しました。明日までに書き換えを行うので後日またお越しください。」
「本当ですか。ありがとうございます。」
幹男さんは何度もお礼をいいながら店を後にした。
幹男さんが店を出た後、栞は縁に尋ねた。
「私も書き換えに同行してもいいですよね?」
「だって栞さんは書き換え屋の見習いでしょう。多くの経験を積んでもらわなくてはいけませんからね。」
「早速書き換えを始めましょう」
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