16 / 165
前世編
嘘ついててごめんね。ありがとう。
しおりを挟む
大好きな声が、聞こえる。
死に際に聞こえる都合のいい夢かもしれない。
それでもやっぱり、夢でもいいから、伝えたくて。
椿は吐息に交えながら、途切れ途切れに言った。
「う、…そ、つい……て、ごめ……、ね。あり、が………と、……ぅ。」
嘘ついててごめんね。ありがとう。
そう、伝えたかった。
何年も泣いていなかった自分の頰に、冷たいものが流れた気がした。
これは、夢だろうか。夢なら、それでいい。
現実なら…私の思いが、伝わっていることを祈ろう。
途切れ途切れになっちゃったけど、私の気持ちは変わらない。
私のことを友達って言って笑いかけてくれたあなたに、大好きって言ってくれたあなたに、同じ学部に受かって嬉しがってくれたあなたに。
私は感謝しても、仕切れない。
遠くから誰かの泣き声が聞こえた。
もう、耳も遠くなって聞こえない。けど、泣かないで?ねぇ、笑ってよ。
大好きな貴方達に、私は何かを返せたかな。
ーーどうか、幸せで。
私は、浮島 椿としての生涯を19歳で終えた。
◇ ◆ ◇
“嘘ついててごめんね。ありがとう。”
それが、彼女の最期の言葉だった。
急いで呼んだ救急車が到着する前に、彼女は亡くなってしまった。
いくら泣いたって、椿は帰ってこない。
だからせめて、私達は出来ることをしよう。
そう決心した私達は、警察の事件捜査に全面協力した。そのお陰か、事件はあっという間に解決した。
警察の人が教えてくれたことなのだが、椿が刺される前に笑いながら見ていた観賞用植物。
あれには、全自動小型カメラが葉と葉の間に隠すように設置されていたと言う。
そのカメラが、全てを物語っていた、とも。
そのカメラには、毎日のように椿に暴力を振るい暴言を吐く両親の姿が映っていたそうだ。
ねぇ、椿。
どうして嘘をついたの?
なんでずっと、黙っていたの?
なんで相談してくれなかったの?
そんなに私達は頼りなかった?
椿のバカ。嘘つき。
ーー大好きだったよ。
死に際に聞こえる都合のいい夢かもしれない。
それでもやっぱり、夢でもいいから、伝えたくて。
椿は吐息に交えながら、途切れ途切れに言った。
「う、…そ、つい……て、ごめ……、ね。あり、が………と、……ぅ。」
嘘ついててごめんね。ありがとう。
そう、伝えたかった。
何年も泣いていなかった自分の頰に、冷たいものが流れた気がした。
これは、夢だろうか。夢なら、それでいい。
現実なら…私の思いが、伝わっていることを祈ろう。
途切れ途切れになっちゃったけど、私の気持ちは変わらない。
私のことを友達って言って笑いかけてくれたあなたに、大好きって言ってくれたあなたに、同じ学部に受かって嬉しがってくれたあなたに。
私は感謝しても、仕切れない。
遠くから誰かの泣き声が聞こえた。
もう、耳も遠くなって聞こえない。けど、泣かないで?ねぇ、笑ってよ。
大好きな貴方達に、私は何かを返せたかな。
ーーどうか、幸せで。
私は、浮島 椿としての生涯を19歳で終えた。
◇ ◆ ◇
“嘘ついててごめんね。ありがとう。”
それが、彼女の最期の言葉だった。
急いで呼んだ救急車が到着する前に、彼女は亡くなってしまった。
いくら泣いたって、椿は帰ってこない。
だからせめて、私達は出来ることをしよう。
そう決心した私達は、警察の事件捜査に全面協力した。そのお陰か、事件はあっという間に解決した。
警察の人が教えてくれたことなのだが、椿が刺される前に笑いながら見ていた観賞用植物。
あれには、全自動小型カメラが葉と葉の間に隠すように設置されていたと言う。
そのカメラが、全てを物語っていた、とも。
そのカメラには、毎日のように椿に暴力を振るい暴言を吐く両親の姿が映っていたそうだ。
ねぇ、椿。
どうして嘘をついたの?
なんでずっと、黙っていたの?
なんで相談してくれなかったの?
そんなに私達は頼りなかった?
椿のバカ。嘘つき。
ーー大好きだったよ。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】前提が間違っています
蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった
【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた
【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた
彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語
※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。
ご注意ください
読んでくださって誠に有難うございます。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
ヒロインだと言われましたが、人違いです!
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。
って、ベタすぎなので勘弁してください。
しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。
私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
所(世界)変われば品(常識)変わる
章槻雅希
恋愛
前世の記憶を持って転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢。王太子の婚約者であり、ヒロインが彼のルートでハッピーエンドを迎えれば身の破滅が待っている。修道院送りという名の道中での襲撃暗殺END。
それを避けるために周囲の環境を整え家族と婚約者とその家族という理解者も得ていよいよゲームスタート。
予想通り、ヒロインも転生者だった。しかもお花畑乙女ゲーム脳。でも地頭は悪くなさそう?
ならば、ヒロインに現実を突きつけましょう。思い込みを矯正すれば多分有能な女官になれそうですし。
完結まで予約投稿済み。
全21話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる