聖なる歌姫は嘘がつけない。

水瀬 こゆき

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幼少期編

…誰か、夢だと言ってください!!

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マニュアル本を見て浮かんだ、もう一つの疑問。 

 ーー「聖女」「聖女候補」とは何なのか?

 …ナビによると、この二つはこの世界の常識らしい。ただアルカティーナはまだ三歳なので、知らなくても当然とのこと。
 手短かに言ってしまえば、「聖女候補」とは「聖霊」に気に入られた人達の総称なのだそうだ。
 そしてその、何人かいる「聖女候補」の中から選抜される、この世の「聖霊」全員から気に入られた、たった一人の人のことを「聖女」と言う。
何だそれだけか、と思うかもしれないが実はこの「聖女候補」と呼ばれる人は世界中を探しても10人いたら多い方なのだそうだ。現に今は8人しかいないとか。
 この世界の世界人口は約50億人と多い。その中の8人は超レアな人材だ。
そして「聖女」に至っては存在しないらしい。
 元より「聖女」は「聖女候補」から選抜された人のことを指す。「聖女」が選抜されてしまうと言うことはつまり、それまで別の「聖女候補」を気に入っていた「聖霊」も皆、お気に入りの対象を「聖女」に切り換えると言うことになる。だから「聖女」が選抜された時点で「聖女候補」は自動的に「聖霊」から気に入られなくなるのだ。
 結論を言うと、今「聖霊候補」が存在すると言うことはつまり「聖女」が存在しないと言うことだ。逆に「聖女」が存在するならば、それは「聖女候補」が存在しないことを示す。

 さて、皆さんはわたくしが転生前に言っていたことを覚えておいででしょうか??

 ーー聖霊さんと

 そしてそれに対してナビが何と言ったか、覚えておいでですか?

ーーうーん、不可能ではないよー?ただ、ちょーーーーーーーっと、難易度は高いけどねー。

 
「聖霊」はかなり人見知りをするらしく人間の前に姿を現すことがまず無いのだ。
実はアルカティーナも、この世界に来てから「聖霊」の姿を見た事は一度たりとも無かったりする。それも
その筈。「聖霊」は来ない。
その上、呼んだとしても「聖霊」が呼び出し主をに気に入らなければ来ない。
と言う事はつまり、呼び出して「聖霊」がもし本当に姿を現したなら、呼び出し主は「聖女候補」に選ばれたと言うことになる。

 どうやら聖霊さんとお友達になりたいと言う願望はとても高難易度なものだったようです…。だって、それってつまり「聖女候補」に成りたいって言ってるようなものですよ?……夢は、儚いものですね!!

 「まぁ、諦めはしませんけど。」

そう呟いたわたくしにナビは元気に返事をした。
 (うん!ティーナならそう言うと思ったよー!)
だって、「聖霊」に惹かれてこの世界を選んだんですよ⁇諦めたりするわけないですよね。

 そこまで考えて、ふとアルカティーナは思ったことをナビに尋ねた。
 (そう言えば、ナビは天使ですよね?ナビは前にわたくしのことをって言ってましたけど……「聖霊」のとはまた別ですよね?天使に気に入られる人って「聖女候補」みたいにレアじゃないですよね?)
 まさか無いですよねー、と思いながらも聞いたわたくしはこの後後悔することになる。…ナビの間延びた返答を聞いて。

 (えー?何言ってるのティーナったらー。そんなの超レアに決まってるよーー。それどころか超超超超超超超超超超、レアだよー。)

  「………誰か、夢だと言ってください!!」

わたくしは平凡に生きていきたかったんですけど!前世では出来なかった平凡な暮らしを!…いや、まあ「聖女候補」になろうとしている時点で平凡じゃ無いかもしれませんがね?

 (そもそも僕がティーナとテレパシーで会話できるのも、僕がティーナに加護を与えたからだよー?)
 (加護って何ですか?)
 (加護を与えるって言うのはつまりー、気にいるってことだよー。)
 …成る程。わたくしはナビに気に入られたから、ナビとテレパシーが出来る訳ですね?
なら、もしかして「聖霊」に気に入られたら同じように、普通は出来ないようなことが出来るようになったりとかするんですかね?
 (うん!その通りー。「聖女候補」はねー…っあ!そろそろ女神様のところに行かなきゃ!ごめんねーティーナ。時間みたい。)
 (えっ??話の続き、凄い気になるんですけど…)
 (わー!わー!どーしよー!もうこんな時間だったなんてーー!じゃあねーティーナ!またねー。)
 (ぅえっ?ちょ、まっっ!!!)

 そうして、天使ナビとのテレパシー通信は終わりました。これが実に1時間前の出来事。

 さて、残されたアルカティーナはと言えば最初こそ自分が悪役であると言う事実は変わらないことに凹んでいた訳だが……1時間たった今現在はと言うと。

 「気になります!気になりますよ!!おのれナビ!何もあんな重要そうな話を中断することないじゃ無いですか!!!!!」

 突然そう叫ぶと、クレディリア邸内にある図書館への入館許可を取りに父、マリオスの元へと向かった。

「聖女候補」になったことで得ることの出来る力が何なのか、調べるためである。

 しかし…

 「とっととととと図書館…!?だ、だめだよ、ティーナ!やめておきなさい、ね?ティーナにはまだ早いよ!ね?あの図書館は、ヤバイ!!!!」

 まさか、お父様に止められることになるとは…。
お父様は何故か、図書館と言う単語に物凄く過剰な反応を示した。それに「あの図書館はヤバイ」とのお言葉。

ーー 図書館には何か、わたくしが見てはいけない物でもあるのでしょうか?一体どういう事??





 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 《作者からのお詫び》
ごめんなさい!
今回のお話はかなり内容がわかりにくかったかも知れないな、と我ながらその分かりにくさに感動しております!
ここがよく分からない、など御座いましたら補足したいと思いますので、ご指摘下さいね!!

 《作者からの心からの御礼》
 私の知らない内にこの作品のお気に入り登録数と、ランキングがめちゃくちゃ上がっていました…!
正直予想外過ぎて、スマホがエラーでも起こしたのかと、画面を再度読み込んだくらいです。
 読者の皆様、本当に本当にありがとうございます!!
これからも是非お付き合い下さい!!

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