聖なる歌姫は嘘がつけない。

水瀬 こゆき

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幼少期編

聖霊さん!カモーン!!

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 聖霊が人見知りなのは有名な話です。
聖霊は、ほとんど加護対象にしか姿を見せないほど、人見知りをするのですから。
だからこそ、『ティーナ見守り応援隊』はわたくしの周りに聖霊さんが現れた時も、後ろで息を潜めて見守ってくれていたのでしょう。


 それなのに。
それなのに、ですよ!!!
漸く本望が果たせたのにですよ!!!
頑張って天然水ばかり飲んだのにですよ!!!
お父様ときたら!


「お父様酷いですっ!意地悪つ!せっかく聖霊さんに会えたのに…何で出てきちゃったんですか!」
 「ごめんねごめんねごめんなさいティーナーーーー!ティーナが聖女候補になったのが嬉しくて、つい感極まって!!」
 「お父様のばかーー!」
 「えっばか?ちょ、ティーナ!?!?」

 ふんだっ!!お父様なんてもう知りません!
せっかく聖霊さんに会えたのに。


 その日、クレディリア家の誇る、花々が咲き乱れる庭園に、何故かキノコが大量発生したという。

*キノコは、スタッフが美味しくいただきました。

 
 ◇  ◆  ◇

 「はぁ~大人気なかったでしょうか…」
アルカティーナはその後部屋に戻り、ソファーでまったりと過ごしていた。
やはり、馬鹿は言い過ぎましたかね?
いや、でもお父様だって悪いと思うのですよ!
ぷんすか!!
わたくしは激おこ中ですよ!
…いえ、でもやっぱり言い過ぎだった気が…。
それに、加護をくれた聖霊さんなら呼び出せば来てくれるはずですし。
会えないわけでもありませんし。
う~~~ん…。

 あれ?そう言えば、さっき来てくれた聖霊さん達って、また聖歌を歌わないと来てくれないんでしょうか。
それとも「聖霊さんカモーン」とか言ったら来てくれるんでしょうか。
 よし、物は試しです。やってみますか!

 「聖霊さん!カモーン!!」

 ばっ!と片手を天井に向けて突き出して、そう言ってみると、途端に辺りに小さな魔法陣のようなものがいくつも浮かび上がりました。
そして、その魔法陣からポムッと現れたのは…

 「わーい!」
 「よんだー?」
 「わーい、わーい」
 「ふっ!きてやったぞ、わがよ…!あれ?けんぞくよ…!だっけ、」
 「やっほー。」
 「あそびにきたよ!」
 
 「聖霊さぁぁーーーん!きてくれたんですね!!」
 
加護をくれた聖霊さんを呼び出すのには、どうやら聖歌は必要ないみたいです。
そして、聖霊さんたちはそんな間にもわたくしの周りをパタパタと飛び回っています。
元気で可愛いです!

 「あそぼ!あそぼ!」
 「なにしてあそぶ?」
 「やみのけんぞくごっこー!」
 「なにそれ。」
 「なにそれー。」
 「ぼく、てぃーなのおうた、またききたいなー。」
 「わたしもー。」
 「わがはいもであるー。ふははは~~~。」

 「あれっ?歌は、聖霊さんを呼び出すためのものですよね?それなのにまた聞きたいんですか?」

 この聖霊さん達には聖歌は必要ないと証明したばかりなのですけど…やっぱり必要あるんですか?

 「うーんとねー。」
 「わたしたちはね、」
 「うたがだいすきなのー」
 「だから」 
 「うたにひきよせられて、やってくるしー」
 「だからね、」
 「つまりね!」
 「うたはいつだって、きいていたいのー」

 可愛い!いまいちなに言ってるかわからないですけど可愛いですね!
まあつまりは、この聖霊さん達を呼び出すのに聖歌がいらないのは事実だけど、それとは関係なく聖霊さん達は歌が大好きだから聞きたいって事ですよね。

 「わかりました!じゃあ、なんの歌がいいですか?」

 「えっとー」
 「えっとねー」
 「あれ、なんだっけー?」
 「えっとぉー」
 「あ!」 
 「そうそう、」
 「「「「「「つきのせれなーで!」」」」」」

 月のセレナーデ。
その歌はアルカティーナも知っている。
しかし、アルカティーナは首を傾げた。
だって、『月のセレナーデ』はどの属性の聖霊にも特に好まれないのに難しいという皮肉な曲だというのを記憶していたから。
 そう、どの属性の聖霊にも特に好まれないのだ。
それなのに、どうしてこの子達は『月のセレナーデ』を望んだのか。
 「えっと、どうしてですか?」
すると皆んなはニッコリ邪気のない可愛い笑顔で、答えてくれた。

 「が、てぃーなにあいたいっていってたからー」
 「つきのせれなーではね、そのがだいすきなうたなの。」
 「わかったかー、わがかいぞくよー」

 ん?海賊?いや、そうじゃなくって!
って、どなた????

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