聖なる歌姫は嘘がつけない。

水瀬 こゆき

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デビュー編

どういう事…?

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  それは、パーティーから2日後のこと。

「お嬢様あてにお手紙です。」
そう言われて受け取ったのは、小さめの封筒。
何か細工でもしてあるのか受け取った瞬間、その封筒から微かな花の香りがした。
 …高そうな封筒。
それが、アルカティーナのなんとも残念な第一印象。
そして第二印象。
 超ウルトラスーパーエクストラヤバイ。
 「ヤバイ、ヤバイです。本格的に、ああ、神さま!ごめんなさい。謝るので!許してください!!」
封筒一つで何をそんなに、と思いますか?
思いますよね。
でもこの封筒、ルーデリア王国の王家の紋章が刻まれているのです。しかも、わたくし宛。
王家からわたくし個人への手紙。
つまり!!
「よくも国主催のデビュタントパーティーでやらかしてくれたな小娘が」と言うことですよね、多分。
ごめんなさいごめんなさい!
そんなつもりじゃなかったんです。
 「ははっ、終わりました。アルカティーナわたくしの人生、終わりましたね。bad・end………」
 流石悪役。いや、これは悪役関係なくわたくしのせいですかね。
 死んだ魚のような目をしたアルカティーナを見かねた侍女が「お気を確かに…!!」と声をかけようとしたその時。
 「ティーナ、ちょっと来てくれないかしら?大事なお話があるのだけれど。」
 お母様に呼ばれました。
連れていかれたのはお父様の執務室。
本格的にまずいですね。
わたくしのところに王家から連絡があって、その親であるお父様たちに連絡がいってないはずがありませんもの。
つまり………………
アルカティーナ ハ ニゲラレナイ !!!

 アルカティーナは、ネガティブな方向ばかりに転げ落ちる思考を必死に食い止めようとしながらも、腹をくくったのだった。

 が、事態は思わぬ方向へと進んでいった。
 「ティーナ、突然なんだけどね。聖女候補には国から専属の護衛役が派遣される決まりがあるって知ってるよね?」
 執務室の一番奥にあるクッション性のある豪華な椅子に腰掛けながらマリオスは尋ねた。
 「はい…それは知っています。」
 「うん、だよね。でね、本当に、本当に!突然なんだけどね。バカ……コホン、陛下がティーナにつける護衛役を派遣して来たんだよね。」
 苦虫を噛み潰したような表情のお父様。
なんでそんなお顔を??
アルカティーナからしてみれば、要件が「よくも国主催のデビュタントパーティーでやらかしてくれたな小娘が」的なものでなかっただけで超がつくほど嬉しいのだが。、
 「そうですか。で、その方はいつ到着されるので?」
 明日か明後日くらいだろうと見込んで聞いたアルカティーナは、返ってきた返答に耳を疑った。
 「今日。」
 「…はい?今なんと。」
 お父様は、一旦深い深い息をつくと、もう一度答えました。
 「だからね、今日到着するんだって。ほんと、あのバカ!アホ!マヌケ!ヘタレ!!急すぎるよ全く!!」
 …ボロクソに言われていますが大丈夫ですかね陛下。
陛下は良き国王として人気があるはずですが。
と言うか不敬罪では?
 「まあまあ、いいじゃない。その方はティーナを守ってくださるのよ?。」
「え?住み込みで働いてくれるんですか、その護衛役の方は。」
 驚きを隠せないアルカティーナに、マーガレットは優しげに言った。
 「ええそうよ。何しろ、陛下がその護衛役の方にそうするよう命じたそうなのよ。」
住み込みでって事はつまり、その方は一日中気の抜けない日々を過ごすことになるのですよね?
 え。それって、すごく迷惑なのでは…?
ごめんなさい、護衛役の方。
まだどなたかは存じませんが。
 「でも、安心していいのよティーナ!その護衛役の方は何と言っても、あの最年少で第一騎士団に入団なさった方よ!!とてもお強いのだから!」
 ん?それって巷ですごく有名な方じゃないですか。
最年少で、凄腕騎士の集団「第一騎士団」に入団した超強い少年のことですよね?
そんな豪華なゲストをお迎えしていいんですか??
たかが小娘ごときに??
 「そうだぞティーナ。腕だけは確かだ。!!!…チッ!全く!!なぜよりによってを派遣するんだ…!許すまじ!!」
後半、言っている意味がわかりませんよお父様。
何をそんなに起こっているのです。
でも、腕は確かだと言うのなら安心です。
 「そうなんですね!きっと物凄くお強いのですよね!…護身術でも教えてもらいましょうかね…」
 
 あれ?あれれ?
それは良いとしてですよ?
お父様に呼ばれた理由がこれなんだとしたら…あの封筒は一体何だったんですかね??
 
 今日のうちに到着するらしい、護衛役の騎士様のお出迎えの準備のために部屋に戻ったアルカティーナは、恐怖のあまり未だ未開封のままの封筒をペーパーナイフで開けた。

 『アルカティーナ・フォン・クレディリア嬢

 先日はデビューおめでとう。

急な話だが、そなたに護衛役を派遣する。

。                      』


 頼りにしているぞって、わたくしを?
護衛役の騎士様じゃなくて??
え?あれ??何で???何を?

 「??どういう事…?」



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 デビュー編終了です!
ありがとうございました!!
「護衛役」については次の「出会い編」で詳しく説明いたします。
予告?みたいになってしまいますが、「出会い編」はアルカティーナが色々な人たちと出会って成長していく(多分するはず)お話です。
そしてようやく「乙女ゲーム」主要キャラが複数名出て来ます。
因みにヒロイン様も「出会い編」で登場する予定…。
 ぜひ引き続きよろしくお願いします…!
作者は大喜びです!!


 さて、余談ですが。
そろそろ表紙を変えようかなぁと思っています。
「幼少期編」も終了したのでロリのアルカティーナをいつまでも表紙にしておくのも如何かと思うのです。
(今までの表紙はロリだったのですよ!びっくらこ!)
 という事で、次の表紙はちょっと?お姉さんになったアルカティーナちゃんです!
あ、補足なのですがアルカティーナは童顔です。
なのでお姉さんに見えないかもしれません。
その時はごめんなさい。
作者の画力がないんです。足りないんです。
 温かい目で見てやってくださいませ!


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