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番外編
お正月SS
しおりを挟む明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
いよいよ平成も最後ですね…
皆様にとって良い一年になりますよう、心からお祈り申し上げます。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「もーういーくつねーるーとー、おーしょーーがつーーーーー♩♩」
ご機嫌な様子で歌を口ずさむ少女の周りを、小さな精霊たちが大喜びで飛び回っている。
「てぃーな、てぃーな」
「それ何の歌?」
「ふしぎなうただね!」
「ふしぎ!」
「ふしぎ!!」
拙い口調で必死に話しかけてくる精霊たちを微笑ましく思いながら、歌を口ずさんでした少女は答えた。
「ふふ、これは遠い異国に伝わる歌なんですよ。1月1日が近づくと、歌うんです」
「へぇ!」
「そうなんだ~」
「てぃーな、ものしり!」
「ものしり、すごい!」
「すごい!」
少女も、精霊たちも、にこやかにそんな会話をしていた。その様子を見ている人物がいるとは気がつかず。
それは、暖炉が恋しくなる季節。
12月の末のある日の夕方のことだった。
そして今現在。
1月2日、正午。
今日はこの時期には珍しく、暖かめの天気である。
暖かな陽射しの中で、リサーシャは友人であるアメルダの深刻な表情を見つめていた。
「お願いよリサーシャ、こんなことリサーシャにしか聞けないのよ…ま、まあ?私は別に聞きたいわけじゃないんだけど?リサーシャがどうしてもっていうなら……言う…な、ら……うぅ…」
語尾がどんどんと萎んでいくアメルダ。可哀想に。
ツンデレは相変わらず元気いっぱいのようだ。
彼女の性格を十分に理解しているリサーシャは、アメルダを落ち着かせようと笑みを浮かべた。
「大丈夫だよアメルダ。それで?私に聞きたいことって、なぁに?」
すると、しょんぼり肩を落としていたアメルダは目に見えて元気を取り戻した。その表情の変化に効果音をつけるとすれば、『パアァァッ!』といったところだろう。
リサーシャは苦笑した。ツンデレ乙。
ま、可愛いからいいけどね!
うはははは!
「あ、ありがとう…と言うべきかしら!………あ、ありがとう!実は…この間ティーナの家に行く用事があって、クレディリア公爵邸に行ったの。その時に見ちゃったのよ…ティーナが変な歌を歌っているところを」
「変な歌って…どんな?」
「えーと、メロディーは流石に忘れちゃったけど、歌詞は確か『モーウイーク、抓ると、王将がtwo』みたいな感じだったわ」
ね?変な歌でしょう?と同意を求めてくるアメルダからリサーシャは勢いよく顔を背けた。
どうしよう、どうしよう。
面白すぎるこの真面目っ子!ツンデレ真面目っ子!!
マジきゃわいい!
というかこれ、十中八九あれよね?
お正月が近づくとよく歌ってた『お正月』っていう歌だよね、これ。
でもそっか。
この世界には何故か『お正月』という概念がない。
だから、歌詞に『お正月』という単語が出てきてもそれを認識することすら出来ないのか。
思い切って姿勢を元に戻すと、アメルダは相変わらず真剣な眼差しでリサーシャを捉えていた。
「私ね、ティーナみたいに賢くなりたくて。だからね、この歌の真意を考えようと思うの。そうしたら少しは頭も良くなるかなって。べっ別に、ティーナに憧れてるわけじゃないんだからね!」
「あ、うん。そっか」
その歌の真意を考えたところで、頭はこれっぽっちも良くならないと思いますよ。
なんてことは死んでも言えそうにない。
ご覧よ、この輝かしい瞳の美少女を。
期待で潤んだ瞳を。
無理無理無理無理。
私、この笑顔を守りたい…っ!!
でも、これがきっかけでアメルダが間違った知識を持ってしまうのはどうにかして避けたい。
もう既に手遅れな気がしないがもないが、今からでも何とかしなければ。
リサーシャは今からでも遅くないとばかりに軌道修正を試みた。
「でね、リサーシャに聞きたいんだけど。『モーウイーク』って何だと思う?」
………あかんやん。もう手遅れやん。
何なん、モーウイークって。
そんなもん私が聞きたいわ。
リサーシャは、軌道修正を諦めた。
僅か数秒のことだった。
「『モーウイーク』っていうのは…あーそうそう。『モーウイーク』じゃなくて『モー、ウィーク』なの。『モー』は不満な時とかによく使うでしょ?その『モー』よ。『ウィーク』は知っての通り『一週間』って意味」
完全にヤケクソである。
虚ろな瞳でそう答えたリサーシャに、アメルダは真剣な様子で相槌を打つ。
「そうだったのね!成る程、すごいわリサーシャ!あ、別に感心なんてしてないけどね!」
ああ、アメルダ。
感心なんてそんなもの、しなくていいよ。
だって今言ったの、全部嘘っぱちだもの。
だからお願いだから、そんな目で見ないで!
嬉しそうな顔しないで!!
リサーシャは、純粋すぎる友人に心の中で涙ながらに土下座をした。
「あとわからないのは『王将』っていう単語だったんだけど、これはティーナに直接聞いたから解決済みなの!知ってる?『王将』ってね、有名なチェーン店なんですって!人気のメニューは『ぎょーざ』って言って……」
「ああああああああああアメルダすごおおおい!私そんなのぜええええんぜん、知らなかったよおおおお!そうなんだぁぁぁあ!!!!」
胃に穴が空きそうだ。
今夜あたりに私は死ぬかもしれない。
ああ、これだから天然は。
よくよく考えたらティーナとアメルダってアウトな組み合わせじゃない。
不可能が可能になっちゃうコンビじゃない!
何故今まで気がつかなかった、私!
「ということは…『モー、ウィーク』で『もう!一週間』。『抓ると、王将がtwo』だから……意味としては『もう!一週間を抓ったら、有名チェーン店がtwo』?」
「……うん、そういうことに…なるねぇ」
リサーシャのライフはゼロである。
『モーウイーク』?『王将がtwo』?
歌の真意どころか意味すらわからない。
「成る程!そういうことだったのね!」
「どういうことだよおおおお!」
「きっとこういうことよ。家族に何かしら不満を抱いて、その人の頰を一週間抓っておくと有名なチェーン店がtwo現れるのよ!」
「さっきからtwoだけ発音いいのが気になるよ!!どうでもいいよね、その発音!普通に2店舗って言えばいいじゃない!?」
これだから天然は!!!
天然な人ってどうしてこうも簡単に思考回路がぶっ飛んでるのよ!!!
可愛いからいいけどね!
ふはははははははははははは!
で、この歌の真意って結局何なんだろう。
まぁいっか!
こうして、新年早々アメルダは間違った知識を習得したのであった。
新年を迎えても、天然は天然。
変態は変態。
ツンデレはツンデレ、なのである。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
新年早々ですが、滝廉太郎さんに土下座をしたいです。何なんだ、『モーウイーク抓ると王将がtwo』って、何なんだ。何なんだ本当に。
ごめんなさい、滝廉太郎さん。
あと、相変わらず『お正月SS』と言いながら更新が遅い水瀬でございます。
…すみません…:(;゙゚'ω゚'):
さて、冒頭にも書きましたが平成もいよいよ終わりを迎えますね~。早いです。
これまでお付き合い頂いた皆様。
本当にありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。
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