聖なる歌姫は嘘がつけない。

水瀬 こゆき

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学園編

行ってきます

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 桜咲く、四月。
真新しい制服に身を包んだアルカティーナは見送りに来た家族と仕えの者達に頭を下げた。それに続き、その後ろにいたゼンも頭を下げる。

 「それでは行ってきます!」

「行ってきます」

 暖かな陽気を孕んだ春の風は心地良く、彼女達の頬を撫でる。入学式に相応しい、うららかな春の朝である。

 「気をつけて行ってくるんだよ、ティーナ。あ、一応ゼン殿も。クラス分け試験も大丈夫だとは思うけど、頑張るんだよ。あ、一応ゼン殿も」

 「はい!ありがとうございますお父様」

 「……ありがとうございます」

 相変わらず親馬鹿なマリオスの言葉にゼンは顔をひきつらせる。

 「お嬢様、ゼン様。そろそろお時間ですよ」

 「ああ、はい。では行きましょうか」

 「はい、お嬢様」

 アルカティーナが手を振り背を向けると、マリオスの瞳から滝のように涙が溢れ出した。

 「ぅう、大きくなったなぁティーナ…。ついこの間一歳の誕生日パーティーをしたばっかりなのに……!!」

 十数年前の思い出を口にしながらマリオスは呆れた様子のマーガレットに差し出されたハンカチで涙を拭う。

 「入学ごときでこんなだと、ティーナがお嫁に行く時のことが思いやられるわねぇ」

 ポツンと呟いたマーガレットに、マリオスは鋭い眼差しを向けた。

 「何を言うか!ティーナはお嫁になんか出しません!」

 マリオスの親馬鹿発言が聞こえなかったふりをして、マーガレットは物憂げに告げる。

 「………ティーナったらこの1年、あまり夜会にも参加していなかったから不安だったのだけど、せめて学園でいい人に出会えるといいわねえ」

 一方のマリオスは真っ青である。

 「なんてことだ!学園は飢えた狼の巣窟だってことをすっかり忘れてたよ!ティーナ、学園なんかに行かなくていい!!パパが一生養ってあげるから!」

 マリオスの魂の叫びは、既に馬車に乗り込んだアルカティーナには届かなかった。


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 学園編スタートです!
出だしから親馬鹿スキルが発動中です笑笑
 
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