聖なる歌姫は嘘がつけない。

水瀬 こゆき

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学園編

それは犯罪よ!!

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 ルデア・スクレリズ公爵は、その名の通りスクレリズ公爵家当主である。
スクレリズ公爵家は、クレディリア公爵家には僅かに及ばないものの、国内でその名を知らぬ者はいないとまで言われる大貴族だ。
その当主であるルデアも同様、若き公爵として有名だったりする。現在彼は22歳で、確かに若い。しかも美形ということで、物凄くモテる。万年モテ期のような人だ。

 さて、ここで問題だ。

 そんなルデアが、貴方の親友の婚約者になったらどうしますか?

 答えは人それぞれだろう。
ただ、『貴方』がアルカティーナもしくはリサーシャであった場合………

 「よし、スクレリズ公爵を殺ろう」

 「そうですね。彼は確かこの学校に勤務していたはず…早い事行きましょうか」

 こうなる。

 当然、アメルダはおったまげた。

 「ちょっと待ってよ二人とも!リサーシャはともかくティーナまでどうしちゃったの!?あっ別に心配してるとかじゃないけどね!」

 何処からともなく現れた金属バットを引きずりながらカフェテリアを出つつあったリサーシャと、それを追っていったアルカティーナを慌てて止めるアメルダ。
そんな彼女を、二人は可哀想なものを見る目で見つめた。

 「アメルダ。スクレリズ公爵の年齢を知ってますか?22歳ですよ、22歳」

 「22歳公爵と13歳の可愛いアメルダ…並ぶとまるで兄妹のようだと思うわ。きっとお似合いよ。でもね……」

 目をぱっちり見開いて、リサーシャとアルカティーナを交互に見つめるアメルダは相当動揺しているらしい。だが、そんな彼女には構わず、二人は声を揃えて言った。

 「「それは犯罪よ(です)!!」」

 この世界では、9歳差の婚約など、大して珍しいものではない。
 だが前世の記憶がある二人にとっては、それは違和感の塊だったのだ。22歳と13歳の幼気な美少女……犯罪臭しかしない。
 しかも、二人は『ルデア・スクレリズ』が攻略対象であるということを知っている。
ヒロインの相手が彼になった場合、泣くのはアメルダだ。アルカティーナとリサーシャは、それを避けたかった。
誰だって、友達の涙は見たくない。

 「あの…二人とも?お、落ち着こう??犯罪って、何のこと??」

 『犯罪』というワードに慌てるアメルダを、リサーシャは真正面から射抜くと、重々しい口調で告げた。

 「あのね、私達はアメルダの恋を応援したい。それは本当よ。でもね、スクレリズ公爵だけは!彼だけは、やめときなさい!」

 「なっなんで!?」

 真っ向から好きな人を否定されたアメルダは、可哀想に、最早涙目だ。
だが、リサーシャはKYだ。
空気を読まないし、読もうとしない。
当然この時もアメルダの涙を気にすることなく残酷な言葉をまたもや放った。

 「なんでって……彼は十中八九、ロリコンだからよ」

 「………ろり、こん??」

 首を傾げたアメルダに、リサーシャは一気にその顔色を悪くさせた。
この世界に『ロリコン』という単語は存在しないということを完全に忘れていたのだ。
慌てて同士ーーアルカティーナの方を見て、リサーシャは絶望する。

 「ろりこん?あぁ、路裏婚ですか!」

 路地裏の結婚式なんて、レアなものもあるんですねぇと呟くアルカティーナ。
 アルカティーナの天然は天然ものだ。


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 
 
 私、水瀬は昔からあるスキルを所有しています。
そのスキル名は《クズいアニメや漫画発掘調査》です。ちなみに、私の言う《クズ》は褒め言葉です。
 皆さんも是非、このスキルを所得してはいかがでしょうか?いいもんですよ。
 
 
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