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空波遥の章
関心
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急展開。オレは身じろぎする。
(・・・・・・何を言い出すんだこの教師?)
「こういう時って妙に気張っちゃうよね。自己紹介何て言おうとか、そんなキャラでもないのに愉快なヤツと思われたくてわざと空気を乱してみたりとかね」
オレが呆気に取られている間に、先生はつらつらとそんなことを言う。
「あと、この機会に変わってみたい・・・・・・とかね!」と続けられ、うっと唸り声が出た。
「けど大体徒労に終わるんだよね。そもそも転校ごときでそんな簡単に人って変われないし!」
何だろう、事態が自分の予想もつかない方向へ猛スピードで転がっていってる予感がびしばしと伝わってくる。
「だから、そんな気負ってほしくはないね」
「・・・・・・」
なんだこの大人。
「いくら必要以上に頑張ったって、結局なるようにしかならないんだから。・・・・・・というわけで結城くん、これからのことについてあれこれ考えを巡らしてるだろうけど、あまりその必要はないかもしれない。僕に言えるのは、やっぱり“ちょっと試しに教室入ってみないか”くらいだ。色んなことはその後考えよう」
(その“色んなこと”の詳細が気になるんですが・・・・・・)
「あの先生。話が見えな・・・・・・」
相変わらず人を食ったような調子で話し続ける教師を遮ろうとしたが、逆に割り込まれる。
「結城くん、なぜ僕がこんな風に言うかというとね」
「え・・・・・・」と零したオレに、永沢先生ははっきりとした口調でこう言った。
「うちのクラスの子、およそ良い意味で“自分のことにしか関心がない”んだ」
「えっ・・・・・・?」
一瞬自分の耳を疑ったが、どうやら聞き間違いではないらしい。
「えと、ど、どういう・・・・・・?」
あからさまに困惑を顔に出してしまっている自覚があったが、先生は釈明も弁明もすることはなく、眉を上げて実にキリッとしたいい表情で付け加える。
「うん。いやあの、本当良い意味でね?」
「いや・・・・・・。反応に困ります」
「まともに返されてしまった」
「返すでしょそりゃ」
さすがに急がないと時間的にまずいと思ったのか、先生が再び歩を進め始めた。慌ててその後を追いながら、オレは食い下がる。
「もうちょっと説明してくださいよ」
「う~ん。こうね、向上心に溢れた子たちなんだよ、すごく。で、それを他の人に押し付けたりはしないわけ。自分の流儀はちゃんと持ってるんだけど、他者のそれを邪魔したり見下したりはしないというか。あ~・・・・・・、そうそうえっとね、こういう言い方がいいかな」
何か得心したように、先生はにっこり笑ってオレを見た。
「自分を磨くのに忙しいから、他人の足を引っ張ったり、妬んだり悪口言ったりするという発想にならないんだと思う!」
「・・・・・・・・・・・・」
絶句。
(・・・・・・何を言い出すんだこの教師?)
「こういう時って妙に気張っちゃうよね。自己紹介何て言おうとか、そんなキャラでもないのに愉快なヤツと思われたくてわざと空気を乱してみたりとかね」
オレが呆気に取られている間に、先生はつらつらとそんなことを言う。
「あと、この機会に変わってみたい・・・・・・とかね!」と続けられ、うっと唸り声が出た。
「けど大体徒労に終わるんだよね。そもそも転校ごときでそんな簡単に人って変われないし!」
何だろう、事態が自分の予想もつかない方向へ猛スピードで転がっていってる予感がびしばしと伝わってくる。
「だから、そんな気負ってほしくはないね」
「・・・・・・」
なんだこの大人。
「いくら必要以上に頑張ったって、結局なるようにしかならないんだから。・・・・・・というわけで結城くん、これからのことについてあれこれ考えを巡らしてるだろうけど、あまりその必要はないかもしれない。僕に言えるのは、やっぱり“ちょっと試しに教室入ってみないか”くらいだ。色んなことはその後考えよう」
(その“色んなこと”の詳細が気になるんですが・・・・・・)
「あの先生。話が見えな・・・・・・」
相変わらず人を食ったような調子で話し続ける教師を遮ろうとしたが、逆に割り込まれる。
「結城くん、なぜ僕がこんな風に言うかというとね」
「え・・・・・・」と零したオレに、永沢先生ははっきりとした口調でこう言った。
「うちのクラスの子、およそ良い意味で“自分のことにしか関心がない”んだ」
「えっ・・・・・・?」
一瞬自分の耳を疑ったが、どうやら聞き間違いではないらしい。
「えと、ど、どういう・・・・・・?」
あからさまに困惑を顔に出してしまっている自覚があったが、先生は釈明も弁明もすることはなく、眉を上げて実にキリッとしたいい表情で付け加える。
「うん。いやあの、本当良い意味でね?」
「いや・・・・・・。反応に困ります」
「まともに返されてしまった」
「返すでしょそりゃ」
さすがに急がないと時間的にまずいと思ったのか、先生が再び歩を進め始めた。慌ててその後を追いながら、オレは食い下がる。
「もうちょっと説明してくださいよ」
「う~ん。こうね、向上心に溢れた子たちなんだよ、すごく。で、それを他の人に押し付けたりはしないわけ。自分の流儀はちゃんと持ってるんだけど、他者のそれを邪魔したり見下したりはしないというか。あ~・・・・・・、そうそうえっとね、こういう言い方がいいかな」
何か得心したように、先生はにっこり笑ってオレを見た。
「自分を磨くのに忙しいから、他人の足を引っ張ったり、妬んだり悪口言ったりするという発想にならないんだと思う!」
「・・・・・・・・・・・・」
絶句。
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