うちの天使に近寄るな~影と風に愛された死神はうちの子を守りたいだけなんだ~

朱音 アキ

文字の大きさ
10 / 134

第10話 辺境都市スレイロン

しおりを挟む
 シロを旅のおともに入れた俺たちは死の森抜け、街道を歩いていた。

 歩いているのは、俺とモコだけだけど。

「にゃにゃにゃーー」
「きゅーきゅー」
「わっふ、わんわん」
「たのしいねー」

 テトはモコの頭の上にお座り、ティナはシロを抱っこし、テトの上に乗っていた。
 そんな三匹+一人は、死の森を抜けて、散歩気分なのか歌いながら進んでいる。

 天使とその使い。
 やはりここは天国なのだろう。
 黒いモフモフと、白いモフモフに囲まれた、愛くるしい少女。
 天使とその使いが、可愛いらしい、弾むような声で音を奏で、行進している。

「……ソラどうしたの?なんかあった?」

 歩くことをやめ、うちの子たちを見つめていると、天使がささやいた。

「いや、ごめん、なにもない。ただ幸せをかみしめていただけだ。」
「??」
「わふ」

 モコよ。放っておいても大丈夫とはなんだ。
 ティナが来た時ぐらいからモコのお兄ちゃん化が進んでいる気がする。
 俺の扱いが雑になっているが俺は知っているんだぞ。
 いつもテトシロティナが寝た後、すぐ俺に甘えてくるモコのことを。

 そんなくだらないことを考えながら、街道を進んでいると、目の前に石でできた城壁が見えてきた。

「これが帝国の街か、ずいぶんと大きな城壁だな」
「えっとね……帝国はわからないけど、アトラス王国のダンジョンが近くにある町や、魔物が強いところの近くの町は大きいらしいよ」
「へぇー、本にのっていたのか?」
「ママがいってた……」
「……そうか、物知りのママだったんだな」

 俺はなんとなくティナを撫でる。

「そこの者止まれ」

 門が開いている場所に向かっていると、鎧を纏い帯剣している騎士風な集団に声をかけられた。

「子供か。その魔物はお前たちの従魔か?」
「そうだよ」
「冒険者カードを見せてもらおう」
「もってないけど、カードがないと街にはいれない?」
「そうではないが、魔物を入れるには、従魔としての証が必要だ」

 くそめんどくさいな。
 でも言っていることは理解ができる。

「親に家を追放させられて、従魔と一緒にここまできたから、他の街にも行ってないし、冒険者ギルドにもいけてないんだ」

 考えていた街に入る時の設定を使う。
 小説あるあるだろう。家を追放からの成り上がり設定。

「追放ってことは貴族の子供か、面倒な。お金はあるか?」
「ない。けど魔物を狩っているから売れればあるよ?」
「それでは、ギルドまで送ろう。そこで従魔登録してもらえ、誰かついていってくれ」

 騎士の隊長風の人が部下に尋ねる。

「オレが連れていってやる。坊主と嬢ちゃんたちもついてこい」
「お前が仕事をするとは珍しいな。評価しておいてやろう」

 ニヤニヤとバカにしたような顔で隊長さんが、髪がボサボサで鎧をきていない人に応える。
 うざい上司だな。
 まあ、鎧を着てない人も反応してないし、いつものことなんだろう。
 茶髪でボサボサだが、顔は驚くほどイケメンだ。
 どこかの王子様だと言われると納得がいくほどだ。

「お前たちはやくついてこい、おいてくぞ?」
「はいはーい、いこう」

 おいてくってなんだよ。ついていかなかったら、あんたも困るだろ。
 俺たちは、ずかずかと歩いていく騎士についていき、門をくぐる。

 おおー、ヨーロッパの旅行本でみたような景色だ。
 石造りの道で家々がレンガのようなもので作れている。
 赤、黄、青の色とりどりの屋根が特徴てきだ。

「遅い、あちこち見てる暇があったらはやくこい」

 もう少し、異世界初の街の感動にひたらせてくれよ。
 騎士は門から続く、大通りを歩いていく。
 周りからの視線が痛い、テトモコシロが珍しいのか。すごく見られている。いや、ティナも見られているな。
 見るな。うちの子たちが嫌がっているだろう。
 可愛いのはわかるが、かわいい子に迷惑をかけてはダメと世界の常識ではないのか?

「みんな、耐えてくれよ。街にいたら住人も慣れてくるだろうからな。こんなに見られるのもはじめだけだ」

 騎士が大通りから小道にはいったので、急いで俺たちはついていく。
 狭い道だな、ギルドに向かうのにこんな道を通るのか。
 そんな疑問を抱いていると、険しい顔をした騎士に話しかけられた。

「お前ら、なんのためにスレイロンにきた?」
「??さっきも言ったが、家を追放されて、ここに来ただけだ」
「そんな話信じちゃいねーよ。どこの貴族がお前のような化け物を追放すんだよ、嬢ちゃんはともかく、桁違いな魔力をもった子供を手放す貴族なんていねぇー、そして従魔の強さも異常だ」
「貴族なんて一言もいってないだろう」
「坊主の服も質のいいものだが、嬢ちゃんの服は庶民が買える代物じゃない」

 なるほどね、盲点だった。
 別に、ティナが貴族であったことを隠したいわけではないが、言いふらしたいわけでもない。
 モンティール公爵家にばれなければいいだけだ。 
 今ティナが着ている服は俺が貸している服ではなく、出会った時のワンピースだ。
 ティナが街に行くならおしゃれをしたいっていうから、全力で肯定した。
 しかも、この騎士は俺の魔力量に気づいている。
 ドーラが俺の魔力量は人間の中では多いほうだと言っていたが。
 慌てている騎士の感じからするとそんな話でおさまっている量ではないのかもしれない。

「俺が言ったことは事実だ、ただ俺の魔力量は家にはばれていない、それだけだ。従魔は家を出てから自分で見つけた。この街に来たのも家から離れたかっただけ。それ以上でもそれ以下でもない」
「……国はどこだ?」
「それは言えない」
「オレはお前たちが間者だと疑っている。国が言えないならそれなりの対応をさせてもらうぞ」

 男はそう言い放ち、剣を引き抜く。
 それと同時に、テトは俺の前に移動し、威嚇する。
 モコは、ティナとシロをつれ、後方へと下がった。

「テト、ストップ」
 
 俺は両手でテトを抱き上げ、男に目を向ける。
 めんどくさいな。
 ドーラの話では今人間の国で戦争しているところはないだろうってことだったんだがな。
 表では戦争してないが、裏ではバチバチってか、本当に人間にはあきれるわ。

「この国がどういう状況なのかは知らんが、俺たちには関係ないことだ。あまりうちの子たちに敵意を向けるな。殺すぞ?」

 俺は抑えている魔力を男にぶつけるように解き放つ。

「ぐぅ」
 
 男は魔力に押さえつけられるかのようにうなだれる
 俺は再度魔力を抑え、テトを一撫でる。

「まあ、俺の言うことを信じろなんていわないよ。国を言えないのはうちのティナが殺されかけたからだ。逃げているので、ティナの存在を知られると困る。ただそれだけの理由だ。これで納得してくれないか?そして今言ったことはお前の中だけで留めてほしい」

 男は苦悶の表情を見せているが、考えが決まったのか俺の目を見つめる。

「わかった。全部が本当とは思えないが、嬢ちゃんを守りたいってことは伝わった。間者ではなさそうだしな。まあ、間者でもオレじゃお前たちをどうしようもできねえ」
「それはよかったよ。俺はただうちの子たちと旅がしたいだけなんだ」
「それは時間とって悪かったな、ギルドにつれていくよ」
「ありがと、名前はなんていうんだ?あと所属。門を守る騎士ってだけじゃないんだろ?」
「本当に間者じゃないんだろうな、てめぇー。それっぽいこと聞くんじゃねーよ。オレはルイ・コドールだ、所属はヴァロン帝国零番隊だ。公にはない隊だ。これでお前たちもオレの秘密を知ったんだから言うんじゃねーぞ」

 面白い男だな。
 風貌は騎士にそぐわず、言動も騎士とは思えない。
 だが、国を想う気持ちはあり、不審な俺たちを怪しみ行動に移す。
 ティナのことをしってしまったから、自分の秘密を言い、相殺しようとする。
 別に嘘を言えばいいだけだろうに。
 
「ねぇ、なんかすごかったねー」
「きゅうきゅう」

 ティナとシロがのんきに話しているが、俺たち国の戦争に巻き込まれかけたんだぞ?
 人間の街にきて最初のイベントが大きすぎるよ。
 もっとのんびりと異世界を満喫させてほしいんだけどな。
 そんなことを思いながら、先を行くルイの後を追って、ギルドを目指す。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

処理中です...