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はじまりの10歳
23.トーストとサンドイッチ
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「トーストください」
わたしは給仕の侍従にトーストを焼いてくれるようにお願いする。すると、しばらくして朝焼いたばかりの食パンがトーストして出されてきた。
わたしはそれに、ロベルトさんが作ったジャムを付ける。これは、この屋敷でなったグレープフルーツのマーマレードだ。
前世で育てたことあるけど、グレープフルーツはその名前の通り葡萄のようにゴロゴロなる。柑橘類は温暖な地域なら育てるのは簡単だし、庭があるならお勧めだ。
まあ、グレープフルーツなんかは、なれすぎるきらいがあるから、よほど好きじゃないとそのままで食べるのも限度があるけどね。マーマレードとかシトラスカードにして消費するのが一番いいかも知れない。
でも、柑橘類で一番のお勧めはレモンかなー。
近所に植えている家があったけど、実がなる季節にはすごく見栄えがするし、とてもおしゃれである。数はあまり期待できないけど、鉢植えも可愛い。
あ、レモンは棘が多いらしいので、棘の少ない品種を選んだ方がいいかも。
レモンはいろいろ使えるし、レモンカード作ってパンに塗ったり、タルトにしてもいいよね。
「あ、美味しい」
ロベルトさん特製マーマレードは、グレープフルーツ特有の苦みがアクセントになっていて、ちょっぴり大人の味である。
あっという間にトーストを食べてしまったわたしは、もう一枚焼いてもらい、今度はクリームチーズを塗った上に、マーマレードを載せた。
おお、塩気の利いたなめらかなクリームチーズに、甘酸っぱいグレープフルーツマーマレードはやっぱり合うな!
嬉々としてトーストを食べていると、それを見ていたお父様がわたしのまねっこしてクリームチーズマーマレードトーストを食べ出した。
「うん、旨い。ハッシュドポテトといい、ブランシュの食の記憶は侮れないな」
まるでわたしの前世の記憶が食にばかり特化しているようにも聞こえますが、一応褒め言葉と受け取っておきますよ、お父様。
「そういえば、このハッシュドポテトはサンドイッチにもできるのか?」
「うーん、フライドポテトを挟んだサンドイッチも存在してましたから、それもありなんでしょうけど、冷めると美味しくないと思いますよ」
すると、お父様はがっかりというような顔になった。……お父様、ジャガイモ大好きですよね。わたしも好きだけど。
「……そうか、そのフライドポテトを挟んだサンドイッチはそのままで食べるのか?」
「なんでもケチャップやブラウンソースをかけて食べるらしいですよ。わたしがいた国ではなく、イギリスという国のサンドイッチですが」
さすがフィッシュアンドチップスの国だけあって、フライドポテトをサンドイッチに挟むとは、ポテト好きにも程がある。……あ、フィッシュアンドチップスのチップスって、フライドポテトのことだからね。
「ほう、そうか」
「そういえば、イギリスのお隣のアイルランドでは、ポテトチップスを挟んだサンドイッチがあるそうです。スナック菓子を挟んでしまうとは、なかなか独創的ですよね」
「……ポテトチップス?」
すると、お父様が不思議そうな顔をした。
……そういえば、ポテトチップスみたいなしょっぱいお菓子ってここでは食べたことないな。ありそうなものだけど、なかったのか。
「皮を剥いたジャガイモを薄く輪切りにして油で揚げ、塩などの調味料で味付けした甘くない菓子です。ジャガイモをそのままで揚げるとでんぷんが焦げて黒くなるので、水にさらしてから水分を拭き取る必要がありますが」
キャラメリゼやチョココーティングしたりとか甘いポテトチップスもあるけど、基本的にはしょっぱい味付けなので割愛する。
すると、わたしの話を聞いていたお父様の目がきらりと光った。
「そうか、それでは今すぐロベルトに作ってもらおう」
お父様はすぐさまロベルトさんを呼び出すと、わたしに作り方を説明させ、ポテトチップスを作らせた。
できあがったそれを食したお父様は、ハッシュドポテト以上の大絶賛。ロベルトさんに切らさず作るように命じていた。
そして、わたし達が帰還した後、ポテトチップス熱が辺境伯家に吹き荒れることになるのだけれど、それはもう少し先のことである。
わたしは給仕の侍従にトーストを焼いてくれるようにお願いする。すると、しばらくして朝焼いたばかりの食パンがトーストして出されてきた。
わたしはそれに、ロベルトさんが作ったジャムを付ける。これは、この屋敷でなったグレープフルーツのマーマレードだ。
前世で育てたことあるけど、グレープフルーツはその名前の通り葡萄のようにゴロゴロなる。柑橘類は温暖な地域なら育てるのは簡単だし、庭があるならお勧めだ。
まあ、グレープフルーツなんかは、なれすぎるきらいがあるから、よほど好きじゃないとそのままで食べるのも限度があるけどね。マーマレードとかシトラスカードにして消費するのが一番いいかも知れない。
でも、柑橘類で一番のお勧めはレモンかなー。
近所に植えている家があったけど、実がなる季節にはすごく見栄えがするし、とてもおしゃれである。数はあまり期待できないけど、鉢植えも可愛い。
あ、レモンは棘が多いらしいので、棘の少ない品種を選んだ方がいいかも。
レモンはいろいろ使えるし、レモンカード作ってパンに塗ったり、タルトにしてもいいよね。
「あ、美味しい」
ロベルトさん特製マーマレードは、グレープフルーツ特有の苦みがアクセントになっていて、ちょっぴり大人の味である。
あっという間にトーストを食べてしまったわたしは、もう一枚焼いてもらい、今度はクリームチーズを塗った上に、マーマレードを載せた。
おお、塩気の利いたなめらかなクリームチーズに、甘酸っぱいグレープフルーツマーマレードはやっぱり合うな!
嬉々としてトーストを食べていると、それを見ていたお父様がわたしのまねっこしてクリームチーズマーマレードトーストを食べ出した。
「うん、旨い。ハッシュドポテトといい、ブランシュの食の記憶は侮れないな」
まるでわたしの前世の記憶が食にばかり特化しているようにも聞こえますが、一応褒め言葉と受け取っておきますよ、お父様。
「そういえば、このハッシュドポテトはサンドイッチにもできるのか?」
「うーん、フライドポテトを挟んだサンドイッチも存在してましたから、それもありなんでしょうけど、冷めると美味しくないと思いますよ」
すると、お父様はがっかりというような顔になった。……お父様、ジャガイモ大好きですよね。わたしも好きだけど。
「……そうか、そのフライドポテトを挟んだサンドイッチはそのままで食べるのか?」
「なんでもケチャップやブラウンソースをかけて食べるらしいですよ。わたしがいた国ではなく、イギリスという国のサンドイッチですが」
さすがフィッシュアンドチップスの国だけあって、フライドポテトをサンドイッチに挟むとは、ポテト好きにも程がある。……あ、フィッシュアンドチップスのチップスって、フライドポテトのことだからね。
「ほう、そうか」
「そういえば、イギリスのお隣のアイルランドでは、ポテトチップスを挟んだサンドイッチがあるそうです。スナック菓子を挟んでしまうとは、なかなか独創的ですよね」
「……ポテトチップス?」
すると、お父様が不思議そうな顔をした。
……そういえば、ポテトチップスみたいなしょっぱいお菓子ってここでは食べたことないな。ありそうなものだけど、なかったのか。
「皮を剥いたジャガイモを薄く輪切りにして油で揚げ、塩などの調味料で味付けした甘くない菓子です。ジャガイモをそのままで揚げるとでんぷんが焦げて黒くなるので、水にさらしてから水分を拭き取る必要がありますが」
キャラメリゼやチョココーティングしたりとか甘いポテトチップスもあるけど、基本的にはしょっぱい味付けなので割愛する。
すると、わたしの話を聞いていたお父様の目がきらりと光った。
「そうか、それでは今すぐロベルトに作ってもらおう」
お父様はすぐさまロベルトさんを呼び出すと、わたしに作り方を説明させ、ポテトチップスを作らせた。
できあがったそれを食したお父様は、ハッシュドポテト以上の大絶賛。ロベルトさんに切らさず作るように命じていた。
そして、わたし達が帰還した後、ポテトチップス熱が辺境伯家に吹き荒れることになるのだけれど、それはもう少し先のことである。
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みんなの感想(26件)
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この作品を読んでて作中にでてきた食べ物が食べたくなりました〜〜!!!
他の作品も好きですが、この作品が私は特に好きですっ!!!
更新楽しみに待ってます!!
ありがとうございます!
この作品を好きと言ってくださって嬉しいです。
更新頑張ります!
今はトマトアレルギーなので、沢山食べれないけど、トマトをカットして、マヨネーズにお醤油とみじん切りしたタマネギのソースをかけてラップしてしばらく冷やしたトマトが食べたくなりました。久しぶりにトマトが食べたくなりました。
アレルギーですか……。好きなものが食べられないのはつらいですね。
やったことのない食べ方です!今度作ってみます。
それではありがとうございました!
退会済ユーザのコメントです
ありがとうございます!
ざまぁ対象の王子がまだ出てきてないので、ざまぁ小説というのは確かに弱いかもですね。
個人的にグルメ系小説はお腹が空いてる状態で書くのが最善だと思います。満腹状態だと臨場感が出ないというか……。