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第二部4章 表裏一体 抱く光は闇 抱く闇は光の章
7.水・闇 共闘!?①
しおりを挟む「バルド。バルド………!」
抱きついたまま、名前を呼び続ける。
他に言葉が出てこない。
一時は、もう会えないと思ってた。
「アヤ。甘えられんのは大歓迎だが…とりあえず状況説明してくれ」
「はう、あ!?」
苦笑するバルドに言われ、我にかえる。
う~~~~~~~わ~~~~~~~~!!!
は、恥ずかしすぎる!!
「ご、ごめ……!」
「とりあえず、闇の魔導は敵か?」
慌てて離れようとしたら、腰を抱かれて引き寄せられた。
無言の離れんなの合図に、恥ずくはあるが素直に従う。
「え、っと…、ギルは敵じゃない」
「ギル?」
愛称呼びが気に食わなかったか、バルドが片眉を上げ、顔をしかめた。
ヤキモチ焼き皇子健在か…今はそれどころじゃないから、ひとまず無視!
「敵は………」
「水の魔導。エルネイレスの転生か?ようも、まぁ、次から次と……数で勝負しやるか?」
ラゼルがクツクツ笑いながら、俺たちに対峙する。左目は、俺がギルの目を取り返した為、閉じていた。
静かだが、怒りに燃える波動が体から溢れ、俺は無意識に、バルドにギュッと縋り付く。
「バルド………」
「真の黒幕登場ってやつか」
「オルガが、邪神ラゼルだった!ギルは、まぁ、いろいろあって、今は敵じゃない。台座は今、動きを止めてる。鍵待ち?みたい…」
「….…なるほどな。大体、ディオンの予想通りか」
「ディオンが?来てんのか?」
「全員な。手練ればっかだ。今は、塔のあちこちで戦闘中だ」
全員が誰とは聞かなくても、大体想像つくが…
「….…イヴァンは、やられおったか…フン!所詮は人からの転身魔族。真性魔族とは違いこの程度か」
イヴァンがやられたのは驚きだが……それより、ラゼルの言い方が気に障る。
何なんだ!そのどうでもよさげな物言いは!
「イヴァンは、お前の仲間だろ!?何だよ、その言い方!!」
「仲間?……くっ、は、ははっ!あ、はははははっっ!仲間とな?これはよい!如何にもな、人の考え方よ。闇の神たる我に、仲間などとくだらぬものはおらぬ。徒党を組むは、其方ら弱き者、愚かなる人間どもが考えるものだ」
「なっ!!」
「よせ、アヤ。あれは神……俺たちとは土俵が違う場所に立つ存在。相容れんものだ」
「バルド!でも……!」
だとしても、そばに置いた者に対して、あまりな言種に腹が立つ。
「水の魔導の言う通りだ。邪神自身も言うたであろう?所詮、神々にとって、人は玩具、傀儡に過ぎぬ」
ギルゼルトにも諭された。
分かってる!人の常識が、神に通用しないのは!
でも………!!
「が、俺のアヤを傷つけんのは許せんな。神だろうがなんだろうが、人のものに手ぇ、出すんじゃねぇよ!」
「我が言えた義理ではないが…其方をもう傷つけとうはない。邪神だろうが、これより先は我が傷つけるものから守る」
「胸糞悪りぃが、意見が合ったな?」
「不本意だが………認めよう」
火花散らしつつ、バルドとギルがお互い睨め付け合う。
フンと互いに鼻で吐き捨て、ラゼルに向き直った。
「「下がってろ、アヤ!!」」
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