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20.波乱の晩餐会①
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「お嬢様……こちらのドレスで、いいのですか」
アンナは、リリアージュの纏う赤いドレスを見つめながら眉を寄せた。
「ええ……私はガブリエル様の婚約者。だから、今日はこれでいいのよ」
「出過ぎたことを……申し訳ございません」
「アンナ、気にしないで。でもね……これだけは、付けてくれないかしら」
リリアージュがそっと差し出したのは、小さな水色の花を模した髪飾り。
「ドレスには……似合わないかもしれないけど」
「そんなことはございません。このアンナにお任せください」
「……いいの?」
「もちろんです。全身全霊を込めて、お嬢様を最高に素敵な女性に仕上げさせていただきます」
「アンナ……ありがとう」
「リリア嬢、緊張してる?」
「はい……アラン様は、いかがですか」
「さっきから心臓が飛び出してきそうで、困っている……」
「私もです……」
会場に繋がる大きな扉の前で、思わず顔を見合わせて小さく笑った。
「……ここに入ったら、もう後戻りはできないよ。覚悟は、いい?」
「望むところです」
前を向き、胸を張ったリリアージュ。
その横顔を見つめ、アランもゆっくりと前を見据え微笑んだ。
「……行こうか、リリア嬢」
「はい」
静かに扉が開く。
眩いシャンデリアの光が、ゆっくりと一歩ずつ進む二人に降り注ぐ。
「えっ、アラン様……?」
「もしかして……あの話」
「なら、お二人って……」
耳を汚す雑音にも、アランは一切表情を変えない。
「リリア嬢、前を向いて。君に恥じることなんて何一つない」
「はい」
アランの腕に添えられたリリアージュの手に、ほんの少しだけ力が入る。
「大丈夫……私がいるじゃないか」
「アラン様……」
ようやく笑みが戻ったリリアージュは、しっかりとした足取りで国王陛下夫妻の元へ歩み寄った。
この場にいるどのご令嬢よりも、綺麗で完璧なカーテシー。
先程までの喧騒が、一瞬で感嘆のため息へと変わった。
「リリアージュ・ハインツベル……よく来たな」
「ありがとうございます。陛下には、多大なるお気遣いを賜り、恐悦至極にございます」
「あぁ……後でまた話をさせてくれ」
「……承知いたしました」
リリアージュは、王をじっと見つめ、もう一度深々と頭を下げた。
「……続きまして、レダール国第二王子ガブリエル殿下、並びにダストン男爵家カトリーヌ様、ご入場です」
まばらな戸惑いが混じった拍手の中、意気揚々と進むガブリエル。
その横には、視線を奪うほど真っ赤なドレスに身を包み、彼の腕に絡みつくカトリーヌ。
国王陛下夫妻への挨拶を終えた二人は、リリアージュとアランを見つけ、ほくそ笑んだ。
「これはこれは……兄上、私の婚約者をエスコートなんて、とんだご迷惑を……」
意地悪く笑いながらガブリエルは、兄にわざとらしく頭を下げた。
「いや、迷惑だなんて……こんなに素敵なリリア嬢をエスコートできるなんて、夢のようだよ。むしろ、感謝したいくらいさ」
「アラン……お前」
「リリアージュ様も、本当ごめんなさい。私がガブリエル様を独り占めしちゃって」
「いえ……それがガブリエル様のお望みですから」
リリアージュは慈しむように笑みを浮かべ、ガブリエルを見つめた。
「リリア……」
その美しさに目を奪われ、ガブリエルはうわ言のように呟く。
無意識に彼女へと手を伸ばすも、それは敢えなくカトリーヌに捕まり、彼女の腕と絡んだ。
「でも、リリアージュ様はお困りだったでしょう? 私も突然のことだったから、ドレスもなくて……でも、ご覧になって」
胸元を大胆に露出したそのドレスの裾を持ち上げ、カトリーヌは意地悪く唇の端を上げた。
「これ……ガブリエル様からのプレゼントですの」
「そうですか……」
「リリアージュ様と同じ赤……ですが、私の体にぴったりでしょう?」
アンナは、リリアージュの纏う赤いドレスを見つめながら眉を寄せた。
「ええ……私はガブリエル様の婚約者。だから、今日はこれでいいのよ」
「出過ぎたことを……申し訳ございません」
「アンナ、気にしないで。でもね……これだけは、付けてくれないかしら」
リリアージュがそっと差し出したのは、小さな水色の花を模した髪飾り。
「ドレスには……似合わないかもしれないけど」
「そんなことはございません。このアンナにお任せください」
「……いいの?」
「もちろんです。全身全霊を込めて、お嬢様を最高に素敵な女性に仕上げさせていただきます」
「アンナ……ありがとう」
「リリア嬢、緊張してる?」
「はい……アラン様は、いかがですか」
「さっきから心臓が飛び出してきそうで、困っている……」
「私もです……」
会場に繋がる大きな扉の前で、思わず顔を見合わせて小さく笑った。
「……ここに入ったら、もう後戻りはできないよ。覚悟は、いい?」
「望むところです」
前を向き、胸を張ったリリアージュ。
その横顔を見つめ、アランもゆっくりと前を見据え微笑んだ。
「……行こうか、リリア嬢」
「はい」
静かに扉が開く。
眩いシャンデリアの光が、ゆっくりと一歩ずつ進む二人に降り注ぐ。
「えっ、アラン様……?」
「もしかして……あの話」
「なら、お二人って……」
耳を汚す雑音にも、アランは一切表情を変えない。
「リリア嬢、前を向いて。君に恥じることなんて何一つない」
「はい」
アランの腕に添えられたリリアージュの手に、ほんの少しだけ力が入る。
「大丈夫……私がいるじゃないか」
「アラン様……」
ようやく笑みが戻ったリリアージュは、しっかりとした足取りで国王陛下夫妻の元へ歩み寄った。
この場にいるどのご令嬢よりも、綺麗で完璧なカーテシー。
先程までの喧騒が、一瞬で感嘆のため息へと変わった。
「リリアージュ・ハインツベル……よく来たな」
「ありがとうございます。陛下には、多大なるお気遣いを賜り、恐悦至極にございます」
「あぁ……後でまた話をさせてくれ」
「……承知いたしました」
リリアージュは、王をじっと見つめ、もう一度深々と頭を下げた。
「……続きまして、レダール国第二王子ガブリエル殿下、並びにダストン男爵家カトリーヌ様、ご入場です」
まばらな戸惑いが混じった拍手の中、意気揚々と進むガブリエル。
その横には、視線を奪うほど真っ赤なドレスに身を包み、彼の腕に絡みつくカトリーヌ。
国王陛下夫妻への挨拶を終えた二人は、リリアージュとアランを見つけ、ほくそ笑んだ。
「これはこれは……兄上、私の婚約者をエスコートなんて、とんだご迷惑を……」
意地悪く笑いながらガブリエルは、兄にわざとらしく頭を下げた。
「いや、迷惑だなんて……こんなに素敵なリリア嬢をエスコートできるなんて、夢のようだよ。むしろ、感謝したいくらいさ」
「アラン……お前」
「リリアージュ様も、本当ごめんなさい。私がガブリエル様を独り占めしちゃって」
「いえ……それがガブリエル様のお望みですから」
リリアージュは慈しむように笑みを浮かべ、ガブリエルを見つめた。
「リリア……」
その美しさに目を奪われ、ガブリエルはうわ言のように呟く。
無意識に彼女へと手を伸ばすも、それは敢えなくカトリーヌに捕まり、彼女の腕と絡んだ。
「でも、リリアージュ様はお困りだったでしょう? 私も突然のことだったから、ドレスもなくて……でも、ご覧になって」
胸元を大胆に露出したそのドレスの裾を持ち上げ、カトリーヌは意地悪く唇の端を上げた。
「これ……ガブリエル様からのプレゼントですの」
「そうですか……」
「リリアージュ様と同じ赤……ですが、私の体にぴったりでしょう?」
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