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2章

にじゅーいち

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「大事な義弟に傷つけたくなけりゃあ、その手、放しな」

放したら私切られちゃうんだけど。
このひとには屍人が見えないのかな。

私がちらりと屍人を確認するともう近くまで迫っていた。
手を伸ばされたから咄嗟に神楽鈴を回して一線を放って祓う。
突然引いたことで男がすっ転んだ。

可哀想に。
あの転び方は痛い。
男は顔から転んでいた。お風呂入る時に沁みるタイプの傷だ。

「待っ、待て!先にこいつらを何とかしろ!お前がやってるんだろ!」

すっ転んだ男は意外と丈夫だったらしい。
すぐ立ち上がった。

男たちが祓う係だと思ったのにいつの間にか私へと変わっていたらしい。

この数私ひとりで対応するのか。
ちょっと疲れるな。

仕方ないから神楽鈴を振って近くにいる屍人だけ浄化する。
だけどキリがない。
あらかた祓う頃には大分疲弊していた。
もう寝たいな。

「よ、よし………とりあえずそれ渡しな」

どうやら神楽鈴のことを言っているらしい。
重いからかわりにもってくれるのだろうか。
神楽鈴はそんなに重くないんだけど。
でも男の好意を無下にするのは可哀想だと思い渡す。

「そのままこっちにきな。この綺麗な顔に傷つけたくないだろう」

そうだった。
少年がいるんだった。

本当になんでいるんだろう。
少年の元まで行くと改めて縛られた。

「気をつけろ、こいつ縄をちぎる」

そんなことを言われたけどそこまで腕力ゴリラじゃない。
少年の近くにいた男に鉄鎖のようで手首を巻かれた。
ちょっと冷たい。

少年と一緒に連れていかれた場所は廃屋のようだった。

廃屋の中で二人きりになると少年が「ごめん、僕のせいで」と謝ってきた。

確かに少年のせいで私ひとりであの屍人の数を祓うことになった。

おかげで疲労困憊だ。
このまま寝たい。

だけど随分気にしている様子の少年がちょっと可哀想で「どちらにせよああなっていました」とフォローする。

彼らは思った以上に弱かったみたいだし、少年が来なくてもきっと私が祓うことになっていただろう。
そうなるとどちらも変わらない。

「霊力について調べたんだ」

少年が俯きながら話す。
珍しい。
少年にも興味があるのだろうか。
だけど霊力は生まれつきのもので、残念ながら努力しても身につかない。

「霊力の受け渡しってできるよね。それを伝えたくてお前を探してたら、なんか危なそうだったから」

それで一緒に連れてこられてしまったのか。
私は置いといて、少年が人質ってちょっとまずいよね。
どうしようかな。

「霊力の受け渡しは、その、できるんだよね!?」

少年が叫ぶ。
耳が痛い。

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