だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜

十和とわ

文字の大きさ
555 / 866
第五章・帝国の王女

503.Main Story:Ameless

しおりを挟む
 国教会から親善使節が来たというのに私は愛しのミシェルちゃんに会えずじまいだった。
 フリードルとマクベスタが随分と真剣な様子でミシェルちゃんに極力会うなと言ってきたのだ。それをどうにも無碍に出来ず、辛酸を嘗めながらもその言葉に従い、翌日。

 ついに来たぜ、食事会!
 食事会とは名ばかりの立食パーティーだけど!!

 朝から私は元気だった。飛び起きた私を見て、起こしに来たナトラと一緒に寝ていたセツが目を丸くしていた程。
 その後は侍女の度肝を抜きつつ踊るように着替え、舞うように身嗜みを整える。

 そうっ、全ては大好きなミシェルちゃんとのファーストインプレッションを最良のものにする為! 
 悪役令嬢らしくヒロインとの良好な関係を築いてみせる! 決して下心とかではない。あくまでもハッピーエンドの為だ!!

 きっと誰よりも立食パーティーを楽しみにしていた私だったが、ここでまさかの緊急事態が発生する。
 なんでも西部地区に謎の魔物が出現したらしい。連絡用魔水晶からメアリーの『なんか変な魔物がうじゃうじゃいるの! 街の皆を守るので精一杯で……とにかく姫助けてーーっ!』なんて焦った声が聞こえてきて、迷わず西部地区に向かう事に決めた。

「イリオーデ、今すぐ西部地区に向かうわよ! ルティはケイリオル卿の元に向かって、この後の食事会を欠席する旨を伝えてきて!」
「はっ、準備は整っております」
「仰せのままに。命令を完了次第、主君の元へ向かいます」

 突然の命令にも動じる事なく、アルベルトは影の中に潜った。
 着替えている暇はない。動きづらいだろうけど、このまま向かおう。

「ナトラー! あとシュヴァルツもいるー!?」

 部屋から飛び出し廊下に出るやいなや大声で叫ぶ。
 シルフは一昨日、フィンに引き摺られて精霊界に仕事の為に連れ戻されたので不在だ。その為、何故か毎日暇そうなシュヴァルツに頼みたい事があるのだが……。

「おう、いるぞ。妙に騒いでたみてェだが、どうした?」

 悪魔らしく纏った闇を弾き、シュヴァルツがどこからともなく現れる。その直後ドタドタドタと大きな足音が聞こえたかと思えば、

「我を呼んだか!」

 超高速スライディングでナトラも現れた。これをターボナトラと呼ぼう。

「ナトラは東宮の前で待機してる馬車に帰るよう伝えてきてくれる? 私、今すぐ行かなきゃいけない所があるの」
「構わんが……行かなければならん所とはどこじゃ?」
「西部地区よ。トラブルがあったみたいで、メアリーから救援要請があったの」
「トラブルとな。それは仕方あるまい……じゃが、お前はよいのか?」

 え? と素っ頓狂な声が漏れ出る。
 ナトラは真剣な様子でこちらを見上げ、更に言葉を続けた。

「お前、今日の食事会を馳走を前にした幼子のように楽しみにしていたではないか。だというのに、それを軽々と放棄してもよいのか?」

 ここ数日の落ち着きのなさと、今朝からのハイテンションっぷり。それを知るナトラは私がこの食事会を──ミシェルちゃんに会える日を心待ちにしていた事に、気づいていたらしい。
 だとしても、

「民の安全を守る事こそが王女の役目。それに……部下が助けを求めてるのなら、上司としてそれに応じない訳にはいかないわ」

 私情塗れのちっぽけな願望より、ずっと大切なものがある。
 守らなければならないものがたくさんある。
 その為ならば私はいくらでもこの身を捧げよう。誰かの為に生きる事しか、私には出来ないのだから。

「……そうか。お前自身がそこまで言うならば、我から言える事など何一つあるまい。──あいわかった。お前の頼み、この緑の竜がしかと聞き届けたぞ」
「ありがとう、ナトラ。よろしくね」
「うむ!」

 どこか大袈裟な語り口ではあるものの、ナトラはニッと笑い駆け出した。
 あっという間に見えなくなった翡翠色のツインテールを脳裏に思い浮かべつつ、今度はシュヴァルツに話を振る。

「シュヴァルツにも頼みが……」

 しかし、私の言葉は途中で遮られた。

「西部地区に行きたいんだろ? そこまでの足でオレサマを使おうって魂胆か。マジで不敬だよなァ、お前さんは」

 相変わらず察しがいい。シュヴァルツはくつくつと笑いながら、その場で空間魔法を使用した。
 内容は当然瞬間転移。白い魔法陣に照らされながら、私達は西部地区へと移動した。
 シュヴァルツが西部地区の中で最も行っている場所だからだろうか。転移先はディオの家の中。目を開けた途端、私はメアリーに飛びつかれた。

「姫~~っ! もう来てくれたんだ! あっ、ドレスすっごく可愛い……じゃなくてありがと~~~~!!」

 危機的状況らしいが、こんな時でもメアリーはお洒落に目がなかった。今日はミシェルちゃんに会えるからといつも以上に気合いを入れておめかししたもの。そりゃあ可愛いに決まっている。
 ……まあ、その予定はつい今しがた消し飛んだのだけど。これは必要な犠牲でした……。

「来るに決まってるじゃない。──ここにはメアリーとディリアスしかいないの? バドールはともかくクラリスは?」
「クラ姉は変な魔物が現れてすぐに剣持って飛び出したよ」
「あの人まだ産後二週間も経ってないわよね? 何やってるの?」
「バド兄が涙目で止めたんだけど、『街の人達が心配だ!』って言いながら……」

 これは──流石にバドールに同情するなぁ。
しおりを挟む
感想 101

あなたにおすすめの小説

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

攻略なんてしませんから!

梛桜
恋愛
乙女ゲームの二人のヒロインのうちの一人として異世界の侯爵令嬢として転生したけれど、攻略難度設定が難しい方のヒロインだった!しかも、攻略相手には特に興味もない主人公。目的はゲームの中でのモフモフです! 【閑話】は此方→http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/808099598/ 閑話は最初本編の一番下に置き、その後閑話集へと移動しますので、ご注意ください。 此方はベリーズカフェ様でも掲載しております。 *攻略なんてしませんから!別ルート始めました。 【別ルート】は『攻略より楽しみたい!』の題名に変更いたしました

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。 

さら
恋愛
 私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。  そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。  王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。  私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。  ――でも、それは間違いだった。  辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。  やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。  王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。  無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。  裏切りから始まる癒しの恋。  厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。

主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。 ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。 これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。 そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ! そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――? おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!? ※小説家になろう・カクヨムにも掲載

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

処理中です...