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連載
二人目の鬼畜
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カティが狙われているのがはっきりし、しかも常に監視されていることもわかった。
エンヤの指導・・お遊びは終わった。エンヤは手加減なしで魔法の特訓を進めることにした。
あれだけおちゃらけた楽しい好々爺のお師匠様が別人になった!
カティがそう嘆くほど、遊びながら魔法をうまく引き出し、身につけさせようとしてくれていたエンヤが、鬼軍曹となった。
まずは防御魔法を徹底して教え込まれた。
攻撃を察知した瞬間に防御できるよう何度も攻撃された。最初は水鉄砲くらいの水量、それがだんだん強い水の塊に代わってくる。
攻撃の強さに応じた防御が出来ないと余計な魔力消費をしたり、弱ければ防御を越えて攻撃がその身に届いてしまう。
今日も死に物狂いでエンヤの水攻撃に耐え、うまく防御できるようになった。鬼軍曹となったエンヤは褒めるのもそこそこに、水魔法から火の魔法へと攻撃を変えてきた。
そしてカティは水の時のようにうまく火を防御できなかった。間に合わなかったり、防御が弱かったりしたせいで火が髪や服を焦がす。焦げた髪は自分の治癒魔法で直せと鬼軍曹・・・いや、もはや鬼畜をも上回る鬼畜2が言う。
「嬢ちゃん、お主は感情と魔法が直結しすぎじゃ。炎が怖いじゃろ?だから上手く魔法があやつれないのじゃ。可哀そうじゃが、怖さになれて魔法を使えるようにせんと、自分の身を守れん。」
「・・・恐ろしくて・・・真っ白になっちゃうの。」
「自分を信用しなさい。嬢ちゃんはすごい力を持っておる。そうじゃなあ、今日は恐怖に慣れることにしようかの。」
そういうと、エンヤは杖を大きく回すと炎の輪を描き、それが生き物のように動いたかと思えば、炎の竜の姿をとりカティに向かって飛んできた。
「ええ?!お師匠様?!」
「うまくかわせよ。成功したら幻のお菓子獲得じゃ!」
炎の竜は口からも炎を吐き、カティを攻撃してくる。
カティは何とか防御壁をはるが、弱くてすぐ壊されてしまう。それがまた怖さと自信喪失の悪循環となり、防御が張れなくなってくる。
しかし容赦なく、炎が飛んでくる。
「ちょっと・・・やり過ぎじゃない。そりゃ、命狙われてますけども。必要性は感じておりますけれど!」
そう叫んで逃げ出した。
実際はエンヤがコントロールをしてカティの身体に炎が届かないぎりぎりの攻撃にとどめてはいたが、カティにとって恐ろしさは変わらない。
持ち前の身体能力と小さな体を駆使して、ちょこまかと炎を躱しながら逃げ、目の前の魚が優雅に泳ぐ噴水に飛び込んだ。
「ふい~。たすかっ・・・てない!!」
ずぶぬれで顔を上げると、炎の竜がこちらを向いて特大の炎を噴き出すところだった。
噴水も熱くなりお魚さんが死んでしまうかもと頭の隅っこに浮かんだ瞬間、カティの目に完璧な防御壁が出現した。
のみならずその防御壁が竜の方に押し出され、それが布のように柔らかく揺らぐと炎の竜を包み込み消滅させてしまった。
カティは噴水の中でハアハアと全身で息をつき、ふらっと倒れそうになった。
見守っていたエドヴァルドが噴水に飛び込んで抱き上げた。
「嬢ちゃん、よくやった。わしよりも優秀じゃ!・・・けど、可哀そうにのう。」
小さい体でこのような過酷な特訓をせざるを得ないことを、哀れに思った。
それを聞いていたレオとミルカは、「あんたの匙加減だろうが」と内心毒づいた。
「老師、やりすぎだ。」
「うむ、ちと力が入ってしもうたわい。じゃが、ちゃんと加減はしておったぞ。嬢ちゃんは感情のコントロールができんといかん。」
「それは難しいだろうな。」
「じゃが、今のままでは襲撃された時にうまく反撃できん。防御力は相当高いんじゃが。」
「杖も持たずに防御が出来ていたな。いや、しかし老師のおかげでだいぶん進歩したがあまり・・・いや、引き続きお願いする。」
幼子にやるような訓練ではない。エドヴァルドでさえやりすぎだと思うが、カティが冷たくなり横たわっていた姿を思いだすと心が軋む。エンヤの特訓を止めることは出来なかった。
=================================
しばらくシリアス続きます・・・
色々な展開になりますが、「ハッピーエンドしか書けない病」です。
処方箋は、「ご都合主義」です。( ̄ー ̄)ニヤリ
長い目で楽しんでいただけると嬉しいです。(*´▽`*)
エンヤの指導・・お遊びは終わった。エンヤは手加減なしで魔法の特訓を進めることにした。
あれだけおちゃらけた楽しい好々爺のお師匠様が別人になった!
カティがそう嘆くほど、遊びながら魔法をうまく引き出し、身につけさせようとしてくれていたエンヤが、鬼軍曹となった。
まずは防御魔法を徹底して教え込まれた。
攻撃を察知した瞬間に防御できるよう何度も攻撃された。最初は水鉄砲くらいの水量、それがだんだん強い水の塊に代わってくる。
攻撃の強さに応じた防御が出来ないと余計な魔力消費をしたり、弱ければ防御を越えて攻撃がその身に届いてしまう。
今日も死に物狂いでエンヤの水攻撃に耐え、うまく防御できるようになった。鬼軍曹となったエンヤは褒めるのもそこそこに、水魔法から火の魔法へと攻撃を変えてきた。
そしてカティは水の時のようにうまく火を防御できなかった。間に合わなかったり、防御が弱かったりしたせいで火が髪や服を焦がす。焦げた髪は自分の治癒魔法で直せと鬼軍曹・・・いや、もはや鬼畜をも上回る鬼畜2が言う。
「嬢ちゃん、お主は感情と魔法が直結しすぎじゃ。炎が怖いじゃろ?だから上手く魔法があやつれないのじゃ。可哀そうじゃが、怖さになれて魔法を使えるようにせんと、自分の身を守れん。」
「・・・恐ろしくて・・・真っ白になっちゃうの。」
「自分を信用しなさい。嬢ちゃんはすごい力を持っておる。そうじゃなあ、今日は恐怖に慣れることにしようかの。」
そういうと、エンヤは杖を大きく回すと炎の輪を描き、それが生き物のように動いたかと思えば、炎の竜の姿をとりカティに向かって飛んできた。
「ええ?!お師匠様?!」
「うまくかわせよ。成功したら幻のお菓子獲得じゃ!」
炎の竜は口からも炎を吐き、カティを攻撃してくる。
カティは何とか防御壁をはるが、弱くてすぐ壊されてしまう。それがまた怖さと自信喪失の悪循環となり、防御が張れなくなってくる。
しかし容赦なく、炎が飛んでくる。
「ちょっと・・・やり過ぎじゃない。そりゃ、命狙われてますけども。必要性は感じておりますけれど!」
そう叫んで逃げ出した。
実際はエンヤがコントロールをしてカティの身体に炎が届かないぎりぎりの攻撃にとどめてはいたが、カティにとって恐ろしさは変わらない。
持ち前の身体能力と小さな体を駆使して、ちょこまかと炎を躱しながら逃げ、目の前の魚が優雅に泳ぐ噴水に飛び込んだ。
「ふい~。たすかっ・・・てない!!」
ずぶぬれで顔を上げると、炎の竜がこちらを向いて特大の炎を噴き出すところだった。
噴水も熱くなりお魚さんが死んでしまうかもと頭の隅っこに浮かんだ瞬間、カティの目に完璧な防御壁が出現した。
のみならずその防御壁が竜の方に押し出され、それが布のように柔らかく揺らぐと炎の竜を包み込み消滅させてしまった。
カティは噴水の中でハアハアと全身で息をつき、ふらっと倒れそうになった。
見守っていたエドヴァルドが噴水に飛び込んで抱き上げた。
「嬢ちゃん、よくやった。わしよりも優秀じゃ!・・・けど、可哀そうにのう。」
小さい体でこのような過酷な特訓をせざるを得ないことを、哀れに思った。
それを聞いていたレオとミルカは、「あんたの匙加減だろうが」と内心毒づいた。
「老師、やりすぎだ。」
「うむ、ちと力が入ってしもうたわい。じゃが、ちゃんと加減はしておったぞ。嬢ちゃんは感情のコントロールができんといかん。」
「それは難しいだろうな。」
「じゃが、今のままでは襲撃された時にうまく反撃できん。防御力は相当高いんじゃが。」
「杖も持たずに防御が出来ていたな。いや、しかし老師のおかげでだいぶん進歩したがあまり・・・いや、引き続きお願いする。」
幼子にやるような訓練ではない。エドヴァルドでさえやりすぎだと思うが、カティが冷たくなり横たわっていた姿を思いだすと心が軋む。エンヤの特訓を止めることは出来なかった。
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しばらくシリアス続きます・・・
色々な展開になりますが、「ハッピーエンドしか書けない病」です。
処方箋は、「ご都合主義」です。( ̄ー ̄)ニヤリ
長い目で楽しんでいただけると嬉しいです。(*´▽`*)
応援ありがとうございます!
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