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連載
カティ 修行にて
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魔獣の森の中にある聖なるスポット。
そこは大地から魔力が湧き上がってくるようで、魔力を持つ者は感覚が研ぎ澄まされ、力が漲る場所だった。。
そのスポットには魔獣は入り込めないが、その周りには凶暴な魔獣が闊歩している環境。
エンヤの修業とは、聖なるスポットで魔力と魔法を引き出す練習をしては、そのスポットの外ですぐ実践。
その特別な場所でカティが思いついた魔法を、とにかくイメージさせる。聖なる力の後押しのおかげで、そのイメージが形になる。
一度それを体験すると、自信が付きその魔法が身についていく。カティは楽しくなり、エンヤでさえ不可能なこの世界にない魔法をどんどん生み出した。
後はそれを安定させ、威力を増していく必要がある。それには修行と称して、即魔獣と戦う討伐そのものがあてられた。
魔獣にエンヤがわざとらしく襲われかけては、「嬢ちゃん助けてくれい。」と助けを求めてくる。時には手におえない大きな魔獣や凶暴な魔獣でさえ容赦なく退治させられる。カティはおかげでぐんぐん力は強くなっていった。
あとはカティ自身が人からの攻撃に対して力を発揮できるのか。ここが一番カティにとって難しい問題だった。
聖地での特訓の後、エンヤは野盗が出るという山にわざわざ行った。
案の定、野盗に襲われて固まってしまい相手を攻撃できなかったカティをかばうようにエンヤはわざと切られた。
その後、怒りを爆破させたカティは野盗を再起不能になるまで叩きのめした。重傷を負ったエンヤに大泣きをしながら治癒魔法をかけたカティにエンヤは諭した。
「嬢ちゃん、魔法がどれだけ使えるようになっても、実際に使わねば意味はない。お主が怪我をすると宰相も陛下も屋敷のみんなも悲しむぞ。」
「でも・・・動けないの。怖いの。」
「嬢ちゃんの力があれば負けることはない。」
「・・・でも相手が・・・死んじゃう・・・私もう・・・」
公爵邸襲撃の時に無意識に相手を殲滅し、今回も師匠を傷つけた相手に重傷を負わしている。相手を簡単に殺してしまう力が怖かった。
「嬢ちゃんを襲う奴に遠慮はいらん。反撃しないと自分が死んでしまうんじゃぞ。」
「・・・もし・・・死んでも・・・いなくなったほうがとう様に迷惑掛かけなくて済むかもしれない・・・とう様は大事にしてくれるけど私が赤ちゃんだから見捨てられないだけで・・・誰からも望まれたことないの。」
泣きながらカティは前世の話、実母から殺されかけたことや命を何度も狙われたことを話した。
カティはひどく傷つき、消えてしまった方が皆のためだと無意識下に刷り込まれている。
エドヴァルドがどれだけ愛情を示してくれても、公爵邸で毎日楽しく暮らしていても魂の根っこのところが怯えと不安で固められている。
「嬢ちゃん・・・」
幼いカティがこれほど辛い思いを抱えているとしり、エンヤは哀れになった。その心の奥深くに暗く漂う想いが魔法の発現を押さえ込んでしまっている。
「じゃがな・・・嬢ちゃんが自分の身を大事に思わなかったら、嬢ちゃんの事を大事にしているわしや宰相や周りの皆が嬢ちゃんを守るために身を挺することになるんじゃ。嬢ちゃんは皆から愛されておるんじゃ、それをようようわかって欲しい。わしでさえこうなんじゃ、宰相はお主を守るためには自分が死ぬことを厭わないじゃろ。わしらを守るためにも嬢ちゃんは自分を大事にせねばならん。」
カティはウグウグ泣きながら、
「・・・大事?仕方なくじゃない?迷惑じゃない?私本当にいてもいい?」
「そうじゃ。命を懸けて守ってやりたいほど大事じゃ。」
実際に命を懸けてカティをかばってくれたエンヤの言葉には重みも真実味もある。
カティはエンヤにぎゅっとしがみついた。
「お師匠様・・・痛かった?切られたところ痛かった?」
「大丈夫じゃ。お主がようよう治してくれた。」
「ごめん・・・ごめんなさい。」
エンヤはカティの背中をポンポンと叩いてやった。
「うん・・・強くなる。・・・お師匠様、ご指導お願いします。」
最強赤ちゃん誕生の瞬間だった。
そうして、どんどん国内の野盗を退治して瞬発力と精神力を鍛えた。
するといつの間にかローベンス国の治安が良くなり、旅の往来が安全に行えるようになったおかげで交易が発展するというおまけまでついてきた。
裏の世界では、「闇に舞う蝶カティヨン」の名が広まり恐れられたとかいないとか。
そこは大地から魔力が湧き上がってくるようで、魔力を持つ者は感覚が研ぎ澄まされ、力が漲る場所だった。。
そのスポットには魔獣は入り込めないが、その周りには凶暴な魔獣が闊歩している環境。
エンヤの修業とは、聖なるスポットで魔力と魔法を引き出す練習をしては、そのスポットの外ですぐ実践。
その特別な場所でカティが思いついた魔法を、とにかくイメージさせる。聖なる力の後押しのおかげで、そのイメージが形になる。
一度それを体験すると、自信が付きその魔法が身についていく。カティは楽しくなり、エンヤでさえ不可能なこの世界にない魔法をどんどん生み出した。
後はそれを安定させ、威力を増していく必要がある。それには修行と称して、即魔獣と戦う討伐そのものがあてられた。
魔獣にエンヤがわざとらしく襲われかけては、「嬢ちゃん助けてくれい。」と助けを求めてくる。時には手におえない大きな魔獣や凶暴な魔獣でさえ容赦なく退治させられる。カティはおかげでぐんぐん力は強くなっていった。
あとはカティ自身が人からの攻撃に対して力を発揮できるのか。ここが一番カティにとって難しい問題だった。
聖地での特訓の後、エンヤは野盗が出るという山にわざわざ行った。
案の定、野盗に襲われて固まってしまい相手を攻撃できなかったカティをかばうようにエンヤはわざと切られた。
その後、怒りを爆破させたカティは野盗を再起不能になるまで叩きのめした。重傷を負ったエンヤに大泣きをしながら治癒魔法をかけたカティにエンヤは諭した。
「嬢ちゃん、魔法がどれだけ使えるようになっても、実際に使わねば意味はない。お主が怪我をすると宰相も陛下も屋敷のみんなも悲しむぞ。」
「でも・・・動けないの。怖いの。」
「嬢ちゃんの力があれば負けることはない。」
「・・・でも相手が・・・死んじゃう・・・私もう・・・」
公爵邸襲撃の時に無意識に相手を殲滅し、今回も師匠を傷つけた相手に重傷を負わしている。相手を簡単に殺してしまう力が怖かった。
「嬢ちゃんを襲う奴に遠慮はいらん。反撃しないと自分が死んでしまうんじゃぞ。」
「・・・もし・・・死んでも・・・いなくなったほうがとう様に迷惑掛かけなくて済むかもしれない・・・とう様は大事にしてくれるけど私が赤ちゃんだから見捨てられないだけで・・・誰からも望まれたことないの。」
泣きながらカティは前世の話、実母から殺されかけたことや命を何度も狙われたことを話した。
カティはひどく傷つき、消えてしまった方が皆のためだと無意識下に刷り込まれている。
エドヴァルドがどれだけ愛情を示してくれても、公爵邸で毎日楽しく暮らしていても魂の根っこのところが怯えと不安で固められている。
「嬢ちゃん・・・」
幼いカティがこれほど辛い思いを抱えているとしり、エンヤは哀れになった。その心の奥深くに暗く漂う想いが魔法の発現を押さえ込んでしまっている。
「じゃがな・・・嬢ちゃんが自分の身を大事に思わなかったら、嬢ちゃんの事を大事にしているわしや宰相や周りの皆が嬢ちゃんを守るために身を挺することになるんじゃ。嬢ちゃんは皆から愛されておるんじゃ、それをようようわかって欲しい。わしでさえこうなんじゃ、宰相はお主を守るためには自分が死ぬことを厭わないじゃろ。わしらを守るためにも嬢ちゃんは自分を大事にせねばならん。」
カティはウグウグ泣きながら、
「・・・大事?仕方なくじゃない?迷惑じゃない?私本当にいてもいい?」
「そうじゃ。命を懸けて守ってやりたいほど大事じゃ。」
実際に命を懸けてカティをかばってくれたエンヤの言葉には重みも真実味もある。
カティはエンヤにぎゅっとしがみついた。
「お師匠様・・・痛かった?切られたところ痛かった?」
「大丈夫じゃ。お主がようよう治してくれた。」
「ごめん・・・ごめんなさい。」
エンヤはカティの背中をポンポンと叩いてやった。
「うん・・・強くなる。・・・お師匠様、ご指導お願いします。」
最強赤ちゃん誕生の瞬間だった。
そうして、どんどん国内の野盗を退治して瞬発力と精神力を鍛えた。
するといつの間にかローベンス国の治安が良くなり、旅の往来が安全に行えるようになったおかげで交易が発展するというおまけまでついてきた。
裏の世界では、「闇に舞う蝶カティヨン」の名が広まり恐れられたとかいないとか。
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