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第一章 竹林の家
二 夜
しおりを挟む日が暮れてしまえば、世界は暗闇に閉ざされる。家の外に出れば竹林の合間に月光も差すが、家の中ではその仄かな光さえも届かない。吐息が微かに聞こえる寝間には、行灯に火がいれられている。揺れる仄かな光が、障子に二人の重なる影を落とす。
藤は、壁に凭れかかって座る浄の股に顔を埋めていた。器用に動く舌が閃くたび、ぴちゃぴちゃと淫靡な水音が漏れる。人並み外れて大きな浄の昂りは、口に全て収めてしまうには大きい。藤は幹の根元から丹念に、その血管の隆起した、熱い表皮を舐めしゃぶっていく。
浄は心地よさそうに、時折甘い吐息を漏らしていた。献身的に口淫を続ける藤の髪を撫で梳いている手付きは、ひどく優しい。
藤の尖らせた舌先が、裏筋から鈴口の合わせ目までを辿ると、浄の腹筋が引き締まる。
「藤、もう良い」
先端から溢れ出した透明な先走りの雫を唇で受け止め吸い上げた時。浄は、色っぽい吐息が混ざる静止の声を上げた。
「ずっと、して欲しかったのだろう? もっと愉しまなくて良いのか」
伸ばした舌先でちろちろと悪戯するように鈴口を舐めながら、藤は浄の顔を見上げる。行灯の光に照らされた藤の顔は、息を呑む程に艶めかしい。
浄は片手を自分の額にあてると呻いた。初めてのはずなのに藤の口淫は巧みで、器用な熱い舌に舐められているのは気持ちが良い。その淫靡な姿もずっと見ていたい。同時に、今すぐその後孔に自身の怒張を押し込んで、思う様揺さぶりたい衝動にも駆られる。
葛藤する浄の様子を見て、藤は楽しげに喉の奥で笑う。そして返答を待たずに、薄い唇で浄の張り出した昂りを先の方から口の中へと含んでいく。
「ん……っ」
飴玉を舐めしゃぶるように、口いっぱいに頬張った昂りに舌を絡ませる。快感に耐え、浄の腹筋が引き締まって凹んでいる。
歯を立てないように、いっぱいに開いている顎のだるさを感じながら、藤が口内に溢れる浄の先走りを啜り上げた時だった。
縁側に面した障子の向こう側、庭にあたる竹林の方から、ガサガサッと大きな物音が響いた。瞬間的に、浄の体に緊張が漲る。
浄がそちらへと視線を向け、立ち上がろうとする気配を感じて。
藤は咄嗟に昂りから口を離すと、動きを制すように浄の上に跨った。自ら浄の怒張を窄まりへと引き寄せ、そのまま腰を下ろして、未だきつい中へと招き入れる。
「っくぅ、あ、ああっ」
準備が整っていない内壁を自ら無理やり割り開いたため、走った痛みに声が上がる。
「藤、今外に……」
問いかけを漏らしかけた浄の口を唇で塞いで、藤はそのまま腰を揺らす。
「昼間、罠を……っかけたから……猪かなにかが、かかった、のだろう。浄……もっと、奥突いて?」
甘い声で誘惑し、藤は胸元に浄の頭を引き寄せて、腕で包むように抱く。逞しく引き締まった藤の胸には、豊満な膨らみなどはない。だがその平らな胸板に興奮するのが浄という男だ。説明に納得し、浄は快感に身を委ねることにした。
目の前に寄せられた、控えめな乳首の尖りに吸い付く。そして、両腕で藤の細い腰を掴み、荒々しく上下に揺さぶり始めた。
「あ、あぅっ……ああ、浄っ……じょう……」
ひきつれるような痛みを覚えながら中を擦り上げられ、藤は時折息を詰める。だが、そうして揺さぶられ続けていると、次第に声の甘さが増していく。一度は萎えかけた藤自身の昂りも、再び頭を擡げだしていた。
「妙に積極的だが、どうした」
筋肉が引き締まっているおかげで人並み以上に重い藤の体を、幾度も軽々と持ち上げながら、浄の息は乱れない。快感に揺らいでいるだけの声で問いかけられ、藤は目を細める。
「あぁっ、う……ん、わたしがしたがったら、いけないか?」
「いいや。大歓迎だ」
答えになっていない返答に、浄は楽しげに笑う。そして繋がったまま、藤の体をかたわらに敷いた布団の上へと押し倒した。体勢を変えたせいで内壁の思わぬところを抉られ、藤の一段高い嬌声が上がる。
障子の外では、まだ何かがもがいているような物音が聞こえている。だが二人は、その物音を意識の外へと追いやった。寝室に、腰を打ちつける交接音が響く。藤の甘い声は、行灯の火が自然と消えるまで続いていた。
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