公爵令嬢の男子校生活

白雪の雫

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②ルームメイト(前編)-2-

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 クレッセント学園の剣術は、刃先の丸い練習用の剣と盾を使って授業を行う。

 相手が手にしている剣で叩いてくるのを防御して攻撃、そして防御、それの繰り返しである。

 「い、痛~い!」

 ルームメイトであるシオンと手合わせをしていたのだが、彼の太刀筋が読めなかったのか、まともに食らってしまったクリスは思わず声を上げてしまう。

 「あれくらい簡単に避けられないなんて・・・。子爵はクリスに剣術の基本と応用を教えなかったのか?」

 「多分、そうなのだろうな」

 隙あり!

 ミスリルと対戦していた男子生徒が剣で叩こうとするのだが、よそ見していながらも自分に向けられる気配を感じ取ったのか、彼女はそれを盾で防ぐ。

 「ワンパターン」

 くっ!

 「ミスリル!次こそ絶対にお前から一本取ってやるからな!」

 「それって、くっころな顔をしてまで断言する事なのか?」

 男子生徒の言葉にミスリルは笑う。





 その頃

 (あいつが他の男と一緒に居るというだけで、こんなにもイライラしてしまうんだ?)

 自分とミスリルは単なるルームメイトという関係でしかないはずなのに、理由が分からないヴィクトワールは自覚しないままその苛立ちを相手にぶつける。

 「ヴィ、ヴィクトワール・・・?何時になく今日は気合が入っているな~」

 「そ、そうか?それは済まなかった・・・」

 相手の言葉でそれに気が付いたヴィクトワールは謝罪を入れた。

 授業終了を告げる鐘が鳴る。

 「ヴィクトワール、寮に戻る前に市場に行ってクレープでも食べないか?」

 「いや、そんな気分にならないんだ」

 悪いな

 育ち盛りである男子生徒の一人が買い食いに誘うのだが、ヴィクトワールは断りを入れると寮へと戻るのだった。





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