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④男子校の放課後-2-
しおりを挟む昼休みの食堂では、ちょっとした事が起こっていた。
「・・・ねぇ、今日の食堂が【恋人の日】のように、ハートが飛び交っていたり、失恋したように感じるのは私の気のせいかしら?」
「ミスリル、お前も感じていたか」
こそっと耳打ちして聞いてくるミスリルにヴィクトワールが、実はCクラスが今日の調理実習でクッキーを作ったらしく、彼等は自分の本命にそれをプレゼントしているのだと教える。
「ここって男子校よね?本命って・・・そういう意味じゃないわよね?」
「残念な事に、ミスリルが考えている通りの意味だ」
その証拠にほら
ヴィクトワールが指差す方に目を向けると──・・・。
「ラルフ君、実は前から君の事が気になっていました。どうか・・・僕と付き合って下さい!」
「ご免なさい!俺にはBクラスのジョナサン君がいるんです!」
「クッキーって甘いはずなのに、涙の味がする・・・」
「アーロン君、僕は君に憧れています。付き合って欲しいとは言いません。ですが・・・これを受け取って下さい!」
「ありがとう。君の好意は素直に嬉しいよ」
うん、美味しい
失恋のショックを嚙み締めつつ、調理実習で作ったクッキーを涙ながらに口にする男子生徒もいれば、告白してくれた相手が作ってくれたクッキーを笑顔で口にする生徒もいる。
人生の一場面を思わせるかのような、悲喜こもごもの恋愛劇が繰り広げられていた。
「クレッセント学園の伝統とでも言えばいいのか、調理実習でスイーツを作る時は【恋人の日】のように、告白する生徒が出てくると兄上から聞いていたけど・・・本当だったのだな」
うんうんと、腕を組みながらヴィクトワールが頷く。
「クリスのように男の娘同士だと、どっちが攻めなのか悩んでしまうけど、角刈りの毛むくじゃらゴリマッチョ兄貴同士だと、どっちが女役をするのか悩んでしまうわね」
「そこは他人事だから深く考えない方がいいんじゃないのか?」
「そ、そうね・・・」
気を取り直す意味でグラタンを口に運ぼうとしたのだが、角刈りの兄貴の告白が成就してしまったところを目にしてしまったせいで、彼等がおせっせしているところをつい思い描いてしまったミスリルの食欲はすっかり失せてしまっていた。
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