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⑤恋人の日-1-
しおりを挟む恋人の日
それは男性が女性───本命である恋人や伴侶にチョコレートや花束を贈る事で、相手に対する愛を確認する日である。
故に、市場では恋人の日に向けてチョコレートを中心にしたスイーツや花束を中心にした商戦が繰り広げられている事で賑わっているだけではなく、レストランは予約が集中していた。
(恋人の日か・・・)
今までの自分は【恋人の日】を深く意識した事がなかったと、恋人の日に婚約したらカップルは幸せになれるというジンクスがあったと、ヴィクトワールは思い出す。
(ミスリルは俺の事をどう思っているのだろうか?)
信頼はされていると思う。よく考えてみたら、自分はミスリルと最後まで致していないが肌を重ねている関係だ。
しかし、彼女の口から『好き』や『愛している』という類の言葉を聞いた事がなかった。
言葉が欲しいと思うなど女々しいし、実家にいた頃と比べたら随分と臆病になったと思う。
何よりミスリルからの拒絶が怖い。
(・・・・・・・・・・・・)
両親と兄姉が今の自分を見たら、どう思うだろうか?
(こういう場合、やっぱり男の方から告白しないと駄目なんだろうな~。・・・よしっ!)
今の自分は次期公爵たるミスリルを支える程の器を持った男ではない。
だが、想いだけは伝えたいヴィクトワールは、ある店へと向かう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「え~っと・・・まずはチョコレートを細かく刻んでボウルに入れて、それを湯煎で溶かす」
湯煎って何だ?
痛っ!
翌日の放課後
フェロモンという名の、自分の汗が入っているチョコレートを作っている男子生徒達にドン引きしながらも、教師の許可を得て調理室を使用しているヴィクトワールは本を見ながらチョコレートを作ろうとしていたのだが、湯煎とチョコレートを刻むところで躓いていた。
ミスリルに聞けば教えてくれるだろうが、それは何かが違うとヴィクトワールの本能が訴えている。
「ヴィクトワール君、何をしているの?」
そんな彼に声を掛けてきたのは、単に忘れ物を取りに調理室へとやって来た男の娘なクリス。
見た目はゆるふわで運動音痴だが、彼の女子力は高く【お母さん】とお呼びしたいレベルなのだ。
「クリス!お前の腕を見込んで頼みがある!!」
「はい?」
「俺に・・・料理を教えてくれ!」
ヴィクトワールはクリスに頭を下げて教えを請う事にした。
※恋人の日は、バレンタインに当たる行事です。
この話では、日本のように女性が男性にチョコを渡すのではなく、欧米のように男性が女性に渡します。
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