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⑤恋人の日-3-
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ひぃぃぃぃぃ!!!
そのまま部屋を出て行ったヴィクトワールはというとミスリルに対する苛立ちを隠せないのか、ちょい悪系のイケメンが凶暴な目つきをしているイケメンになっていたものだから、たまたま彼を見かけてしまった寮生達は〇ンクの叫び状態と化してしまっていた。
談話室のソファーに腰を下ろすなり、ヴィクトワールは大きな溜め息を漏らす。
(ミスリル・・・)
瞳を閉じれば思い浮かぶのは、優しい笑みを浮かべているミスリルの顔──・・・。
最初は彼女に対して何か仕出かしてしまったのだろうと思っていたが、幾ら考えても心当たりがないのだ。
もしかしたら、自分でも気付かぬうちにミスリルが嫌がる事をしたのかも知れない。
「ヴィクトワール君・・・隣、いいかな?」
思い悩むヴィクトールに話しかけたのは、王太子であるシュトロームだった。ちなみに彼が談話室に来た理由だが、すっかりgkbr状態になってしまっている他の寮生達からヴィクトワールを何とかして欲しいと頼まれたからである。
「シュトローム殿下・・・」
ヴィクトワールの返事も聞かず、シュトロームは隣に腰を下ろす。
「ミスリル君と喧嘩でもしたのかい?」
「いえ、そういう訳では・・・」
今日もいつも通りに過ごしていたのだ。
それが、どこをどうすればミスリルの機嫌を損ねたのかが全くと言っていいほど分からないヴィクトワールは再び大きな溜め息を漏らす。
「何が、誰が原因でこうなったのかは知らないけど、互いに話し合って問題を見つける事が大事なんだよ」
そうしないと、余計に拗れて仲直りが出来なくなるからね
「それは、分かっているのですが・・・」
「ならば早く仲直りをしないと」
「シュ、シュトローム殿下?!」
シュトロームに背中を押されながら談話室を追い出されてしまったヴィクトワールは、部屋へと戻るしかないのだった。
「・・・・・・ただですらホモが多い学園なのに、結果として私は新たなホモを増やしちゃったのかな~?」
いや、ヴィクトワール君・・・君は私達と同じ、数少ないノン気仲間だよね?
ミスリル君とは既に『アッー!』・・・ではなく、抜き差ししちゃっている関係じゃないよね?!
一人になってしまった談話室では、死んだような目つきになっているシュトロームの乾いた声が響き渡る──・・・。
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