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27話
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ポロポロと零れる花を見つからないように包む。
戦場に花など不釣り合いなのだから。
「参った……この症状が出るなら、ラーサティアを連れてくるべきだったか?」
そう呟くも、遊びではなく戦場は危険なのだと思い直す。
だから連れて来なかったのだから。
我慢するしかない。
「はー……」
何も考えずに魔獣の討伐をしなければならないと、つい盛大な溜め息を吐く。
「さっさと討伐して、帰還するしかないな」
やるしかないと気合いを入れ直して、花を包みごと捨てると武器の手入れをしようと剣の一式とと道具を取り出した。
剣は三振り持ってきている。
魔獣の種類や切れ味が悪くなった時の替えだ。
他人の剣は使えなくないが軽すぎるため、加減がわからないのだ。
手にしっくりくる重さなのを確認しながら、刃こぼれや曇りがないのを確認して鞘に戻す。
それ以外にも、小刀なども備えている。
天幕の中で胡座をかいて作業をしていると、緊迫した声が掛かる。
「団長、ミッドガルドです!」
その声に立ち上がる。
「出る!」
ミッドガルド、水属性の大蛇だ。
ものによっては氷属性を持っているものもいる。
氷属性を持っているものはたちが悪い。
氷の礫を撒き散らすだけでなく、こちらを凍らせようとしてくるのだ。
「何頭だ?」
「今は一頭ですが……」
「今のうちに叩く。弓隊を配置して距離を取れ」
「済んでいます」
「よし、まずは弓の上手い奴が目を狙え、顎が上がった瞬間喉の下を狙う」
天幕を出ると、遠くに大蛇がのたうつのが見えた。
ピイッ。
指笛を鳴らすと、愛馬が飛ぶような足取りで近付いてくる。
「行ける場所までな?」
鞍も何もない愛馬に跨がると、指示もそれほど無いのに愛馬は風のように駆け出していく。
以心伝心だ。
それに気付いた騎士達が道を開けろと騒ぎだし、其処は波が割れるように道ができた。
「皆、堪えろ!」
弓や剣を構える騎士の一部がミッドガルドを包囲しているが、魔獣はそれだけではないのだ。
小さな魔獣も現れる。
全員が戦場にいたら消耗が激しく、いざというときに戦力が足りなくなるため、後攻は離れさせている。
「一番隊、一射だ」
右手を上げてやれと促す、その指示に騎士たちは従う。
「次、二番隊!」
馬の足を最前で止めて俺が降りると、愛馬は心得たように数歩下がる。
蛇だからか、びっしりと埋められた鱗に矢が跳ね返される。
早く顔を上げるか口を開け。
そう相手を睨み付ける。
片方の目は既に矢が刺さっている。
痛みを堪えているのだろうか喉からは唸るような声が漏れていた。
戦場に花など不釣り合いなのだから。
「参った……この症状が出るなら、ラーサティアを連れてくるべきだったか?」
そう呟くも、遊びではなく戦場は危険なのだと思い直す。
だから連れて来なかったのだから。
我慢するしかない。
「はー……」
何も考えずに魔獣の討伐をしなければならないと、つい盛大な溜め息を吐く。
「さっさと討伐して、帰還するしかないな」
やるしかないと気合いを入れ直して、花を包みごと捨てると武器の手入れをしようと剣の一式とと道具を取り出した。
剣は三振り持ってきている。
魔獣の種類や切れ味が悪くなった時の替えだ。
他人の剣は使えなくないが軽すぎるため、加減がわからないのだ。
手にしっくりくる重さなのを確認しながら、刃こぼれや曇りがないのを確認して鞘に戻す。
それ以外にも、小刀なども備えている。
天幕の中で胡座をかいて作業をしていると、緊迫した声が掛かる。
「団長、ミッドガルドです!」
その声に立ち上がる。
「出る!」
ミッドガルド、水属性の大蛇だ。
ものによっては氷属性を持っているものもいる。
氷属性を持っているものはたちが悪い。
氷の礫を撒き散らすだけでなく、こちらを凍らせようとしてくるのだ。
「何頭だ?」
「今は一頭ですが……」
「今のうちに叩く。弓隊を配置して距離を取れ」
「済んでいます」
「よし、まずは弓の上手い奴が目を狙え、顎が上がった瞬間喉の下を狙う」
天幕を出ると、遠くに大蛇がのたうつのが見えた。
ピイッ。
指笛を鳴らすと、愛馬が飛ぶような足取りで近付いてくる。
「行ける場所までな?」
鞍も何もない愛馬に跨がると、指示もそれほど無いのに愛馬は風のように駆け出していく。
以心伝心だ。
それに気付いた騎士達が道を開けろと騒ぎだし、其処は波が割れるように道ができた。
「皆、堪えろ!」
弓や剣を構える騎士の一部がミッドガルドを包囲しているが、魔獣はそれだけではないのだ。
小さな魔獣も現れる。
全員が戦場にいたら消耗が激しく、いざというときに戦力が足りなくなるため、後攻は離れさせている。
「一番隊、一射だ」
右手を上げてやれと促す、その指示に騎士たちは従う。
「次、二番隊!」
馬の足を最前で止めて俺が降りると、愛馬は心得たように数歩下がる。
蛇だからか、びっしりと埋められた鱗に矢が跳ね返される。
早く顔を上げるか口を開け。
そう相手を睨み付ける。
片方の目は既に矢が刺さっている。
痛みを堪えているのだろうか喉からは唸るような声が漏れていた。
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