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28話

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俺は、たっぷりの鶏肉に酒と醤油をベースにニンニクもどきやら生姜もどきを入れてから漬け込んだ。
その重量は5キロ。
唐揚げ専門店がってくらいの量を1度に揚げる。
残ったら甘酢あんをかけて明日食べればいいか。

なんていう考えは甘かった。

半分ずつ小麦粉使った唐揚げと片栗粉を使った竜田揚げを作りながら、近付いてきたリルに味見する?と、揚げたてを渡したのが運のつき。

「うっま、レヴィ食ってみろよすげー美味い」

リルの声にのそっとやってきたレヴィにも差し出すと、熱々ッと言いながらふたりがはふはふしつつ唐揚げを食べる。
竜田揚げも。と食べさせると、こっちはまた違う食感が面白いらしく、それもぺろりと食べてしまいもっと食べたいふたりはキッチンの前をうろうろし始めた。

「もうちょっとで揚がるから、ご飯にしようか」

とりあえず半分くらい揚げておけばいいかなと、皿に山にしてからパンを切る。
スープも作ったし、伝家の宝刀タルタルソースまで手作りしちゃったからね!
マヨネーズの在庫は少なくなったけど、また作ればいいからね。

「ごめん、このお皿とか運ぶのお願い」

そう頼むと、ふたりがいそいそと運んでくれてテーブルに着く。

「じゃあ、食べようか」

いただきますというが早いかふたりが勢いよく唐揚げを口に運ぶ。
…足り…ない?
俺が作る唐揚げって、通常よりも大きめなんだけど…それがあっという間に口の中に消えていく。
まぁ、見ていて気持ちがいいんだけどさ。
それを横目に俺はタルタルソースを乗せて口に入れる。
うん。
美味い…って、何!?

「リクト、それなんだ?マヨネーズ…とは違うみたいだが?」
「あ、うん。タルタルソース。潰した玉子とか入れてあるんだけど試してみる?」

差し出すと、ふたりの目の色が変わり数少ない唐揚げを奪い合いタルタルソースを乗せて口にすると、ふたりの動きが止まった。
そうだろそうだろ。
美味しいよねぇ?
3個目を食べようとして皿の唐揚げがもう無くなっている。
あれ、俺まだ2個しか食べてない。

「「リクト、もう無いのか?」」

ふたりのハモりで俺は追加の唐揚げを揚げる羽目になる。
悔しいから少しだけ甘酢あんかけにしたら、それも食い尽くされた。
俺の唐揚げ…。
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