思い上がりの勇者パーティーに女神の裁きを

はなまる

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第1章 勇者を裁くだけの簡単なお仕事を始めました

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「・・・・・・ マチルダ、まだ続けるつもりなのか?」
「 人々を魔物から守るのが私の仕事だからね」

 ガルヴァスの 質問に、女勇者ーーマチルダが答えました。
 言っていることだけは立派に聞こえますね。

 勇者はこういうところが厄介なんですよ。 自分の正義のためなら、何をやっても許されると素敵な勘違いをしています。

 このパーティーの聖女は何をやっているんですか!
 どうやら不在のようですね。 なんとなく気配でわかります。
 聖女の中には旅に出るのが難しい人もいます。 そういう人は勇者を選定して 教育し、 勇者の旅に送り出すのです。
 神殿は世界中にあり、聖女も大きな街には必ずいますから、聖女が不在の勇者パーティーも許されるのですよ。

 そうでなければ、アシュトンが勇者を続けられませんからね。

 勇者は 性格は別にして、 ほとんどの者が 人々のために戦っています。
 だから、女神の裁きを与えるのは難しいところなんですよね。 厄介な仕事を押し付けられたものです。
 
 バシン!

 ?

 何の音でしょう。

「 ふざけるな!!」

 なんということでしょう。ガルヴァスの 右手がマチルダの 頬に当たっていました。

 あわわ。
 パーティを追放された腹いせですか!?
 それとも、ガルヴァスが悪い男だから 追放したということでしょうか!?
 ただの痴情のもつれという可能性もありますね。

 女神の裁きどころではありません。
 これはさすがに出て行けませんよね。

「 気が済んだ?」

 マチルダは余裕の表情です。ガルヴァスは 般若の形相をしていました。

「 もしもお前のやり方で、人が死んだらどうするつもりだ!!」
「 そんなヘマはしないわ」
「 いつまでもうまくいくわけがない!」
「 あなたに言われるまでもなくその辺のことは考えているわよ」
「 俺は今すぐやめろと言っているのだ!」
「 負け犬の遠吠えは見苦しいわよ?」

 マチルダは勇者よりも女王様の方がお似合いのような気がします。

 この二人はどういった関係なのでしょうか。
 とてもじゃないけど、私の手には負えませんよ!



 私が呆然としている間に、 マチルダパーティーはいなくなっていました。ガルヴァスだけが 途方に暮れたような表情で残っています。
 声をかけづらい雰囲気です。
 でもお互いの生存率を上げるためには、ガルヴァスと 一緒に行動して街を目指したいところなんですよね。
 
 ガルヴァスと 目が合いました。 彼はこちらの方を 睨んでいます。

「 偶然居合わせただけで覗くつもりはなかったんですよ。 本当ですよ?」

 私がそう言い訳すると、ガルヴァスは 許せないからかこちらに駆け出してきました。
 ものすごく怒っていらっしゃいますね!?
 謝るから許してください!
 なんで剣を抜いているんですか。聖女に 剣を向けるなんて罰が当たりますよ!

「ひえっ!?」

 ガルヴァスは 私の後ろに回り、 血まみれになりました。
 私はピンピンしていますよ。
 後ろを振り向くと、ガルヴァスは ガーゴイルの 爪に切り裂かれていました。

「 早く逃げろ!」

 ガルヴァスは、 魔物を倒せないのに私を助けようとしてくれています。彼は悪い人ではないのかもしれません。

「 私も戦いますよ」
「しかし・・・・・・!」
「 私がエンチャント魔法をかけるから、ガルヴァスさんは ガーゴイルを倒してください」

 私は後衛職です。 ここで逃げ出せても、他のモンスターに襲われたらひとたまりもありません。 だから壁役兼アタッカーが必要なのですよ。
 打算的な建前もありますけどね。 私はガルヴァスに死んでほしくないと思ったんですよ。

「・・・・・・ わかった。サポートを頼む」

 ガルヴァスは、 私と一緒に戦ってくれることを選んでくれました。 ならば、全力でサポートさせていただきます。

「【 パーフェクトプロテクション】【 リミットブレイク】【 セイントウェポン】!!!」

 私の呪文により、ガルヴァスは 聖なる力に包まれます。 その一撃をもって、 ガーゴイルが消滅しました。

「 何だこれは!? 君は一体・・・・・・」

 怪訝な顔をしているガルヴァスに、 私は笑顔で自己紹介することにしました。

「 初めまして。私はどこにでもいる、普通の聖女の ルナマリアと申します」




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