思い上がりの勇者パーティーに女神の裁きを

はなまる

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第1章 勇者を裁くだけの簡単なお仕事を始めました

閑話 アシュトンと愉快な仲間たち

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 皆様が納得のいく展開かどうかはわかりませんが、一応ざまぁ回です。


ーーーーーー


 ドーン! 

「・・・・・・?」

 アシュトンは激しい衝撃音で目を覚ました。エイミアは 青ざめた顔をしていて、 シルフィーユは呆然としている。

 エレファントデビルと言う、象に似た 魔物が突進してきた。 それだけなら、 すでに起きていた二人だけで対応できたことだろう。
 しかし、気がついた時にはすでにエレファントデビルの群れから囲まれていた。
 恐ろしい巨体が猛スピードで迫ってくる。

 ドーン!

 ある一定の距離で、 エレファントデビルの 攻撃は阻まれていた。
 うっすらと視認できるほどの空間の歪みが 浮かび上がる。

「 これは女神アレクシス様の加護による結界に違いない!」

 ルナマリアによる結界だから、アシュトンの 予想は当たっていた。

「 ルナマリアがいなくても、俺の【女神の加護】が あれば安泰だな!」

 いや、 やはり素敵な勘違いだったようである。

 エイミアは、 怪訝な顔で結界を指差した。

「ねえ、 これってルナマリアの仕返しじゃないの?」
「 どういうことだ?」
「 さっぱりわからんぞ」

 世間知らずのアシュトンとシルフィーユは、エイミアの 言わんとすることが 見当もつかなかった。

「ああ、もう! どうして分からないの。 この結界には魔物をおびき寄せる効果があるんじゃないかって言ってるのよ!」
「? モンスターが集まっているなら倒せばいいだけだろ」
「 そうだな。アシュトンの言うとおりだ」

 二人 仲良く同じ意見のようだ。エイミアは 頭が痛くなってくる。

( 相変わらず、お気楽脳筋コンビなんだから!)

 今までは二人の厄介な所を全てルナマリアに丸投げすることができたが、 これからはそういうわけにはいかない。
 エイミアは 深呼吸をして、 冷静に思考できるように心がける。

 結界はエレファントデビルの 攻撃にさらされてもビクともしない。 ここにいれば 安全でいられる。
 どうやらルナマリアは、 本気で助けるために結界を張ってくれたようである。
 破られることのない強力な結界。 おそらくエイミアの攻撃魔法でも、破壊するのは難しいことだろう。
 実力の差は否めない。エイミアは 本当は、 ルナマリアの実力を 分かっていた。エイミアは 悔しさのあまり、 表情を歪めて唇を噛む。

「 私たちは魔王を討伐する、 新進気鋭の勇者パーティーよ! 第4の国 周辺の雑魚モンスターの群れごとき、 さっさと蹴散らしてしまいましょう!」
「ああ、 俺はーー俺たちは、未来永劫語り継がれる伝説の勇者パーティーになるんだ!」
「 アシュトンの言うことに間違いはない」

 自棄になったエイミアが飛び出して、 自分に酔っているアシュトンが聖剣を閃かせた。 シルフィーユはアシュトンの取り巻きの如く後に続いていく。

 

 1時間後。
 アシュトンたち3人は 肩が 上下するように 息をしていて、武器を地面に向けて体を支えなければ、 今にも倒れそうな状態だった。

「はあはあっ・・・・・・ やったか?」

 エレファントデビルの最後の一頭の 体が崩れ落ちる。 動く様子は全く見られないし、 先ほどまでヒリヒリと肌に感じていた殺気も 今はすっかり消えていた。
 
「【 エリアヒール】!」

 3人ともに深刻なダメージを受けているから、 シルフィーユは 仲間全員を癒す回復魔法を発動させた。 傷がみるみるうちに塞がる。
 これでなんとか 、街まで 戻れることだろう。
 ところがアシュトンの体が傾き、 受け身を取る様子もなく地面に激突してしまった。

「 大変! アシュトンの意識がないわ」

 エイミアは この状況に危機感を覚えて、 打開策を必死になって考える。

 アシュトンの顔色が死人のように変わっていった。 回復魔法で怪我を癒しても、 失った血液までは戻らない。 彼が永遠に意識を手放すのは時間の問題だった。

「 こんなの嘘だ! アシュトンが死ぬはずがない・・・・・・」
「 残念だけど、彼はもう助からないわ。 私たちだけで街に戻りましょう」
「しかし・・・・・・」
「ああ、もう! 心中したいなら勝手にすれば?」
「 耳元で騒ぐなよ。うるさいな」

 エイミアと シルフィーユが言い争いをしていると、 瀕死の重体だったはずのアシュトンが平然と起き上がった。

「「ギャーッ!?」」

 エイミアと シルフィーユの二人は一目散に駆け出した。
 アシュトンはお化けになってしまったのだろうか。
 いや、 そうではない。

「 待ってくれよ二人とも。 俺はアレクシス様の奇跡で、 この世にとどまることができたんだぜ」

 アシュトンは素敵な勘違いをして、二人の後を追いかけて行った。

 真相は ルナマリアが、 無茶ばかりするアシュトンのために、 定期的に血液まで回復する【 ブラッドリフレッシュ】という 奇跡の神聖魔法をかけていたから、 彼は目覚めることができたのである。

 

 
 街に戻ったアシュトン一行は、早速冒険者ギルドの 受付嬢ーー オーラナに エレファントデビルのことを報告することにした。

「 ご報告ありがとうございます」

 オーラナは 営業スマイルで対応しつつも、 今回の騒動について思案する。

 エレファントデビルは群れで生活する魔物だけど、 普通は勇者を追い詰めるほどの脅威にはならない。 今回はありえないほど圧倒的に数が多すぎた。
 最近は魔物全体が活発化している。

( スタンピードの前触れでなければいいけど・・・・・・)

 オーラナは嫌な考えを振り払い、 受付嬢としての職務を全うすることにした。

「 皆さんは ギルドカードを更新することになりましたから、 カードを提出してください」
「そうか」

 アシュトン 達3人は平静を装いながら、ギルドカードを提出した。

( ついにここまで来たのか!)

 生命の危機に陥ってしまった甲斐があったというものだ。 エレファントデビルの大量襲撃を撃退したことにより評価され、 ついに念願の S ランクパーティーになれる。
 胸の高まりが抑えられない。 3人は表情が緩む話だった。

 まもなく絶望のどん底に叩き落とされるとも知らずにーー。






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