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第1章 勇者を裁くだけの簡単なお仕事を始めました
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「 ルナマリアよ、【魔香】 スキルを感知してみよ」
「はい」
「きっと、 スキル保持者はマチルダのはずじゃ」
私はリゼの指示に従って、【神の眼】で マチルダの様子を探ることにしました。
マチルダ のパーティーが護衛している馬車が、 魔物の集団に囲まれています。
おそらく貴族の楽しい旅行だったのでしょう。
マチルダパーティーの今までの実績から、 安全な旅路になるはずでした。
ところが、最悪な事態に陥っています。
12歳ほどの貴族令嬢は、 大声で泣き叫んでいました。
一面を覆う黒い影全てが、 自分たちを害そうとする魔物の集団なのです。 いくら勇者パーティーとはいっても、 太刀打ちできないかもしれません。
みんなの心に絶望感が生まれて行きます。
「 勇者様、助けてください!」
貴族令嬢は、マチルダに縋りつきました。 しかし、マチルダは驚いたように目を見開くばかりです。
「こんな・・・・・・!? 私は指示に従っただけ。 私は何も悪くないわ・・・・・・!」
「おい! それは一体どういうことだ!?」
仲間の神官戦士が怒鳴りつけました。 女魔法剣士と精霊使いも非難するような視線を向けています 。マチルダは観念したのか、 ぽつりぽつりと自分のしでかしたことを打ち明けることにしました。
「 実は・・・・・・」
マチルダにはフェロモンによる【魅了】のスキルがあります。 彼女はそのスキルを使って、 ギルティオード 公爵との繋がりを得ました。
ギルティオード 公爵はマチルダとやり取りをしているうちに、 彼女の 力の別の作用に気付きました。
魅了された人間は一種の興奮状態に陥ります。
もしも人間を惹きつける 【魅了】を、 魔物に 使ったらどうなるのでしょうか。 おそらく興奮状態になった魔物を 引きつけて、 群がってくることでしょう。
その事実を知った公爵は、 ある計画を立ててマチルダに実行させることにしました。
マチルダが 馬車の護衛の途中で 、【魅了】のスキルを使い、わざと魔物が襲ってくるように仕向けます。 そして、その魔物たちを撃退するというマッチポンプ行為です。
有名になったマチルダ パーティーが使用している装備品を扱った武器屋などを独占し、 利益を生み出すという算段のようでした。
でもそれならば、意図して スタンピードを引き起こした理由がわかりません。
マチルダのおろおろしている様子からも、想定外の 事態なのでしょう。
リゼは、 スタンピードが人為的に 起こされようとしていると断言していました。
今までのことを踏まえて推理すると・・・・・・ギルティオード 公爵が スタンピードを企てたのでしょう。
動機は何なのでしょうか。
マチルダが今現在護衛している貴族を亡きものにしたいということ かもしれませんね。
貴族の世界は恐ろしいものです。
リゼはよく、 海千山千の顔色を伺うような場所で平然としていられますね。 私だったら絶対に耐えられませんよ。
「リゼ・・・・・・という 事態になっているようです。ギルティオード 公爵の断罪はお願いしますね」
「 任されよ。 ルナマリアは、悪いがスタンピード対策に回ってくれるかの?」
「はい。ガルヴァスと 合流して、 すぐに向かいます」
私とリゼは、 お互いに確認しあって それぞれの 戦場へと向かいます。
その前に、優しい言葉をかけてくれました。
「 ルナマリアよ、あまり自分を責めるでないぞ。わしが お主に猶予を与えたのじゃからの」
「 わかってますよ」
私は精一杯の笑顔を浮かべました。
私がすぐにマチルダの事を調べていたら、こんなことにはならなかったかもしれません。
後悔先に立たずですね。
でもくよくよしていたからといって、 事態が収まるわけではありません。 私は私のできることをやるだけです。
「ガルヴァスさん、 どこにいますか? 早く合流しましょう」
私がギルドカードで呼びかけると、ガルヴァスは 声を必死に絞り出すように答えました。
「く、来る、な・・・・・・!」
もうすでに魔物が町まで入り込んでいて、ガルヴァスは 襲撃にあったということでしょうか。
なんにしても、ほっとけるわけがないですよ。
「いえ、 仲間として助けに行きます!」
「く、 薬を飲んでも・・・・・・自分を、抑え・・・・・・られな、いんだ・・・・・・」
えっ!?
まさか、 やばい薬とかやってないですよね!?
神聖 魔法の中に毒を消し去るものがあるから、 多分薬の作用も打ち消すことができるはずです。
「 苦しんでいるなら、 なおのこと助けに行きますよ」
「 どう、なっても・・・・・・知ら、ないぞ・・・・・・」
民衆に混乱しているような様子は見られません。 それどころか、お祭り騒ぎで盛り上がっています。
一応勇者パーティーが、二組も 滞在していますからね。
冒険者ギルドに所属している冒険者も、 中堅やベテランと言った 安定した実力を持っているものがほとんどです。
リゼが すぐに王国軍を動かしてくれることでしょう。
民衆がパニックになって慌てて 逃げ惑い、押し合いになって怪我人が続出するのが 一番厄介な状況です。けど、 今のところは不安の色はなさそうです。
「 聖女様、頑張ってください」
「 応援してますよ」
アシュトンのパーティーに所属していたおかげで、私はすっかり有名人でした。
でも今は、何の疑いもなく 期待の 眼差しを向けられるのがつらいです。
私に魔物を倒す力はありません。 支援魔法と回復魔法でサポートして、 他に戦える力がある人に 任せきりにするしかないのです。
アシュトンの言う通り、私は役立たずなのかもしれませんね・・・・・・。
それでも微力ながら、 私は【神の眼】で 状況を確認しながら、 スタンピードに立ち向かう全員に支援魔法と回復魔法をかけ続けました。
さすがに走りながらではきついですね。
でも、仕方がありません。
ガルヴァスに、 遠隔操作で【アンチ ドート】の 魔法をかけました。 けれど、 彼は苦しみ続けているのです。
直接症状を見て、 打開策を探るしかありません。
本当は【神の眼】常時発動は負担が大きすぎるから、 私も直接戦場に向かった方がいいのかもしれません。
仲間ですからね。放っておけるわけがないじゃないですか!
時間は関係ありません。
私はガルヴァスを助けたいと思ったのです。
「はい」
「きっと、 スキル保持者はマチルダのはずじゃ」
私はリゼの指示に従って、【神の眼】で マチルダの様子を探ることにしました。
マチルダ のパーティーが護衛している馬車が、 魔物の集団に囲まれています。
おそらく貴族の楽しい旅行だったのでしょう。
マチルダパーティーの今までの実績から、 安全な旅路になるはずでした。
ところが、最悪な事態に陥っています。
12歳ほどの貴族令嬢は、 大声で泣き叫んでいました。
一面を覆う黒い影全てが、 自分たちを害そうとする魔物の集団なのです。 いくら勇者パーティーとはいっても、 太刀打ちできないかもしれません。
みんなの心に絶望感が生まれて行きます。
「 勇者様、助けてください!」
貴族令嬢は、マチルダに縋りつきました。 しかし、マチルダは驚いたように目を見開くばかりです。
「こんな・・・・・・!? 私は指示に従っただけ。 私は何も悪くないわ・・・・・・!」
「おい! それは一体どういうことだ!?」
仲間の神官戦士が怒鳴りつけました。 女魔法剣士と精霊使いも非難するような視線を向けています 。マチルダは観念したのか、 ぽつりぽつりと自分のしでかしたことを打ち明けることにしました。
「 実は・・・・・・」
マチルダにはフェロモンによる【魅了】のスキルがあります。 彼女はそのスキルを使って、 ギルティオード 公爵との繋がりを得ました。
ギルティオード 公爵はマチルダとやり取りをしているうちに、 彼女の 力の別の作用に気付きました。
魅了された人間は一種の興奮状態に陥ります。
もしも人間を惹きつける 【魅了】を、 魔物に 使ったらどうなるのでしょうか。 おそらく興奮状態になった魔物を 引きつけて、 群がってくることでしょう。
その事実を知った公爵は、 ある計画を立ててマチルダに実行させることにしました。
マチルダが 馬車の護衛の途中で 、【魅了】のスキルを使い、わざと魔物が襲ってくるように仕向けます。 そして、その魔物たちを撃退するというマッチポンプ行為です。
有名になったマチルダ パーティーが使用している装備品を扱った武器屋などを独占し、 利益を生み出すという算段のようでした。
でもそれならば、意図して スタンピードを引き起こした理由がわかりません。
マチルダのおろおろしている様子からも、想定外の 事態なのでしょう。
リゼは、 スタンピードが人為的に 起こされようとしていると断言していました。
今までのことを踏まえて推理すると・・・・・・ギルティオード 公爵が スタンピードを企てたのでしょう。
動機は何なのでしょうか。
マチルダが今現在護衛している貴族を亡きものにしたいということ かもしれませんね。
貴族の世界は恐ろしいものです。
リゼはよく、 海千山千の顔色を伺うような場所で平然としていられますね。 私だったら絶対に耐えられませんよ。
「リゼ・・・・・・という 事態になっているようです。ギルティオード 公爵の断罪はお願いしますね」
「 任されよ。 ルナマリアは、悪いがスタンピード対策に回ってくれるかの?」
「はい。ガルヴァスと 合流して、 すぐに向かいます」
私とリゼは、 お互いに確認しあって それぞれの 戦場へと向かいます。
その前に、優しい言葉をかけてくれました。
「 ルナマリアよ、あまり自分を責めるでないぞ。わしが お主に猶予を与えたのじゃからの」
「 わかってますよ」
私は精一杯の笑顔を浮かべました。
私がすぐにマチルダの事を調べていたら、こんなことにはならなかったかもしれません。
後悔先に立たずですね。
でもくよくよしていたからといって、 事態が収まるわけではありません。 私は私のできることをやるだけです。
「ガルヴァスさん、 どこにいますか? 早く合流しましょう」
私がギルドカードで呼びかけると、ガルヴァスは 声を必死に絞り出すように答えました。
「く、来る、な・・・・・・!」
もうすでに魔物が町まで入り込んでいて、ガルヴァスは 襲撃にあったということでしょうか。
なんにしても、ほっとけるわけがないですよ。
「いえ、 仲間として助けに行きます!」
「く、 薬を飲んでも・・・・・・自分を、抑え・・・・・・られな、いんだ・・・・・・」
えっ!?
まさか、 やばい薬とかやってないですよね!?
神聖 魔法の中に毒を消し去るものがあるから、 多分薬の作用も打ち消すことができるはずです。
「 苦しんでいるなら、 なおのこと助けに行きますよ」
「 どう、なっても・・・・・・知ら、ないぞ・・・・・・」
民衆に混乱しているような様子は見られません。 それどころか、お祭り騒ぎで盛り上がっています。
一応勇者パーティーが、二組も 滞在していますからね。
冒険者ギルドに所属している冒険者も、 中堅やベテランと言った 安定した実力を持っているものがほとんどです。
リゼが すぐに王国軍を動かしてくれることでしょう。
民衆がパニックになって慌てて 逃げ惑い、押し合いになって怪我人が続出するのが 一番厄介な状況です。けど、 今のところは不安の色はなさそうです。
「 聖女様、頑張ってください」
「 応援してますよ」
アシュトンのパーティーに所属していたおかげで、私はすっかり有名人でした。
でも今は、何の疑いもなく 期待の 眼差しを向けられるのがつらいです。
私に魔物を倒す力はありません。 支援魔法と回復魔法でサポートして、 他に戦える力がある人に 任せきりにするしかないのです。
アシュトンの言う通り、私は役立たずなのかもしれませんね・・・・・・。
それでも微力ながら、 私は【神の眼】で 状況を確認しながら、 スタンピードに立ち向かう全員に支援魔法と回復魔法をかけ続けました。
さすがに走りながらではきついですね。
でも、仕方がありません。
ガルヴァスに、 遠隔操作で【アンチ ドート】の 魔法をかけました。 けれど、 彼は苦しみ続けているのです。
直接症状を見て、 打開策を探るしかありません。
本当は【神の眼】常時発動は負担が大きすぎるから、 私も直接戦場に向かった方がいいのかもしれません。
仲間ですからね。放っておけるわけがないじゃないですか!
時間は関係ありません。
私はガルヴァスを助けたいと思ったのです。
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