思い上がりの勇者パーティーに女神の裁きを

はなまる

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第2章 エルフの国のお姫様が 誘拐されたので、 解決することにしました

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 おかしいですね。 私が結界を張っているから、 外からの攻撃や効果は遮断されるはずなのです。
 ジェラートのように結界を打ち破れる者が 侵入してきたのでしょうか。【神の眼】で 感知できないほどの 隠密能力に長けています。 どれほどの強敵がいるのかわかったものではありません。
 さすがに一人で対応できるとは思えませんよ。
 ガルヴァスは、【 アウェイクン】で 起こしてもすぐに眠ってしまいます。 他の冒険者の皆さんも同様です。
 私ひとりで対処しなければいけないようですね。 むちゃぶりが過ぎますよ!

 歌声がだんだんと大きくなってきました。 敵は少しずつ近づいてきてるようです。
 どうやらフードをかぶった二人組のようです。 二人とも小柄で、 強そうには見えません。 歌声が少年の声に聞こえるから、 二人とも 子供という可能性もあります。
 魔族なら 子供でも強い のですが、 実力のある子供がこそこそと行動するとは思えません。 人間相手に対して、 正面から力を誇示すると思うのです。
 一人の 少年が歌を歌い、 もう一人が 手にランタンを持っています。 バードが自分の【旋律】の効果を受けないのは当然ですけど、 もうひとりの仲間はどうやって睡眠状態にならずにいられるのでしょうか。

 ちなみに私は、 実はぐっすり眠ってしまっているんです。 どうしてそれで動けるかと言うと、【神の眼】で 状況を把握して、 夢遊病者のように無理やり動いているのです。

 私のようにきっと、何かトリックがあるのでしょうね。
 打開策を 考えなければいけません。

 身体強化の魔法でごり押しすることができれば、 簡単に片付けることができるんですけどね。 最悪の事態も想定して、 常に冷静に行動をしなければなりません。

 相手は【ララバイ】 頼りなだけなのか、 それとも相当の手練なのでしょうか。
 まずは確かめるために後ろに回り込んで、 不意打ちをしてみることにしました。

「むにゃむにゃ。 もう食べられないね」

 何ですか、 その寝言は!?
 私は動揺して、 拳が空を切ってしまいました。
 いえ、 タイミングは悪くなかったはずです。 完全に気配を察知されて、 攻撃を読まれて避けられていますね。

「にゃにゃにゃ!」

 声と戦い方から察するに、モンクの女の子のようですね。 回避の時も攻撃の時も、 体の柔らかさを活かしています。
 変則的な動きで 攻撃を捌ききれません。
 私は体術は素人レベルなんですよ。荷が重すぎます。
 
 ガルヴァスなら 、この状況でも十分対応できるのに、 どうして呑気に寝ているんですか!

 まずはバードを倒す必要がありますね。 そうすればガルヴァスが 目覚めて、 モンクの女の子 を倒してくれますよ。
 ・・・・・・ 字面だけ見ると、ガルヴァスの方が 悪者に見えますけどね。

 隙が見つからないから、 バードに近づくことすらままなりません。 モンクの女の子の攻撃を防ぎつつ、 バードに投げナイフで攻撃するなど器用な真似はできませんよ。 私は戦士ではないのですからね。

 苦肉の策だけど仕方がありません。
 私は右ストレートを放ちました。 本職のモンクなら簡単に回避できることでしょう。 そんなことは百も承知です。 私は収納魔法から ヘビーメイスを取り出して、 攻撃の間合いを伸ばしました。
 果たして、 命中することは出来るのでしょうか。
 
 当たってください!

 すれすれのところで回避されてしまいました。 
 かすり傷程度でも ダメージを与えられればいいそれでいいのです。
 私の狙いは・・・・・・。

「【 バニッシュ】!!」
 
 敵対する者にダメージを与えて、 撤退させる魔法です。
 逃したくはないのですが、 私の実力では 倒すのは 難しそうなので、 これが最善手でしょう。
 後でアクアリーフの衛兵に報告して、【 ララバイ】の 対策を講じてもらうことにします。

 モンクの女の子はなぜか攻撃を続けます。
 普通の人間が 聖女の 魔法に抵抗できるはずがありませんよ。
 なかなか厄介な相手ですね。

 バードは ストリングボウという 弦楽器としても使える弓を装備していて、 旋律を奏でながら 弓矢を射ってきます。

「【 プロテクション】!」

 私は咄嗟に防御魔法を唱えました。 なのに、 バードの弓矢はすり抜けて、 私の頬をかすめました。

 神聖 魔法が無効化されているのでしょうか。 ひょっとするとアーティファクト、 もしくは神器の類かもしれませんね。
 回復魔法すら発動できない可能性もあります。
 スタンピードを退けたというのに、 魔法を封じられただけで大ピンチに陥っています。
 後衛だから、 うまく立ち回ることができませんでした。

 できればもっとスマートに戦いたかったのですが、 仕方ありませんね。 まずは生き延びるのが先決なのです。
 窮鼠猫を噛むと 言いますからね。 せめて 手を出せば、痛い目に合うと思わせるだけの足掻きはしてみせましょう。

 致命傷になりそうな攻撃は何とか ガードして、 比較的軽めの攻撃に合わせて カウンターを狙います。 モンクの女の子は すばしっこいけど、 攻撃に重みがありません。 モンクの女の子は 本職とはいえ、拳よりもヘビーメイスの 一撃の方が威力は上なのです。
 バードの弓矢を避けながら、 私とモンクの女の子はお互いにダメージを与え続けます。泥試合もいいところです。 それでも何とか、 必死になって抵抗を続けていました。

「 痛いね!?」

 モンクの女の子は目を開けて半泣きになりました。 彼女は動きが悪くなっています。 私はチャンスと見て 接近し、 背負い投げで 地面に叩きつけました。

「 いきなり何するね!?」

 モンクの女の子は状況を 把握していません。 バードに操られていたのでしょうか。

「 痛い目にあいたくなかったらおとなしくしていてくださいね」
「ひいっ!? わかったから攻撃しないでほしいね!」

 笑顔で優しく語りかけたのに、 どうしてそんなに怯えているのですが。

 後はバードだけですね。

「【 マジックボール】!」

 私は髪飾りの 効果を使って、魔法弾を放ちました。 それを隠れ蓑にして、 ヘビーメイスも投げ飛ばします。 バードが 仰け反ったところに ナイフを投擲。 ナイフが彼の腕に刺さり、 ストリングボウを 手から離してしまいます。 それを私はインターセプトーー 武器を奪い去って、 バードにナイフを突きつけました。

「 できることなら命までは奪いたくないので、 降参してくれると嬉しいです」

 私がそう言うと、 バードは両手をあげました。
 何の目的で近づいてきたのか尋問しなければいけませんね。



ーーーーーー



 ルナマリアは無意識にアシュトンに毒されて、脳筋に なっていますね(笑)
 しかもヘタレ勇者よりも思い切りが良いのですよ。

 バードとモンクの言い訳を聞いてから、 その後でやっとエルフの国に行きますね。 もう少しだけお待ちください。


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