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第2章 エルフの国のお姫様が 誘拐されたので、 解決することにしました
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国王陛下に挨拶せずに抜け出してしまいました。 不敬罪にならないですよね。
もしもの時は、リゼの後ろ盾を利用することにしましょう。
転移した先は、宿の一室でした。
アルフレッドとエリーゼは休憩しているようです。
肌色の展開は期待してはいけませんよ。
「 こんにちは」
エリーゼは私達の登場に驚くどころか、 まるで歓迎するように 優しい微笑みを浮かべました。
聖女の 特徴である銀髪で、 私より少しだけ大人びた印象を受けます。 19歳くらいでしょうか。 落ち着いた雰囲気で、 慌てる様子が一切見られません。
きっと、【神の眼】で 私たちの様子を伺っていたのでしょう。
私も挨拶を返して、 エリーゼに探りを入れることにしました。
「 こんにちは。 あなたはエリーゼさんで合っていますよね?」
「ええ、そうですよ。 そういうあなたはルナマリアさんですよね?」
「はい。・・・・・・【神の眼】でもニア王女を 見つけ出すことができませんよね。 よかったら協力し合いませんか?」
「 是非お願いするよ」
アルフレッドが話に 割って入ってきて、 私の手を取りました。 無駄に歯を輝かせていますよ。 アシュトン以上に軽い男を初めて見ました。 こういうシチュエーションにときめく女の子もいるかもしれないけど、散々アシュトンのナンパを目にしてきたから、 私は興ざめです。 髪の毛が逆立つほどの不快感を感じました。
エルフは人間と比べたら華奢なんですよね。 でもアルフレッドはさすが勇者といったところで、 細マッチョのようです。 人間よりも魔法に長けているのですよね。 もしもエリーゼが聖女の権限で、 アルフレッドの勇者の制限を解除したら、 なかなか厄介な相手ですよ。とはいえ、 アシュトン以上の実力者ということはありえませんから、ガルヴァスの バーサーカーとしての力に期待しておきます。
エリーゼの実力は私と互角だと想定した方がいいでしょう。聖女の力以外の 切り札が必要ですね。
話し合いだけで解決するとは思っていません。 不自然にならないように 笑顔を作りつつ、 臨戦態勢でいられるように 適度な緊張感を保ちます。
私は アルフレッドの手をやんわりと離して、 会話を続けることにしました。
「 私たちはニア王女の 誘拐を知ったばかりなんですよ。 エリーゼさん達は 何か手がかりは見つけられましたか?」
「 残念なことなのですが、 私たちの仲間だった獣人の 2人組が怪しいと睨んでいます」
「ラディとキャシーの ことですね」
エリーゼは嘆いているような表情になっています。 今のところ演技かどうかは判然としません。 もっと探りを入れる必要があります。
「獣人は 半分魔族の血を引いていますからね。 二人は魔族に寝返ったのかもしれません・・・・・・」
「 エリーゼさんは、ニア王女が 魔族の手に落ちたと考えているのですか?」
「 犯人からの身代金の要求がないから、 それ以外に考えられないでしょう?」
あくまでもラディとキャシーの 二人を犯人に仕立て上げるつもりですか。 許せませんね!
「 まだ他の可能性がありますよ」
「 どのような可能性ですか?」
「 エリーゼさんとアルフレッドさんの二人が真犯人という可能性です」
私がそう告げると、 場の空気が凍りつくように緊張が走りました。
しかし、 すぐに戦闘開始とはなりません。
エリーゼは余裕の微笑みを浮かべています。
「 具体的にどうやって、私たちがニア王女殿下を 誘拐することができるのか聞かせてください」
「はい。【 ホーリーディメンション】を 利用した犯行だと推測しました」
2日前の夜に、 アルフレッドとニア王女が彼女の部屋で 二人きりで会っていた、という 証言がありました。
エリーゼが その 二人きりの 場所に【 ホーリーディメンション】で転移して、ニア王女を拘束します。仲間の所に 瞬間移動して、ニア王女を預けます。 エリーゼは再びニア王女の 部屋に戻って、【 ディスガイズ】の 魔法でニア王女に 変身します。 アルフレッドを見送り、 専属メイドから 見守られながら寝たふりをして、 誰もいなくなったところで アルフレッドのところに転移します。
【 テレポート】の 魔法は禁止されているし、【 ホーリーディメンション】の 女神の奇跡をまさか悪用するとは普通考えません。だからこそ、犯行は容易かったと思います。
「 私が【ホーリーディメンション】で あなたたちのところに転移することができたのが 何よりの証拠です!」
これで二人は関連することでしょう。
ところが、 エリーゼはなぜか不敵な笑みを浮かべて、 部屋の扉を開きました。
「 ちょっと見ていてくださいね。・・・・・・ アルフレッド、行きますよ」
「 逃げるつもりですか?」
【 ホーリーディメンション】があるから、 絶対に逃げられませんよ。
「 すぐに戻ってきますよ」
エリーゼとアルフレッドは 廊下に出て、 扉を閉めました。
「【 ホーリーディメンション】!」
私が二人を追いかけるために発動したのではありません。 詠唱したのはエリーゼです。 その瞬間、 エリーゼとアルフレッドは私の目の前に 空間移動していました。
「まさか、 私が悪人だというのですか・・・・・・?」
私は真っ当に生きてきたつもりです。 それなのに、 知らない間に何か過ちを犯してしまったのでしょうか。
アシュトンを更生できなかったのが 原因かもしれませんね。
「いいえ、 それは違いますよ」
エリーゼは首を横に振って、 真相を説明してくれました。
「神殿では 女神の裁きの対象の 場所にしか転移 することができない とされているけど、 実は勇者と聖女 もしくは聖者、 その どれかの 職種の者が 所属しているパーティーの場所になら、【 ホーリーディメンション】で 移動することが可能なんですよ」
「でも・・・・・・」
私は、にわかに信じられません。
エリーゼは更に確固たる事実を突きつけて来ました。
「 私たちのパーティーは、一週間ほど前に3人の仲間が辞めたので、 今は私とアルフレッドだけです。 ルナマリアさんが予想した犯行は無理ですよ」
「ニア王女を クローゼットに閉じ込めて・・・・・・」
エリーゼがニア王女の ふりをするところまでは同じです。 アルフレッドは先に宿屋に戻ります。 エリーゼは泣いたふりをして、部屋に誰もいなくなった後にニア王女を 抱きかかえて、 アルフレッドのところに転移します。
「 着替えを手伝っているメイドに クローゼットの中を見られるんじゃないですか?」
「あっ!」
エリーゼが指摘する通りです。 私の推理は穴だらけでした。
「 疑いが晴れたところで、 一緒に頑張ってニア王女殿下を 見つけ出しましょうね」
エリーゼは私に向かって右手を伸ばしました。 私はその手を取って、握手に応じるしかありませんでしたーー。
もしもの時は、リゼの後ろ盾を利用することにしましょう。
転移した先は、宿の一室でした。
アルフレッドとエリーゼは休憩しているようです。
肌色の展開は期待してはいけませんよ。
「 こんにちは」
エリーゼは私達の登場に驚くどころか、 まるで歓迎するように 優しい微笑みを浮かべました。
聖女の 特徴である銀髪で、 私より少しだけ大人びた印象を受けます。 19歳くらいでしょうか。 落ち着いた雰囲気で、 慌てる様子が一切見られません。
きっと、【神の眼】で 私たちの様子を伺っていたのでしょう。
私も挨拶を返して、 エリーゼに探りを入れることにしました。
「 こんにちは。 あなたはエリーゼさんで合っていますよね?」
「ええ、そうですよ。 そういうあなたはルナマリアさんですよね?」
「はい。・・・・・・【神の眼】でもニア王女を 見つけ出すことができませんよね。 よかったら協力し合いませんか?」
「 是非お願いするよ」
アルフレッドが話に 割って入ってきて、 私の手を取りました。 無駄に歯を輝かせていますよ。 アシュトン以上に軽い男を初めて見ました。 こういうシチュエーションにときめく女の子もいるかもしれないけど、散々アシュトンのナンパを目にしてきたから、 私は興ざめです。 髪の毛が逆立つほどの不快感を感じました。
エルフは人間と比べたら華奢なんですよね。 でもアルフレッドはさすが勇者といったところで、 細マッチョのようです。 人間よりも魔法に長けているのですよね。 もしもエリーゼが聖女の権限で、 アルフレッドの勇者の制限を解除したら、 なかなか厄介な相手ですよ。とはいえ、 アシュトン以上の実力者ということはありえませんから、ガルヴァスの バーサーカーとしての力に期待しておきます。
エリーゼの実力は私と互角だと想定した方がいいでしょう。聖女の力以外の 切り札が必要ですね。
話し合いだけで解決するとは思っていません。 不自然にならないように 笑顔を作りつつ、 臨戦態勢でいられるように 適度な緊張感を保ちます。
私は アルフレッドの手をやんわりと離して、 会話を続けることにしました。
「 私たちはニア王女の 誘拐を知ったばかりなんですよ。 エリーゼさん達は 何か手がかりは見つけられましたか?」
「 残念なことなのですが、 私たちの仲間だった獣人の 2人組が怪しいと睨んでいます」
「ラディとキャシーの ことですね」
エリーゼは嘆いているような表情になっています。 今のところ演技かどうかは判然としません。 もっと探りを入れる必要があります。
「獣人は 半分魔族の血を引いていますからね。 二人は魔族に寝返ったのかもしれません・・・・・・」
「 エリーゼさんは、ニア王女が 魔族の手に落ちたと考えているのですか?」
「 犯人からの身代金の要求がないから、 それ以外に考えられないでしょう?」
あくまでもラディとキャシーの 二人を犯人に仕立て上げるつもりですか。 許せませんね!
「 まだ他の可能性がありますよ」
「 どのような可能性ですか?」
「 エリーゼさんとアルフレッドさんの二人が真犯人という可能性です」
私がそう告げると、 場の空気が凍りつくように緊張が走りました。
しかし、 すぐに戦闘開始とはなりません。
エリーゼは余裕の微笑みを浮かべています。
「 具体的にどうやって、私たちがニア王女殿下を 誘拐することができるのか聞かせてください」
「はい。【 ホーリーディメンション】を 利用した犯行だと推測しました」
2日前の夜に、 アルフレッドとニア王女が彼女の部屋で 二人きりで会っていた、という 証言がありました。
エリーゼが その 二人きりの 場所に【 ホーリーディメンション】で転移して、ニア王女を拘束します。仲間の所に 瞬間移動して、ニア王女を預けます。 エリーゼは再びニア王女の 部屋に戻って、【 ディスガイズ】の 魔法でニア王女に 変身します。 アルフレッドを見送り、 専属メイドから 見守られながら寝たふりをして、 誰もいなくなったところで アルフレッドのところに転移します。
【 テレポート】の 魔法は禁止されているし、【 ホーリーディメンション】の 女神の奇跡をまさか悪用するとは普通考えません。だからこそ、犯行は容易かったと思います。
「 私が【ホーリーディメンション】で あなたたちのところに転移することができたのが 何よりの証拠です!」
これで二人は関連することでしょう。
ところが、 エリーゼはなぜか不敵な笑みを浮かべて、 部屋の扉を開きました。
「 ちょっと見ていてくださいね。・・・・・・ アルフレッド、行きますよ」
「 逃げるつもりですか?」
【 ホーリーディメンション】があるから、 絶対に逃げられませんよ。
「 すぐに戻ってきますよ」
エリーゼとアルフレッドは 廊下に出て、 扉を閉めました。
「【 ホーリーディメンション】!」
私が二人を追いかけるために発動したのではありません。 詠唱したのはエリーゼです。 その瞬間、 エリーゼとアルフレッドは私の目の前に 空間移動していました。
「まさか、 私が悪人だというのですか・・・・・・?」
私は真っ当に生きてきたつもりです。 それなのに、 知らない間に何か過ちを犯してしまったのでしょうか。
アシュトンを更生できなかったのが 原因かもしれませんね。
「いいえ、 それは違いますよ」
エリーゼは首を横に振って、 真相を説明してくれました。
「神殿では 女神の裁きの対象の 場所にしか転移 することができない とされているけど、 実は勇者と聖女 もしくは聖者、 その どれかの 職種の者が 所属しているパーティーの場所になら、【 ホーリーディメンション】で 移動することが可能なんですよ」
「でも・・・・・・」
私は、にわかに信じられません。
エリーゼは更に確固たる事実を突きつけて来ました。
「 私たちのパーティーは、一週間ほど前に3人の仲間が辞めたので、 今は私とアルフレッドだけです。 ルナマリアさんが予想した犯行は無理ですよ」
「ニア王女を クローゼットに閉じ込めて・・・・・・」
エリーゼがニア王女の ふりをするところまでは同じです。 アルフレッドは先に宿屋に戻ります。 エリーゼは泣いたふりをして、部屋に誰もいなくなった後にニア王女を 抱きかかえて、 アルフレッドのところに転移します。
「 着替えを手伝っているメイドに クローゼットの中を見られるんじゃないですか?」
「あっ!」
エリーゼが指摘する通りです。 私の推理は穴だらけでした。
「 疑いが晴れたところで、 一緒に頑張ってニア王女殿下を 見つけ出しましょうね」
エリーゼは私に向かって右手を伸ばしました。 私はその手を取って、握手に応じるしかありませんでしたーー。
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