思い上がりの勇者パーティーに女神の裁きを

はなまる

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第3章 追憶の詩を聴いてみました

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「ユメリアさん?」

 私は、取り敢えず声を掛けることにしました。ユメリアは涙声で私に向き合います。

「どうして、私の名前を知ってるですぅ?」
「ラディからあなたのことを聞きました」
「 バードのラディですぅ?」
「そうですよ」
「ラディは元気ですぅ?」
「元気ですよ」

 私はラディが牢の中にいることは内緒にすることにしました。特に拷問を受けている様子もなかったので、嘘とは言えないことでしょう。
 ユメリアは、安堵の 表情を浮かべました。

「良かったですぅ」

 自分の境遇が大変な時に、他人の心配をして事を喜べるなんて、ユメリアは悪い子ではないようですね。それどころか、お人好しだと言えるレベルですよ。怪しい壺か何かを買わされないか心配になります。

 私もガルヴァスからフォローされていますからね。ユメリアに不安要素はありますけど、いえありすぎるくらいですけど、放っては置けないです。

「ユメリアさん、良かったら私達の仲間になりませんか?」
「本当にいいんですぅ?」
「良くはないですけど・・・・・・」
「ガーンですぅ!」

 擬音を口に出す人は初めて見ました。
 私は、クスリと微笑みます。

「冗談ですよ」
「それじゃあ!」
「ええ、しぶしぶ仲間にしてあげますね」
「言い方があんまりですぅ!!」

 ユメリアは、仲間になれて涙が出るほど喜んでいるようですね。誘った甲斐があります。
 ガルヴァスは、渇いた笑みを浮かべていました。

「連携を確かめるために、簡単な依頼でも受けてみるか」

 それもいいかも知れません。エリーゼのことは気になりますけど、彼女を説得するためにも力を誇示する必要がありますからね、戦力の強化は必須なのです。例え今、微妙な実力だとしても、ユメリアをスパルタで鍛えて見せますよ!

「よくわからないけど、嫌な予感がするするですぅ!」

 ユメリアは、何故か半泣きしていました。
 苛めではありませんよ。本当ですよ?



 冒険者ギルドの受付に向かいます。すると、そこには何故か、 フレアリーゼで別れたはずのオーラナが居ました。彼女は私に 怒るように抗議してきます。

「 せっかくお会いできると思っていたのに、 アクアリーフでは冒険者ギルドに全く寄りませんでしたよね! プンプン!」

 オノマトペが流行ているのでしょうか。いえ、そうではなくて・・・・・・。

「 どうして、オーラナさんがここにいるんですか?」
「 ルナマリアさんにお会いするためですよ」
「 冗談はいいので、本当の事を言ってください」

 オーラナは、以前と違って おちゃめな印象を受けます。 そういう態度だと、素直に再会を喜べないじゃないですか。

「 嘘ではありませんよ。 冒険者ギルドの 専用テレポーターを使って、 私が専属でルナマリアさんをサポートすることになりました」
「あはは。 これ、笑うところですよね?」

 場を和ませるには少し話が突飛すぎますよ。 もう少し現実味のある設定にしてくださいね。

「 だから、本当ですってば。 詳しいことはトップシークレットだそうですけど、 1000年前の予言が関係あるそうですよ」
「そ、そうなんですか」

 私は冷や汗をかく思いがしました。
 まさか、 予言とは1000年前のルナマリアが残したものじゃないですよね!?
 私は絶対に関係ありませんよ!
 下手に言い訳すると 認めたことになりそうなので黙秘しておきます。

「 これからはどこの国に向かうのか申告してくださいね。 私がいつでも、 その国の冒険者ギルドに 向かいますからね」

 もちろん嬉しいですよ。でも、 お互いに涙を流して 感動の別れをして 間もないですから、 まるで黒歴史のように気まずい感覚でもあるんですよね。

 各国の 冒険者ギルドに秘密裏にテレポーターを設置してあるのは、きっと カンストに対抗するためだと思います。 個人的に使用するものではありません。
 オーラナは、私が アクアリーフに滞在している間に追い抜くことも可能ですけど、私を追って各国の 冒険者ギルドで受付嬢として働けるはずがありません。上からの命令のはずです。 冒険者ギルド全体の総意だと言えるでしょう。
 しかし、私を専属の受付嬢まで付けて サポートする理由とは何でしょうか。
 やはり、 1000年前の・・・・・・。
 いえ、 生まれ変わりではないはずです。 私は絶対に違いますよ。 本当ですよ?

「 俺達3人だけでも出来る簡単な仕事を探しているんだが・・・・・・」

 ガルヴァス、ナイスです。 彼が口を挟んでくれたことで、 サポートの件はうやむやになりました。・・・・・・ なりましたよね?

「 予言通りちゃんと用意してありますよ」

 オーラナは、ニコニコと 笑って依頼書を持ってきました。
 いや、 依頼のことまで逐一予言するなんて普通ありえませんよね!?
 1000年前のルナマリア・・・・・・いえ、 預言者は頭がおかしいとしか思えませんよ。

「 依頼内容を詳しく聞かせてくれ」

 ガルヴァスは、 確認を怠りません。 さすがベテラン冒険者です。頼りになりますね。

「 もうすぐ小さな村の夫婦の命日なのです。 それでお供え物をするために、その材料となる魔物を狩って欲しいという依頼です」
「 何の魔物だ?」
「 アイアンタートルです」

 アイアンタートルは 半端な攻撃では歯が立ちません。 絶対的な防御を誇る魔物です。 反面、 攻撃は単調で戦いやすいです。
 ガルヴァスの グレートソードは魔法の武器ですから、 十分にダメージを通すことはできるでしょう。 ついでにユメリアの戦力を測ることもできますね。
 一石二鳥とはこのことです。 是非引き受けることにしましょう。

「 それと ブラック ベリー トレントから、 ブラックベリーを採取してください。 こちらはデザート用ですね」
「 デザート!? それは 味見できますか!」
「 食材を多めに用意すれば可能じゃないですか」
「 張り切って、トレントから ブラック ベリーを奪い取りましょう!」

 私は右の拳を突き上げました。

「 ルナマリアは相変わらずだな」
「 いつもこんな感じですぅ?」
「 甘いものには目がないな」
「 私も甘いものは大好きですけど、 ここまで執着するのは異常ですぅ」

 ガルヴァスとユメリアは、ヒソヒソ話していました。
 ちゃんと聞こえてますからね。 後で覚えていてくださいよ。

「あ、そうそう。 その夫婦は聖女 エリーゼのご両親だから、 命日には彼女も帰ってくるかもしれませんね」

 オーラナは、 大変重要な情報をもたらしてくれました。
 これは私に都合のよい依頼です。 予言によって私に用意された依頼だということが、真実味を増しました。
 色々な意味で引き受けなければいけませんね!


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