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第3章 追憶の詩を聴いてみました
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もしもジャネットの正体が エリーゼだとしても、 彼女は滅多なことでは顔色を変えないから、 正体を暴くのは容易ではありません。
エリーゼは王族に恨みがあるから、ニア王女には激情していたけれど、私には 平然とした態度で澄ましていました。
私は試しに、ジャネットに質問することにします。
「ジャネットちゃんは 魔族に恨みはありますか?」
「ないよ。でも、 倒すべき敵だとは思ってるかな」
勇者として、模範解答ですね。 魔族は表向きは人類の宿敵とされています。 ジェラートのような存在は知られていないのです。
困りました。 これでは判断材料となりません。
エリーゼなら平気で子供のふりができそうですけど・・・・・・ 両親の命日の前で 明るく振る舞うことができるものでしょうか。
ジャネットが知りようがなくて 、エリーゼだけがわかる質問をできればいいのですけど、 私は彼女のことをそれほど知らないから質問のしようもないのですよね。
もしもジャネットが善意の第三者ならば、 私がこれ以上関わることはありません。 この場だけ楽しく付き合えればいいのです。
しかし、 もしもエリーゼ本人もしくは彼女の関係者だとしたら、 なんとしてでも話を聞き出さなければいけません。
「・・・・・・ ジャネットちゃん、あなたの ステータスを見せてもらってもいいですか?」
「うん、いいよ」
「では、【 ステータスオープン】します」
私は ジャネットのステータスを浮かび上がらせました。
ジャネット、十三歳。 職業勇者。
光属性魔法、 火属性魔法、 雷属性魔法習得。
精霊魔法習得。
神聖 魔法習得。
アインラッシュ流剣術、 ラックバード流剣術 習得。
勇者固有スキル 習得。
精神状態ーー クロスハート。
クロスハートとは二重人格のことでしょうか。 初めて聞く精神状態なのでよく分かりません。
【神の眼】の前では ステータス偽造は不可能だから、 ジャネットが勇者であることは間違いないでしょう。 もしもエリーゼが 姿を変えているだけならば、 ステータスには聖女だと表示されるはずです。
エリーゼがステータス偽造 の方法を知っているのならばお手上げですけどね。
これ以上調べるすべがありませんから、 しばらくジャネットのことは泳がせておきましょう。
バタン!
乱暴に扉が開けられました。ユメリアは 小動物のように怯えているけど、 山賊が押し入ったわけではありません。
19歳ほどの茶髪の女性が 家に入ってきました。 彼女はガサツな性格のようなのに、格好は貴族が身に着けるようなドレス姿をしていました。
お婆さんは、深々と頭を下げます。
「王妃様、 お久しぶりです」
「 畏まらないで。 私はエリーゼの幼馴染として 命日の手伝いに来たのだから、 子供の頃のように接してよ」
女性がそうお願いすると、お婆さんは 表情を緩めました。
「 フォルテ、久しぶりね。 元気にしていたかい?」
「 元気と言いたいところだけど・・・・・・ 窮屈な生活で肩が凝ってるよ」
「 国王陛下と結婚することを決めたのは フォルテじゃないのかい?」
「 好きになってしまったのはしょうがないよね」
なんとびっくり。 フォルテと国王陛下は 恋愛結婚でした。 ラックバードでは王族も自由恋愛が推奨されているとのことです。
身分に関係なく王族と平民が結婚できるなんて、他の国では考えられませんよ。
「 エリーゼとフォルテは 有名なバードになることを競争していたのに、 どちらも別々の道を歩くことになったのね」
「 色々面倒なこともあるけど、私は幸せだよ。でも、 エリーゼはどうなのかな・・・・・・?」
フォルテ はエリーゼのことを思い、 憂いを帯びた表情を浮かべました。 それを聞いて、 ジャネットが叫ぶように 話に入ります。
「 エリーゼさんはきっと幸せだよ」
「けど 娘たちが望んだのは、 エリーゼがごく普通の幸せを築き上げることだったんだよ。だから、 生きている間は・・・・・・」
お婆さんは、 思い出を懐かしんでいるようでした。しかし、 それは楽しい記憶ばかりではなくて、 寂しそうに笑っています。
ジャネットは目を見開いて 驚愕の表情を浮かべました。
「お婆ちゃん、 お父さんとお母さんがどうかしたの!?」
「 エリーゼの知り合いがこんなに集まってくれたから、 いい機会だから 打ち明けようかね。 実はエリーゼは、3歳の頃に既に聖女の力が目覚めていたんだよ」
エリーゼは両親が亡くなった時に聖女の力が目覚めたはずですよね。
つまり・・・・・・ そういうことですか。
「 娘たち・・・・・・ エリーゼの両親は彼女に 普通の家庭を築いて欲しくて、 聖女の力を封印した。 その二人が亡くなったことで、 エリーゼの封印が解けたということなんだよ」
私の予想通りでした。
エリーゼの両親を殺害した魔族は、 彼女の聖女としての力を狙っていたのでしょうか。 その日以来何の接触もないようですから、 その可能性は低そうですね。
エリーゼを聖女にしなければいけない組織といえば、神殿が 考えられます。 最初からカンストに目をつけられていたという可能性もあります。
エリーゼは今では加害者側ですけど、 被害者でもあったのですね・・・・・・。
なんだかやるせない思いがします。
「・・・・・・たしの・・・・・・ろさ・・・・・・たの・・・・・・?」
ジャネットは 瞳から大粒の涙をこぼしました。 彼女の反応はどう考えてもエリーゼのものですけど、 ステータスは別人のものとして表示されていました。 これは一体どういうことでしょうか。
謎が深まるばかりです。
エリーゼは王族に恨みがあるから、ニア王女には激情していたけれど、私には 平然とした態度で澄ましていました。
私は試しに、ジャネットに質問することにします。
「ジャネットちゃんは 魔族に恨みはありますか?」
「ないよ。でも、 倒すべき敵だとは思ってるかな」
勇者として、模範解答ですね。 魔族は表向きは人類の宿敵とされています。 ジェラートのような存在は知られていないのです。
困りました。 これでは判断材料となりません。
エリーゼなら平気で子供のふりができそうですけど・・・・・・ 両親の命日の前で 明るく振る舞うことができるものでしょうか。
ジャネットが知りようがなくて 、エリーゼだけがわかる質問をできればいいのですけど、 私は彼女のことをそれほど知らないから質問のしようもないのですよね。
もしもジャネットが善意の第三者ならば、 私がこれ以上関わることはありません。 この場だけ楽しく付き合えればいいのです。
しかし、 もしもエリーゼ本人もしくは彼女の関係者だとしたら、 なんとしてでも話を聞き出さなければいけません。
「・・・・・・ ジャネットちゃん、あなたの ステータスを見せてもらってもいいですか?」
「うん、いいよ」
「では、【 ステータスオープン】します」
私は ジャネットのステータスを浮かび上がらせました。
ジャネット、十三歳。 職業勇者。
光属性魔法、 火属性魔法、 雷属性魔法習得。
精霊魔法習得。
神聖 魔法習得。
アインラッシュ流剣術、 ラックバード流剣術 習得。
勇者固有スキル 習得。
精神状態ーー クロスハート。
クロスハートとは二重人格のことでしょうか。 初めて聞く精神状態なのでよく分かりません。
【神の眼】の前では ステータス偽造は不可能だから、 ジャネットが勇者であることは間違いないでしょう。 もしもエリーゼが 姿を変えているだけならば、 ステータスには聖女だと表示されるはずです。
エリーゼがステータス偽造 の方法を知っているのならばお手上げですけどね。
これ以上調べるすべがありませんから、 しばらくジャネットのことは泳がせておきましょう。
バタン!
乱暴に扉が開けられました。ユメリアは 小動物のように怯えているけど、 山賊が押し入ったわけではありません。
19歳ほどの茶髪の女性が 家に入ってきました。 彼女はガサツな性格のようなのに、格好は貴族が身に着けるようなドレス姿をしていました。
お婆さんは、深々と頭を下げます。
「王妃様、 お久しぶりです」
「 畏まらないで。 私はエリーゼの幼馴染として 命日の手伝いに来たのだから、 子供の頃のように接してよ」
女性がそうお願いすると、お婆さんは 表情を緩めました。
「 フォルテ、久しぶりね。 元気にしていたかい?」
「 元気と言いたいところだけど・・・・・・ 窮屈な生活で肩が凝ってるよ」
「 国王陛下と結婚することを決めたのは フォルテじゃないのかい?」
「 好きになってしまったのはしょうがないよね」
なんとびっくり。 フォルテと国王陛下は 恋愛結婚でした。 ラックバードでは王族も自由恋愛が推奨されているとのことです。
身分に関係なく王族と平民が結婚できるなんて、他の国では考えられませんよ。
「 エリーゼとフォルテは 有名なバードになることを競争していたのに、 どちらも別々の道を歩くことになったのね」
「 色々面倒なこともあるけど、私は幸せだよ。でも、 エリーゼはどうなのかな・・・・・・?」
フォルテ はエリーゼのことを思い、 憂いを帯びた表情を浮かべました。 それを聞いて、 ジャネットが叫ぶように 話に入ります。
「 エリーゼさんはきっと幸せだよ」
「けど 娘たちが望んだのは、 エリーゼがごく普通の幸せを築き上げることだったんだよ。だから、 生きている間は・・・・・・」
お婆さんは、 思い出を懐かしんでいるようでした。しかし、 それは楽しい記憶ばかりではなくて、 寂しそうに笑っています。
ジャネットは目を見開いて 驚愕の表情を浮かべました。
「お婆ちゃん、 お父さんとお母さんがどうかしたの!?」
「 エリーゼの知り合いがこんなに集まってくれたから、 いい機会だから 打ち明けようかね。 実はエリーゼは、3歳の頃に既に聖女の力が目覚めていたんだよ」
エリーゼは両親が亡くなった時に聖女の力が目覚めたはずですよね。
つまり・・・・・・ そういうことですか。
「 娘たち・・・・・・ エリーゼの両親は彼女に 普通の家庭を築いて欲しくて、 聖女の力を封印した。 その二人が亡くなったことで、 エリーゼの封印が解けたということなんだよ」
私の予想通りでした。
エリーゼの両親を殺害した魔族は、 彼女の聖女としての力を狙っていたのでしょうか。 その日以来何の接触もないようですから、 その可能性は低そうですね。
エリーゼを聖女にしなければいけない組織といえば、神殿が 考えられます。 最初からカンストに目をつけられていたという可能性もあります。
エリーゼは今では加害者側ですけど、 被害者でもあったのですね・・・・・・。
なんだかやるせない思いがします。
「・・・・・・たしの・・・・・・ろさ・・・・・・たの・・・・・・?」
ジャネットは 瞳から大粒の涙をこぼしました。 彼女の反応はどう考えてもエリーゼのものですけど、 ステータスは別人のものとして表示されていました。 これは一体どういうことでしょうか。
謎が深まるばかりです。
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